第1節 ヒト・モノ・カネ・情報の流れ

■1 地方移住等地方へのヒト(定住人口)の流れ

(1)地方移住、地方回帰の現状
(統計から見る地方回帰の流れ)
 第1章で見てきたように、近年では地方注18から都市への人口流出の傾向が再び強まっている注19。2010年から2014年の5年間について住民基本台帳人口移動報告注20を見ると、都市への人口移動は継続していることが分かる(図表2-1-1、図表2-1-2)。少し視点を変えて、過疎地域注21の市町村と過疎地域以外の市町村を比較しても都市部への人口移動の傾向は変わらない(図表2-1-3)。ただし、社会増を実現した市町村数が占める割合に着目すると、過疎地域で社会増を実現した市町村が占める割合が横ばいないし微増傾向にある(図表2-1-4)。
 
図表2-1-1 社会増減数の推移(三大都市圏と三大都市圏以外)
図表2-1-1 社会増減数の推移(三大都市圏と三大都市圏以外)
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図表2-1-2 社会増減市町村数の推移(三大都市圏と三大都市圏以外)
図表2-1-2 社会増減市町村数の推移(三大都市圏と三大都市圏以外)
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図表2-1-3 社会増減数の推移(過疎地域以外と過疎地域)
図表2-1-3 社会増減数の推移(過疎地域以外と過疎地域)
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図表2-1-4 社会増減市町村数の推移(過疎地域以外と過疎地域)
図表2-1-4 社会増減市町村数の推移(過疎地域以外と過疎地域)
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(足下で見られる地方回帰)
 統計データにより地方への人の流れの傾向を全国的に読み取ることは困難であるが、経済一辺倒の豊かさではなく、自然や地域との触れあいを大切にする生き方も求められており、田園回帰と呼ばれるように、地域を志向し地域を大切にしたいという若者も増えてきているとの指摘がある。
 内閣府が実施した世論調査では、確かに若い世代の田園回帰の意識の高まりが現れている。都市住民の農山漁村地域への定住願望についての調査によると、2005年調査に比べ2014年調査では、30代の農山漁村への定住願望が17.0%から32.7%へ、40代では15.9%から35.0%へと伸びている(図表2-1-5)。ただし、2014年の同調査では、農山漁村への定住願望が「ある」、「どちらかというとある」とした者のうち、すぐにでも農山漁村地域に定住したいと考える者の割合は60代、70歳以上で高い値を示しているものの、30代で4.0%、40代で1.3%、5年以内に定住したい者を含めてもそれぞれ10.0%、5.3%と必ずしも差し迫った願望にはなっていない(図表2-1-6)。
 
図表2-1-5 都市住民の農山漁村への定住願望(ある・どちらかというとある)
図表2-1-5 都市住民の農山漁村への定住願望(ある・どちらかというとある)
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図表2-1-6 農山漁村地域への定住実現の時期
図表2-1-6 農山漁村地域への定住実現の時期
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 特定非営利活動法人ふるさと回帰支援センター注22では、地方移住を希望する都市住民と、約800の移住・交流を支援する地方公共団体とのマッチングを行っている。同センターでは、問合せの件数や利用者の年代についてアンケートを実施しており、2014年の利用実績を見ると、来場者は2013年の約1.4倍となっている(図表2-1-7)。同センターの認知度向上により相談件数が増加したこと等を考慮する必要はあるが、同センターの性質を考慮すると、真剣にIターン等地方への移住を検討している、又は検討したいと考えている者が一定程度存在し、同センターを利用していることが推察される。また、ここでも40代までの若い世代の利用者数の増加が特徴的であり(図表2-1-8)、先に示した世論調査の結果と整合するものである。
 
図表2-1-7 特定非営利活動法人ふるさと回帰支援センター(東京)問合せ・来場者数の推移
図表2-1-7 特定非営利活動法人ふるさと回帰支援センター(東京)問合せ・来場者数の推移
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図表2-1-8 特定非営利活動法人ふるさと回帰支援センター(東京)利用者の年代の推移
図表2-1-8 特定非営利活動法人ふるさと回帰支援センター(東京)利用者の年代の推移
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■山梨県北杜市の事例
 個別具体の例では山梨県の北杜市(図表2-1-9)のように継続的に人口の社会増を実現している市町村もある(図表2-1-10)。北杜市では山梨県外からの転入者の割合が転入者全体の7割を占め、八ヶ岳等美しい山岳や日本一の日照時間等、豊富な地域資源を求める都市圏からの転入者が多いことが特徴である。この背景には、都市圏から比較的近くにあり中央自動車道等によるアクセス手段が充実していることのほかに、企業誘致や耕作放棄地の解消等雇用の場の確保に取り組むなど、田舎に住みたい人を支援する制度を充実させていることが挙げられる。
 
図表2-1-9 山梨県北杜市の位置図
図表2-1-9 山梨県北杜市の位置図

 
図表2-1-10 山梨県北杜市の人口社会増減
図表2-1-10 山梨県北杜市の人口社会増減
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■島根県の中山間地域で起きている田園回帰
 島根県中山間地域研究センターの調査によると、島根県の中山間地域注23を住民基本台帳の市町村単位よりも細かく小学校区や公民館区等の基礎的なコミュニティ単位(一次生活圏に相当、平均1,370人)で見ると、子供や30代女性が増えている地区が目立つという(図表2-1-11、図表2-1-12)。島根県の中山間地域を227のエリアに分け、2009年と2014年を比較すると、4歳以下の子供の数は69エリア(約30%のエリア)、30代女性の数は96エリア(約42%のエリア)で増加している。同センターでは集落現地への聞き取り調査等を実施しており、中山間地域に入る者は利便性や金銭を求めているわけではなく、子育て環境や伝統、人、自然とのつながり等を求めている者が多いと分析している。
 
図表2-1-11 島根県中山間地域での4歳以下の子供の増減数(2009〜2014年)
図表2-1-11 島根県中山間地域での4歳以下の子供の増減数(2009〜2014年)

 
図表2-1-12 島根県中山間地域での30代の女性の増減数(2009〜2014年)
図表2-1-12 島根県中山間地域での30代の女性の増減数(2009〜2014年)

(2)アンケート調査を踏まえた人々の意識の分析
 周知のとおり、移住には出身地に戻るUターンと、出身地とは異なる地域への移住であるI/Jターン注24がある。(株)三菱総合研究所が生活者モニターを対象に経年調査を行っている「生活者市場予測システム」注25によると、他の都道府県からの移住者は、都市で約36%、地方では約21%であり、特に都市では比較的大きな割合を占めていることが分かる(図表2-1-13)。また、国土交通省が実施したアンケート調査(以下「国民意識調査」という。)注26では、地方の住民について更に詳細に内訳を調査しており、地方では、定住者が約23%、Uターン者が約55%、I/Jターン者が約14%となっており注27、一度も他の市町村に出て生活したことがない者は比較的少数であることが分かる(図表2-1-14)。
 
図表2-1-13 出身者と移住者の割合
図表2-1-13 出身者と移住者の割合
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図表2-1-14 地方在住者の内訳
図表2-1-14 地方在住者の内訳
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 次に、世代や地域、定住者・移住者等の属性に分けて国民意識を分析する。

(地方に縁が「ある者」が「ない者」より地方への移住希望が高い)
 国民意識調査で地方への移住の希望を調査したところ、都市在住者の中でも、地方に縁のある者の方が地方に縁のない者より地方への移住を希望していることが明らかとなった。具体的には、都市に居住している地方出身者や、転勤や家族の介護、進学等で現在一時的に地方に居住している都市在住者の方が、都市出身の都市在住者より地方移住を希望する割合が高い傾向にある(図表2-1-15、図表2-1-16)。また、都市在住の地方出身者が、最も出身地に誇りを抱いていることも明らかとなっている(図表2-1-17)。

 
図表2-1-15 出身地域別の地方移住希望(都市在住者)
図表2-1-15 出身地域別の地方移住希望(都市在住者)
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図表2-1-16 現在の居住地別の地方移住希望
図表2-1-16 現在の居住地別の地方移住希望
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図表2-1-17 出身地への誇り(出身地・居住地別)
図表2-1-17 出身地への誇り(出身地・居住地別)
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 これは、地方に居住していた(又は一時的に居住している)経験により、都市より地方に魅力を感じている者が一定程度存在するためであると推察される。
 これらのことは、二地域居住等の交流人口の拡大が、地方移住へのきっかけになり得ることを示唆している。
 また、3年前と比較すると生まれ育った場所に住みたいとする者は減ってはいるが(図表2-1-18)、地方在住者の方が都市在住者に比べ各世代とも比較的生まれ育った場所に住みたいという願望が高い(図表2-1-19)。

 
図表2-1-18 生まれ育った場所に住みたい
図表2-1-18 生まれ育った場所に住みたい
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図表2-1-19 生まれ育った場所に住みたい(都市・地方、年代別)
図表2-1-19 生まれ育った場所に住みたい(都市・地方、年代別)
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(地方移住希望者が移住したい地域は地方の中でも都市部が多い)
 地方移住を希望している若い世代は、地方の中でも都市部への移住を希望する傾向が強い。また、60歳以上の世代も地方の都市部に移住したいと思う者が多いものの、若い世代と比較すると、農山漁村への移住を希望する者が多いことが分かった(図表2-1-20)。地方回帰というと、田園回帰やスローライフの実現といったキーワードで語られることも多いが、地方の都市部への移住を求めている者、農山漁村地域への移住を希望する者と、異なる潮流があり、割合的には前者の方が多い傾向にあることが見てとれる。
 
図表2-1-20 地方移住希望者が住みたい地域(年代別)
図表2-1-20 地方移住希望者が住みたい地域(年代別)
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 さらに現在の地域に居住している理由を尋ねると、Uターン者は、実家や家業を継ぐために居住している者の割合がその他の者と比べて高く、I/Jターン者はやりたい仕事があるから居住しているという回答が突出して高い(図表2-1-21)。これは、I/Jターン者の方が自由意思で仕事を選ぶ傾向にあるためと推測されるが、いずれにしても地方移住は就業と特に密接な関係があることが見てとれる。
 
図表2-1-21 現在の居住地に住むようになった理由
図表2-1-21 現在の居住地に住むようになった理由
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(地方に住むことの最大の魅力は自然環境の豊かさ)
 国民意識調査で地方に住むことの魅力について尋ねたところ、ほぼすべての項目において、地方への移住希望者が地方在住者より地方に魅力を感じていることが分かった(図表2-1-22)。いわば、地方への「あこがれ」があるものと推察される。また、移住希望者が最も魅力に感じているのは自然環境の豊かさであり、8割以上の者が魅力に感じるとしており、生活費の安さ、時間的余裕、広々とした居住環境等が続く。
 
図表2-1-22 地方に住むことの魅力
図表2-1-22 地方に住むことの魅力
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 比較的多くの地方移住希望者は地方の都市部への移住を希望していることから、必ずしも自然の豊かさを農山漁村地域のみに感じているわけではなく、地方の都市部の自然へのアクセスの良さ等にも自然の豊かさを感じていることが推察される。地方の都市部を志向する者は、ゆとりのある生活と都市的な利便性、自然への高い近接性をバランス良く求めているものと考えられる。これは、農山漁村に居住する者が、例えば、車で一時間程度の距離にある地方都市を訪れて、都市的な生活を楽しむこともできるということの裏返しである。

(I/Jターン者は都市部から遠すぎない地方に魅力を感じている)
 I/Jターン者にとっては、移住先を選ぶにあたって、都市部から遠すぎないことも魅力となるようである(図表2-1-23)。移住前の居住地に親戚、友人・知人がいる場合や、都市的生活を気軽に楽しむために、一定程度の頻度で移住前の居住地を訪問することを想定しているものと推察される。
 
図表2-1-23 現在居住している居住地(地方移住してみたい地域)の魅力(最大5つまで回答)
図表2-1-23 現在居住している居住地(地方移住してみたい地域)の魅力(最大5つまで回答)
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(移住者にとって自然災害のリスクが低いことは地方の魅力となっている)
 実際にUターンやI/Jターンにより移住した層は、自然災害のリスクが低いことを現在の居住地の魅力としている(図表2-1-23)。また、地震や津波の少ない安全な場所に住みたいと考える者は、東日本大震災直後から4年余りが経過している現在、安全に対する意識が若干薄れてきたようにも見受けられるが、2014年においてもなお、8割以上の者が安全な場所に住みたいという意向を持っている(図表2-1-24)。安心・安全に対する潜在的なニーズは依然として高い水準にあり、具体的な地方移住の理由の一つとなり得ることがうかがえる。
 
図表2-1-24 地震や津波の被害の少ない安全な場所に住みたい
図表2-1-24 地震や津波の被害の少ない安全な場所に住みたい
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(インフラはすべての層で重視されている)
 いずれの層も、買い物環境や交通インフラの充実度、病院の近接性等インフラを重視している(図表2-1-25)。地方の都市部に居住している者や、地方の都市部に移住したいと考える者は、このインフラを重視する層であると推察される。特に、地方移住希望者は、日用品の買い物環境を重視する者が多く、次いで交通インフラの充実度を重視している。また、地方移住希望者やI/Jターン者が定住者やUターン者に比べて、交通インフラの充実度をより重視しているのは、複数の移住候補地から選ぶ場合には、利便性も享受したいと考えている者が多いことによるものと推察される。

(地方への移住希望者は収入を重視し、実際の移住者はそれほど重視していない)
 地方移住希望者は収入額を重視する者が突出して多く(図表2-1-25)、地方へ移住することにより現在の職を離れ、収入が低下することを懸念していることが推察される。この収入への懸念が、図表2-1-6に現れているように、すぐにでも移住したい、5年以内に移住したいと考える者が少ないことの要因となっているとも考えられる。
 
図表2-1-25 移住・定住に際し重視した(重視する)条件
図表2-1-25 移住・定住に際し重視した(重視する)条件
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 次に地方移住に密接な関係があると推察される、仕事に関する価値観を分析したい。

(若い世代で仕事に対する期待感が減っている)
 3年前と比較して、平日に家族団らんの時間があるとする者が微減となっている一方で(図表2-1-26、図表2-1-27)、特に20代の若い世代で、仕事に満足感や充実感を感じている者が減っている(図表2-1-28、図表2-1-29)。これに呼応するように、会社の中で地位の向上(出世)を常に目指したいと考える者の割合も減っている(図表2-1-30)。特に20代の若い世代で、2011年には「そうしたい」、「ややそうしたい」とする者が、「あまりそうしたくない」、「まったくそうしたくない」の合計を上回っていたが(29.9%:27.6%)、2014年には逆転している(24.4%注28:31.7%)(図表2-1-31)。このような仕事に対する期待感の減少は価値観の多様化の表れの一つとも見てとれ、地方へ移住する際の引き金となっている可能性もある。
 
図表2-1-26 平日に家族団らんの時間がある
図表2-1-26 平日に家族団らんの時間がある
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図表2-1-27 平日に家族団らんの時間がある(年代別)
図表2-1-27 平日に家族団らんの時間がある(年代別)
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図表2-1-28 満足感や充実感のある仕事をしている
図表2-1-28 満足感や充実感のある仕事をしている
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図表2-1-29 満足感や充実感のある仕事をしている(年代別)
図表2-1-29 満足感や充実感のある仕事をしている(年代別)
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図表2-1-30 会社の中での地位の向上(出世)を常に目指したい
図表2-1-30 会社の中での地位の向上(出世)を常に目指したい
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図表2-1-31 会社の中での地位の向上(出世)を常に目指したい(年代別)
図表2-1-31 会社の中での地位の向上(出世)を常に目指したい(年代別)
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(地方移住希望者は、主な職業を持ちながら農業等の副業をもって生計を立てたいと願う者も多い)
 現実に地方に在住している現役世代は一つの職業で収入を確保している者が多く、地方移住希望者の多くも一つの職業で収入を確保したいと考えている。ただし、地方移住希望者は主な職業を持ちながら農業等の副業をもって生計を立てたいと願う者が地方に在住する者に比べて多いことがわかった(図表2-1-32)。いわゆるスローライフを求めている者が一定程度存在することを示していると思われる。確かにU、I/Jターン者は、地方定住者に比較して主な職業を持ちながら農業等の副業をもって生計を立てている者が多いが、移住希望者が望むほどの割合は占めていない。このギャップを埋めるためには、地方に複数掛け持つことができるような多数の小さな雇用(近隣集落での就農や、福祉、6次産業等での臨時雇用等)を用意することが必要であろう。
 
図表2-1-32 地方在住者の働き方と地方移住希望者が希望する働き方
図表2-1-32 地方在住者の働き方と地方移住希望者が希望する働き方
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 次に、実際に移住した者が、移住する前後で感じたギャップについて見ることによって、移住者がその地域に定住し続けるための課題を見る。

(移住した前後で、生活環境に良い方向のギャップを感じている者が多い)
 買い物環境や、病院の近接性、居住環境については想定より良い方向にギャップを感じている者が多い一方、教育環境や医療・福祉サービスの充実度については、特に若い世代でほぼ想定していたとおりという回答である(図表2-1-33)。買い物の利便性や病院の近接性は、利用してみて初めて実感することであり、教育や医療・福祉は全員が必要とするサービスではなく、必要と感じる者は事前に調査した上で移住することが想定されるため、ギャップが少なかったものと推察される。
 
図表2-1-33 Uターン、I/Jターン者が移住した前後で感じたギャップ(生活環境)
図表2-1-33 Uターン、I/Jターン者が移住した前後で感じたギャップ(生活環境)
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 一方、交通インフラの充実度(40〜59歳)、移住後の支援体制(40〜59歳、60歳以上)には悪いギャップを感じた者が良いギャップを感じた者より多く存在し、移住後の持続的な定住のための課題があるといえる。
 なお、高齢の世代は若い世代より良い方向にギャップを感じている者が多い。

(移住した前後で、地域の特性等に良い方向のギャップを感じている者が多い)
 地域の魅力や治安や防災等の安全性は、想定より良い方向にギャップを感じる者が多い(図表2-1-34)。家族・パートナーの理解が、移住後に良い方向に振れたとする者が多いのは、従属的に移住した家族やパートナーの満足度が向上したということであり、実際に居住することにより地方の魅力が実感されたものと推察される。
 
図表2-1-34 Uターン、I/Jターン者が移住した前後で感じたギャップ(地域の特性等)
図表2-1-34 Uターン、I/Jターン者が移住した前後で感じたギャップ(地域の特性等)
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 一方で、地元の人と仲良くなれそうか(40〜59歳)については、悪い方向にギャップを感じる者が多く存在し、移住者の心構えや地域の受け入れ体制等に改善の余地があることが分かった。
 また、ここでも高齢の世代は若い世代より良い方向にギャップを感じている者が多い。

(移住した前後で、若い世代は経済環境に悪い方向のギャップを感じている者が多い)
 若い世代のUターン、I/Jターン者は、経済的環境に悪い方向のギャップを感じている層が多いことも分かった(図表2-1-35)。特に収入額は想定していたものより悪いと感じており、支出額についても予想以上に減っていないと感じている者が多いことがうかがえる。一方で、全体の暮らし向きについてはそれほどギャップを感じておらず、想定の範囲内と見ることもできるが、例えば、子供が成長し、進学に伴い域外に出ること等を想定すると、仕送りが発生することになり、生活コストが増加することも考えられる。前述のとおり、生活環境や地域の特性等については、おおむね良い印象を感じている者が多いため、若い世代の定住を持続的なものにするためには、収入面・支出面の改善が重要であることが分かる。
 
図表2-1-35 Uターン、I/Jターンが移住した前後で感じたギャップ(経済的環境)
図表2-1-35 Uターン、I/Jターンが移住した前後で感じたギャップ(経済的環境)
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 なお、ここでも高齢の世代は若い世代より良い方向のギャップを感じていることが分かり、高齢の世代は、移住に関して総じて満足度が高いことが分かった。
 以上、述べてきたように地方移住には様々な動機や目的があるため、様々な主体に対して様々な地方の魅力の創出が必要である。一律に、若者世代は利便性の高い都市部に、高齢世代はスローライフを求めて農山漁村への移住を志向しているわけではない。実際には、農山漁村を志向する若者も存在し、地方都市を志向する高齢世代も存在する。
 例えば、2009年度から農林水産省が実施している「田舎で働き隊」制度では、20〜30代の若者を中心にこれまで1,100名が農山漁村に派遣され、派遣期間終了後も半数以上の者が地元に定住し、農林水産業や地域活性化等の活動に従事している。また、2009年度から総務省が実施している「地域おこし協力」制度では隊員の約8割が20〜30代であり、2014年度までに3,865名が過疎地域等に派遣されている。そのうちの約6割(2013年6月調査)が任期終了後も同じ地域に定住しているという。
 また、鳥取県では、2011年度から市町村の協力を得て、把握した移住者に対してアンケート調査を実施している。2013年度の状況を見ると、20〜40代は就職や結婚・子育て等を理由に移住してきた者が多く、50代以上は、退職による帰郷や田舎暮らしを志向しての移住が中心となっているが、田舎暮らしを志向して移住する若い世代も一定程度存在していることが見てとれる(図表2-1-36)。
 
図表2-1-36 年代別・理由別 移住世帯数(鳥取県・2013年度)
図表2-1-36 年代別・理由別 移住世帯数(鳥取県・2013年度)
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 また、都市へ流出した人の流れを地方へ取り戻すためには、図表2-1-20で見たように裾野が広いと考えられる地方都市への移住希望者の願望を叶えることが効果的である。すなわち、就業の場を用意し、買い物環境や交通インフラの充実等、都市的な利便性を一定程度提供することで、Uターン希望者等の地方回帰の流れを加速させることが可能になると考えられる。多くの地方移住希望者が地方都市に魅力を感じつつ、自然の豊かさにも魅力を感じていることが分かったため、地方都市と農山漁村の間のネットワークを構築することにより、地方の都市部の自然への近接性を高めることも一定の効果が見込まれると推察される。
 様々な主体に合致した地方の魅力をつくりあげ、交流人口を増やすことで、その魅力を訴えていくことが地方回帰を促進するために重要であるといえる。

(3)地方移住の流れをつくる「地域の魅力」の分析
 第1節図表2-1-25からもわかるように、移住志向者は収入や職業の確保などの金銭的側面を重視しながらも、利便性や自然環境等の金銭換算されない側面も重視している傾向にある。ここでは、移住に伴う家計の変化及び個々人が感じる「地域の魅力」について考察していく。

(大都市と小規模市町村の消費支出の比較)
 総務省「家計調査」により、都市規模別の月間平均消費支出の推移を見ると、2000年以降いずれの都市規模においても消費支出はおおむね減少傾向にあったが、2011年以降は三者三様の動きとなっている。大都市では増加に転じたのち直近は減少、全国では増加傾向が続き、小都市B(人口5万人未満の市)・町村は緩やかな減少基調である。また、小都市B・町村の消費支出は大都市と比べて1.5〜3万円少ない状態が続いている(図表2-1-37)。
 
図表2-1-37 1世帯当たり月間平均消費支出の推移(2人以上世帯)
図表2-1-37 1世帯当たり月間平均消費支出の推移(2人以上世帯)
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 次に、1世帯当たりの月間平均消費支出の項目別内訳について、全国平均を100とした場合の大都市と小都市B・町村の割合を見ると、大都市では、食料、住居、被服及び履物、保健医療、教育等が平均を上回っているのに対し、小都市B・町村では、光熱・水道、交通・通信が平均を上回っている(図表2-1-38)。大都市と比べた小規模市町村の消費支出は、食料、住居、被服及び履物をはじめトータルでは少ないものの、電気代や灯油代等をはじめとする光熱・水道や、交通・通信に含まれる自動車関連支出(自動車購入費、維持費、ガソリン代)は多いという傾向が見てとれる(図表2-1-39)。
 
図表2-1-38 1世帯当たりの1ヶ月平均消費支出の項目別割合(2014年、2人以上世帯)
図表2-1-38 1世帯当たりの1ヶ月平均消費支出の項目別割合(2014年、2人以上世帯)
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図表2-1-39 1世帯当たりの1ヶ月平均消費支出額(2014年、2人以上世帯)
図表2-1-39 1世帯当たりの1ヶ月平均消費支出額(2014年、2人以上世帯)
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(小規模市町村に居住している人々の生活実感)
 前項では、大都市と小規模市町村の消費支出について比較したが、小規模市町村での生活における、金銭換算されない定性的な部分の評価はどうなっているのだろうか。(株)NTTデータ経営研究所とNTTコムリサーチが実施した「小規模市町村における移住・定住の要因と生活状況に関する調査注29」によれば、小規模市町村での生活における満足度は「食事」、「居住環境」、「睡眠時間」が高く、これに次いで「買い物」や「ブロードバンド環境」といった項目も高くなっている。
 その一方で、「近隣都市への交通」、「地域内交通」といった交通面や「収入」、「経済的なゆとり」といった経済面での不満が高くなっている(図表2-1-40)。収入に関して、総務省「家計調査」によると平均年収注30が大都市644万円に対し小都市B・町村571万円と約1割少ない傾向にある。
 
図表2-1-40 生活における満足度
図表2-1-40 生活における満足度
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 実際に「「地域ストック」の豊かさに関する意識調査」注31で地方移住者注32350名の移住前後の収入の変化を調査したところ、収入は変わらない、又は減少したと答えた者が全体の約76%を占めている。また、可処分所得の変化については変わらない、又は減少したと答えた者が全体の約73%を占めており、移住により収入や可処分所得が改善する者は比較的少数と言える(図表2-1-41、図表2-1-42)。
 
図表2-1-41 移住による年収の変動額
図表2-1-41 移住による年収の変動額
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図表2-1-42 移住による可処分所得の変動額
図表2-1-42 移住による可処分所得の変動額
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 以上のように経済面については、小規模都市の居住者や地方移住者に優位性があるとは言い難いことから地方移住の背景には金銭化されない「地域の魅力」が影響していると考えられる。ここで金銭化されない「地域の魅力」が間接的に金銭的な生活コストに影響を与えている事例として、自給自足やお裾分けについて触れたい。自給自足やお裾分けの実施度合を月額換算額で見たところ、月額1万円以上相当の自給自足・お裾分けを実施している割合はどの収入額でも大差なく20%程度となっており、小規模市町村において、自給自足・お裾分けが食費を補完している側面があることがうかがえる(図表2-1-43)。
 
図表2-1-43 収入別「自給自足・お裾分けの月額換算額」
図表2-1-43 収入別「自給自足・お裾分けの月額換算額」
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(「地域の魅力」の金銭価値化)
 以下では、地方移住の流れに大きな影響を与えている「地域の魅力」を定量化するため「「地域ストック」の豊かさに関する意識調査」を実施し、人々の「地域の魅力」に対する評価額を調査注33することで、金銭価値化を行う。
 2つの仮想の地域モデル(「利便性の高い都会暮らし」、「自然豊かな田舎暮らし」)を設定し、居住を希望する地域モデルを調査すると、一般住民と地方移住者ではその傾向に違いが見られ、地方移住者は「自然豊かな田舎暮らし(以下「田舎暮らし」という。)」を選択する者が多く、一般住民は「利便性の高い都会暮らし(以下「都会暮らし」と言う。)」を選択する者が多い(図表2-1-44)。ただし、一般住民を日本の人口分布の縮図と考えると、国民の約4割は「田舎暮らし」を志向しているとも解釈することができる。
 
図表2-1-44 志向する地域モデルの傾向
図表2-1-44 志向する地域モデルの傾向
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 次に地方移住の背景となっている「地域の魅力」を分析するため、「田舎暮らし」を選択した者がどのような要素にどの程度の価値を見いだしているのかに着目していく。「「地域ストック」の豊かさに関する意識調査」にて、移住に当たって許容できる年収の減収額(許容減収額)を、地域に対する金銭価値と見なし調査を行ったところ、「田舎暮らし」を希望する地方移住者の約43%、一般住民の約31%は75万円/年(約6万円/月)以上の価値を認めていた。また、地方移住者は許容減収額が150万円に達すると「田舎暮らし」を希望する者が大きく減少する一方で、一般住民は75万円に達すると大きく減少しており、地方移住者の方が高い価値を認めている者が多い。しかし一般住民の中にも「田舎暮らし」に対し非常に高い金銭価値を認めている者が少数ながらいることもわかる(図表2-1-45)。
 
図表2-1-45 「自然豊かな田舎暮らし」の金銭価値
図表2-1-45 「自然豊かな田舎暮らし」の金銭価値
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 要素別の金銭価値を平均化したものが図表2-1-46と図表2-1-47であり、地方移住者、一般住民ともに「田舎暮らし」の「自然の豊かさ」を最も高く評価し、「広々とした居住環境」が続いている。「自然の豊かさ」については、地方移住者よりも一般住民の方が高い価値を感じていることから、一般住民の中には自然に対する「あこがれ」等から、「田舎暮らし」に対し高い価値を認める者がいると推測される。
 
図表2-1-46 「自然豊かな田舎暮らし」の要素別金銭価値(地方移住者)
図表2-1-46 「自然豊かな田舎暮らし」の要素別金銭価値(地方移住者)
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図表2-1-47 「自然豊かな田舎暮らし」の要素別金銭価値(一般住民)
図表2-1-47 「自然豊かな田舎暮らし」の要素別金銭価値(一般住民)
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 このように、「自然豊かな田舎暮らし」に対して高い価値を見いだしている者は、田舎に住むことによって都会に住むよりも多くの価値を得られる可能性が高い。例えば、「自然豊かな田舎暮らし」を志向する一般住民は「自然豊かな田舎暮らし」に見いだす金銭価値の合計を74万円(150名の平均値)としており、これはアンケートに参加した一般住民150名の平均年収の約13%の価値があることになる。つまり、このように田舎により大きな価値を見いだす者であれば、田舎に住むことを選択することが経済的にも合理性があると考えられる。
 これは、人々が地域の要素に対して持つ価値観は様々であり、画一的な価値観を持った個人のみを想定して都市や地域の政策を考えることが必ずしも適切でないことを意味する。
 例えば、集積の経済を前提とすると、一定程度の都市に住む方が合理性を有することになるが、ストックとしての田舎の価値を重視する者と都市の価値を重視する者の両方がいて、仮に何らかの理由で収入が減少するなど経済的な条件が変化した場合、各自の価値観に照らして田舎を選択する方が合理性を有する者も出てくると思われる。このような場合、重要となるのは居住地選択の柔軟性と多様性であると考えられる。
 このためには、良質な既存住宅を安心して売買できるよう、欧米諸国に比べ低水準である我が国の既存住宅の流通を活性化させることや、空き家の利活用、空き家物件に関する円滑な流通・マッチング等により住み替えの自由度を上げることも効果的である。
 また、地方が持つ「地域の魅力」に高い価値を感じていながらも都市に居住している者の流動性を高めることも重要である。例えば、漠然と地方に魅力を感じている者に対して、移住関連の情報を提供し、地方とのマッチングを進めることや、お試し移住等の移住体験等を通じて地域の魅力に接する機会を創設すること、さらには移住による経済環境の変化を抑制するため地方における雇用の創出等の地域経済自体の活性化を進める取組みを行うことも重要である。

(4)二地域居住の動向
 全国の総人口が減少する中で「定住人口」の増加をすべての地域で実現することはできない。また、地方の生活に関心がある人にとっても、求めている環境や条件と実際の状況が違った場合のリスクを考えると、一足飛びに「移住」することは必ずしも容易なことではない。
 「移住」に至らないまでも、これまであった交流人口を取り込み地域づくりに参加させることで「協働人口」を拡大し、積極的に地域に関わるライフスタイルを広げていくことも、地方への人の流れを促進していく上で重要である。
 このような意味で、従来から促進されてきた「二地域居住」というライフスタイルを推進することも重要である。

(二地域居住という住まい方)
 二地域居住人口の増加により、地域の消費需要や住宅需要等が増加し、新しい雇用機会の創出も期待できる。また、本節1.の地方に縁がある者の方が移住希望が高いとの意識調査結果にもあるとおり、二地域居住をする都市住民の一定程度の割合が、地域の魅力を実際に体験することによって、定住人口となることも期待できる。さらに、二地域居住は、災害に対するセーフティネットとしての役割も持ち、特に、震災等の災害に対しては、緊急の避難先の選択肢の一つとなるなどの効果がある。
 近年、公共交通機関や道路網の整備推進による時間距離の短縮や、ソーシャルメディアやスマートフォンの浸透、有線・無線による高速情報通信網の整備等のICT(情報通信技術)ツールの発達によるコミュニケーション手法の高度化・多様化によって、時間・距離・場所の制約は緩和されてきている。
 一方で、二地域居住を実践するためには、交通費や滞在費等の費用が発生するため、二地域居住を希望していても、費用負担を理由に断念した人もいると思われる。二地域居住に関するアンケート注34結果を見ると、二地域居住希望者は二地域居住実践者以上に「資金」を障壁に挙げる人が多い(図表2-1-49)。そのため、空き家や公的賃貸住宅の活用、LCCの参入促進等費用負担の軽減を図る様々な取組みを推進することが重要である。
 
図表2-1-49 二地域居住の実施上の条件・制約に関するアンケート調査結果
図表2-1-49 二地域居住の実施上の条件・制約に関するアンケート調査結果
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 また、今後は、単なる居住にとどまらず、生活・就労といった形でより積極的に2つの地域に関わりを持つ「二地域生活・就労」といったライフスタイルを拡大していくことも重要である。

(お試し居住)
 前述のとおり、二地域居住を実践するには、一定の費用が発生する。そのため、実践後に自分たちの求めている環境や条件と実際の状況が違ったとしても、新たな場所に住み替えることは容易ではない。
 また、移住や二地域居住をするためには、まず、移住地・居住地探しが必要である。特に、都会生まれの都会育ちといった、田舎に縁の少ない者が円滑に移住地・居住地探しを行うためには、行政だけではなく、民間、NPO等様々な主体が連携することによって、必要な情報の流通を活発化させる必要がある。そして、実地での移住地・居住地探しがスムーズに進められるためにも、長期休暇を積極的に活用した滞在型の観光等を促進する必要もあろう。
 そこで、移住や二地域居住を実践するためのステップとして、複数の地方公共団体では、一定期間、その地域に滞在し、実際に暮すことができる「お試し居住」が実施されている。

■北海道体験移住「ちょっと暮らし」
 北海道では、市町村やNPO等と連携して様々な移住・交流を促進する事業が実施されており、その中の一つに道内の市町村等が実施する「北海道体験移住「ちょっと暮らし」(以下「ちょっと暮らし」という。)」がある。
 「ちょっと暮らし」とは、北海道への移住や二地域居住等を希望している人が、生活に必要な家具や家電が備え付けられた住宅等に一定期間居住し、その地域での生活を体験するものである。提供する住宅には、空き家のほか、廃校を機に使用されなくなった教員住宅等既存の住居を活用しているものもある。
 2013年度には、前年度比14.6%増の2,264人が「ちょっと暮らし」を利用し、2006年度に集計を開始してから初めて2,000人を超え、過去最高を記録した。また、長期で利用する人が多く、平均滞在日数は継続して20日を超えており、観光目的のみではない、より地域に根ざした交流人口が増加していることがわかる(図表2-1-50)。
 
図表2-1-50 利用者数・平均滞在日数の推移
図表2-1-50 利用者数・平均滞在日数の推移
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 利用者の居住地別割合を見ると、首都圏が42%、近畿圏が28%、中京圏が10%と三大都市圏が全体の80%を占めており、都市圏在住者の北海道暮らしへの関心が高いことがわかる(図表2-1-51)。
 
図表2-1-51 利用者数の居住地別割合
図表2-1-51 利用者数の居住地別割合
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 利用者アンケートの結果を見ると、利用目的としては、シーズンステイが全体の約半数を占めているが、移住候補地探しや二地域居住地探しの利用者も多い(図表2-1-52)。「ちょっと暮らし」を利用し、実際にその地域で生活をすることで、今後の北海道への移住や二地域居住の実践に結びつくことが期待されている。
 
図表2-1-52 「ちょっと暮らし」利用者アンケート調査結果
図表2-1-52 「ちょっと暮らし」利用者アンケート調査結果
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注18 本項では三大都市圏を都市、三大都市圏以外を地方と定義。
注19 第1章1.(1)図表1-1-5参照。
注20  注21 過疎地域とは、「過疎地域自立促進特別措置法」第2条第1項に規定する市町村の区域と同法第33条第1項の規定により過疎地域とみなされる市町村の区域とした。
注22 正式名称は「認定特定非営利活動法人100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センター」。
注23 中山間地域とは、農業統計上用いられている地域区分のうち、中間農業地域と山間農業地域を合わせた地域を指す。
このうち、中間農業地域は林野率が主に50〜80%で、耕地は傾斜地が多い市町村を指し、山間農業地域は林野率80%以上、耕地率10%未満の市町村を指す。
注24 I/Jターン:Iターンは都市で生まれ育った者が地方へ移住すること、Jターンは地方で生まれ育った者が都市に移住し、その後生まれ育った地域でない別の地方に移住すること。
注25 (株)三菱総合研究所が2011年より毎年実施しているインターネットアンケート(回答数は、2011年は20〜69歳で30,000、2014年は70歳以上も含めて34,183。なお、経年比較の際は、2014年も20〜69歳で30,000としている。)。
注26 2015年2月に、全国の個人を対象としてインターネットを通じて実施(回答数3,000)。
注27 国民意識調査では、以下のとおり定義した。
なお、同一道県内の市町村間の移動者もUターン者に含まれている。
注28 小数点第2位以下により図表中の合計数値と一致していない。
注29 2014年7月に人口4万人未満の市町村の住民を対象に実施したアンケート(n=1050)。
注30 2014年調査で2人以上世帯の年収。
注31 2015年4月に全国の個人を対象としてインターネットを通じて実施。
注32 三大都市圏から三大都市圏以外へ自分の意志で移住した者。
注33 対象:一般住民(全国から人口分布に従い抽出された)350名、地方移住者350名
設問:(1)仮想の地域モデル「利便性の高い都会暮らし」と「自然豊かな田舎暮らし」のどちらに暮らしたいか、(2)選択しなかった暮らしから選択した暮らしに移住する場合の年収の減収許容金額はいくらか(100万円以下は25万円刻み、100万円超は50万円刻みの選択肢とした)、(3)(1)の暮らしを選択した理由は何か(5つの要素から重み付けし合計が100%となるように回答)
※前提条件として、移住の際、引越に要するコスト、生活コスト、住宅維持費、近隣医療施設の充実度や医療機関へのアクセス等は変わらないものと仮定
※「地域の魅力」の要素別評価額は、上記(2)と(3)のクロス集計により算出
注34 2013年1月に国土交通省が実施。本アンケートでは「二地域居住」を、「生活拠点とは別の特定の地域に生活拠点(ホテル等も含む)を設け、旅行や年末年始の帰省、出張等といった一時的なものではなく、年間で通算しておおむね1ヶ月以上の期間を過ごすこと」としている。


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