第2節 みんなで支える

コラム 維持管理における様々な資金調達方法

 これまで紹介した以外にも、社会インフラの維持管理における資金調達には様々な方法があります。
 ネーミングライツは、スポーツ施設等の名称に、スポンサー企業の社名や商品名等のブランド名を付与する権利であり、集客力のあるスタジアム等では高額で取引されたりするケースも見られます。このネーミングライツは、道路や歩道橋等の社会インフラにも広まってきています。
 公道での初めてのネーミングライツは、2009年に静岡県磐田市で新設された市道2路線「さくら交通通り」「ららぽーと通り」で、それぞれ5年間で約150万円、約210万円の収益が得られ、道路の維持管理費用に充当されています。
 大阪府では安全・安心な道路施設を維持するため、歩道橋の通称名のネーミングライツを全国で初めて実施しました。条件は年間30万円以上、期間5年間であり、現在は10箇所の歩道橋で契約されています。
 
図表2-2-22 歩道橋ネーミングライツ(大阪府)
図表2-2-22 歩道橋ネーミングライツ(大阪府)

 このように、スポーツ施設に比べると金額は小さいながらも、ネーミングライツは社会インフラの維持管理の資金調達の方法の一つとなっています。地域の社会インフラの「広告媒体としての価値」を改めて見直すことで、新たな資金調達の選択肢となるかもしれません。

 住民参加型市場公募地方債(ミニ公募債)は、地方公共団体が当該地域に居住している個人・法人等を対象に発行する債券で、2002年に始まりました。ミニ公募債では、調達した資金を充当する事業について具体的に提示することとしており、社会インフラの維持管理を目的とする債券も多く発行されています。
 近年では、市場金利の低下等もあって発行件数、金額とも伸び悩んでいますが、毎年度2,000億円程度の発行があり、地方公共団体の資金調達方法の一つとして定着しています。購入者には、債券の利息に加えて、地域の特性を活かした特典(購入プレミアム)が付与されることもあるのが特徴で、例えば、購入者に抽選でコメが進呈されたり、地域の動物園の無料入場券が進呈されたりしています。これから社会インフラの維持管理が本格化していくなかで、ミニ公募債の購入を通じた地域住民の維持管理への参画が進むことが望まれます。
 
図表2-2-23 ミニ公募債の発行件数、発行額の推移
図表2-2-23 ミニ公募債の発行件数、発行額の推移
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 以上のように、社会インフラの維持管理のための資金調達の方法として様々な取組みが試みられており、今後、こうしたアイディアを活用・工夫することも、社会インフラをみんなで支えるためには重要と考えられます。


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