第2節 総合的・一体的な物流施策の推進

コラム 宅配便の再配達の削減に向けた取組み

 近年、電子商取引の大幅な拡大による宅配便取扱件数の急増(5年間で15%増加)に伴い、宅配便の約2割が再配達となっています。国土交通省の試算では、そうした宅配便の再配達により、「営業用トラックの年間排出量の1%に相当する年間約42万トンの二酸化炭素の発生(山手線の内側の2.5倍の面積のスギ林の年間吸収量に相当)」、「年間約1.8億時間の労働時間の発生(年間約9万人分の労働力に相当)」等の大きな社会的損失が生じていることが分かりました。
 そこで、国土交通省では、宅配、通信販売、コンビニ、ロッカー等の関係事業者が参加する検討会を開催し、宅配便の再配達に関するアンケート調査を行いました。それによると、再配達の要因に関する回答では、受取人が「配達が来るのを知らなかった」、「配達が来るのを知っていたが留守にしていた」がそれぞれ約4割を占める結果となりました。
 再配達の社会的損失を減らすことは、地球温暖化の抑制や少子高齢化によるトラックドライバー不足の改善につながります。また、今後も、利便性の高い日本の宅配サービスを維持し、より良いものにしていくためにも、無駄な再配達を減らしていくことが必要です。
 再配達の削減のためには、関係事業者の更なる連携・工夫に加えて、国民一人一人が再配達による社会的損失を理解し、その削減に協力していくことが求められます。
 再配達の削減に向けた主な具体策について、国土交通省では以下のようにまとめました。
<主な具体策>
1)WEB・アプリ等を活用したより簡単な配達日時指定方法の導入
2)再配達による社会的損失の社会的な理解促進や再配達削減の貢献に応じた受取人へのメリット付与
3)コンビニで取り扱う宅配・通販サービスの拡大や受取手順の改善等の利便性向上
4)住宅の宅配ボックスの設置促進や宅配ボックスに入るサイズとする梱包の適正化
5)鉄道駅等への宅配ボックスの設置等の新たな受取方法の導入・拡大

 これら具体策の実現のためには、様々な関係事業者が既存の垣根を超えて連携し取り組む必要があります。さらに、宅配サービスをはじめとする日本の「物流」がより生産性を高め、サービスの維持・向上を図っていくためには、荷主企業や物流事業者等が一体となって取り組むとともに、サービスを利用する企業や国民の「物流」に対する理解と協力が不可欠となっています。
 
【BtoC-ECの市場規模およびEC化率の経年推移】
【BtoC-ECの市場規模およびEC化率の経年推移】

 
【宅配便取扱実績の推移】
【宅配便取扱実績の推移】


注 宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会が実施した再配達となった受取人へのアンケート調査


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