第II部 国土交通行政の動向 

2 公共工事の品質確保や入札契約の適正化

1)公共工事の品質確保の促進
 「公共工事の品質確保の促進に関する法律(公共工事品確法)」等を踏まえ、平成18年度は、「公共工事における総合評価方式活用検討委員会」において総合評価方式(注1)の評価項目の見直しや活用事例集の作成等を行うとともに、公共工事の品質確保をより確実なものとするための「施工体制確認型総合評価方式」の直轄工事への試行導入や、地方整備局における市町村等への様々な発注者支援の実施等、総合評価方式の一層の拡充を図った。
 また、「国土交通省直轄事業の建設生産システムにおける発注者責任に関する懇談会」を開催し、設計業務の受注者以外の第三者によるチェックの導入、ICT(注2)技術を活用した連続的な現場の監督・検査体制の強化等、公共工事の品質確保の促進に必要な施策の基本的な方向性について、中間とりまとめを行った。

2)入札契約の適正化
 公共工事における入札談合等の相次ぐ摘発を踏まえ、一般競争入札の拡大と総合評価方式の拡充を始めとした入札契約制度の改善の一層の推進を図るため、「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(注3)を改正し、政府全体で公共工事の入札契約の適正化に向けた取組みを推進している。
 国土交通省においては、一般競争入札の拡大(対象工事を、予定価格7.3億円以上から2億円以上まで拡大するとともに、2億円未満の工事についても不良・不適格業者の排除、事務量等に留意しつつ、できる限り導入に努める。)と総合評価方式の拡充(平成18年度においては金額ベースで8割超まで拡大)等に全力で取り組んでおり、今後、地方公共団体等においても入札契約の適正化へ向けた取組みが適切に行われるよう、関係省庁と連携を図ることとしている。
 また、一般競争入札の拡大と総合評価方式の拡充のための条件整備の一環として、不良・不適格業者(注4)の排除や事務量の増大の抑制等を図るため、入札ボンド制度(注5)を、東北地方整備局と近畿地方整備局の発注工事において先行的に導入した。今後は、その実施状況を踏まえ、段階的に導入することとしている。

3)ダンピング受注への対策
 いわゆるダンピング受注は、公共工事の品質の確保に支障を及ぼしかねないだけでなく、下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化等につながり、国民の安全・安心の確保や建設業の健全な発展を阻害するものであることから、平成18年4月から監督・検査の強化、下請業者への適正な支払確認等のための立入調査の強化等の対策を実施するとともに、同年12月からは、低入札価格調査制度におけるより厳格な審査等の追加的な対策を実施し、その排除の徹底に努めている。


(注1)技術提案に基づき、価格に加え価格以外の要素も総合的に評価して落札者を決定する方式
(注2)我が国では、情報通信技術を表す言葉として「IT(Information Technology)」の語が広く普及しているが、国際的には、「ICT(Information and Communications Technology)」の語が広く定着している。今後のユビキタスネット社会においては、誰でも簡単にネットに接続することにより、多様で自由かつ便利な「コミュニケーション」を実現していくことが重要であることから、原則ICTを使用する。
(注3)「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入札契約適正化法)」に基づき定められた、公共工事の発注者である国、特殊法人等、地方公共団体が統一的・整合的に公共工事を行うために取り組むべきガイドライン
(注4)一般的に、技術力、施工能力を全く有しないペーパーカンパニー、経営を暴力団が支配している企業、対象工事の規模や必要とされる技術力からみて適切な施工が行い得ない企業、過大受注により適切な施工が行えない企業等を指す。
(注5)入札参加者に対して、金融機関等による審査・与信を経て発行される契約保証の予約的機能を有する証書の提出を求める制度

 

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