第II部 国土交通行政の動向 

3 航空ネットワークの整備

(1)航空ネットワークの現状と課題

1)国内航空
 我が国の国内航空政策においては、空港整備等のハード面の施策と規制緩和による競争促進等のソフト施策を組み合わせ、ネットワークの拡充を図っている。近年の現状を見ると、平成17年度の新空港(神戸・新北九州・新種子島)開港による特殊要因を除けば、路線数は減少傾向、1路線当たりの年間平均運航回数は増加傾向にある。
 
図表II-5-1-7 航空ネットワークの推移

航空ネットワークの推移を見ると、路線数は平成9年度は275であったが、平成17年度は229と減少している。1路線当たりの年間平均運航回数は逆に平成9年は2,064回であったが、平成17年度には2,794回と増加している。
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 これらのことは、航空会社が、路線数の量的な拡大から転換し、市場原理に従って需要の多い路線に集中してきていることを示していると考えられる。このような中で、路線が集中する東京国際空港(羽田)は既に能力の限界に達しており、今後とも増大が見込まれる航空需要に的確に対応し、利用者利便に応えるためには、その容量拡大が喫緊の課題となっている。
 
図表II-5-1-8 東京国際空港(羽田)の国内航空旅客数の実績及び将来予測

東京国際空港(羽田)の国内航空旅客数は、昭和58年度には2,200万人であったが、平成2年度は3,809万人、平成12年度は5,477万人、平成17年度は5,947万人と増加してきた。平成24年度には7,320万人、平成34年度には8,550万人になると予測されている。
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2)国際航空
 平成18年12月現在、我が国26都市と世界43ヶ国・地域116都市との間で国際航空ネットワークが形成されている。同年の我が国の国際航空輸送は、世界的な原油高等に起因した航空路線網の縮小等の影響はあるものの、日中航空交渉妥結により冬期から中国路線が大幅に増便されることもあり、全体的には16年、17年に引き続き増加している。国際旅客の大半が航空輸送によって担われ、国際貨物に占める航空輸送の重要性も増してきていることから、国際航空ネットワークの拡充は不可欠であり、従来より国際空港の整備や新規航空協定の締結等を通じて、着実にその推進を図ってきた。しかしながら、諸外国の主要な空港と比べれば、我が国の首都圏を始めとする大都市圏における国際拠点空港の整備水準は十分とは言えない面がある。また、特に首都圏では、各航空会社や諸外国からの増便要請や新規乗入要請に十分対応できない状況にもあり、このままの状態が続けば、我が国の国際競争力が損なわれるおそれも出てくる。したがって、今後我が国がグローバル化した社会の中で確固たる地位を確保するためには、大都市圏の国際拠点空港機能の強化が切実な課題となっている。

 

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