第4節 動き方に関する取組み

■2 地方における動きの確保に関する取組み

(自動運転等による移動手段の確保の取組み)
 自動運転は、交通事故の削減や高齢者等の移動手段の確保等の課題の解決に大きな効果が期待されており、政府全体の目標として、2020年を目途に、高速道路での自動運転や、限定地域での無人自動運転移動サービスを実現すること等を掲げている。この目標の達成に向けて、国土交通省においては、2016年12月に「国土交通省自動運転戦略本部」を設置し、自動運転の実現に向けた環境整備、自動運転技術の開発・普及促進、自動運転の実現に向けた実証実験・社会実装の3つの観点から取組みを推進している。

■ラストマイル自動運転
 最寄駅等と最終目的地を自動運転移動サービスで結ぶ「ラストマイル自動運転」について、経済産業省と連携し、2017年12月から石川県輪島市において、2018年2月から沖縄県北谷町において、実証実験を開始している。
 2018年度は、さらに福井県永平寺町、茨城県日立市を加えた全国4箇所で実証実験を行うこととしており、1名の遠隔監視・操作者が複数車両を担当する自動運転技術の検証や社会受容性の実証評価等を行う予定である。
 
図表3-4-5 ラストマイル自動運転のイメージ
図表3-4-5 ラストマイル自動運転のイメージ

■中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービス
 過疎地域を含む中山間地域では、高齢化が進行しており、日常生活における人流・物流の確保が喫緊の課題となっている。一方、「道の駅」については、全国に設置された1,134箇所のうち、ほとんどが中山間地域に設置されており、物販をはじめ診療所や行政窓口など、生活に必要なサービスも集積しつつある。
 
図表3-4-6 中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービス
図表3-4-6 中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービス

 こうした道の駅など地域の拠点を核として、技術が進展している自動運転車両を活用することにより、地域生活を維持し、地方創生を果たしていくための路車連携の移動システムを構築することを目指して、2017年度、全国13箇所において自動運転サービスの実証実験を実施した。同実証実験では、道の駅等を拠点として、地域の特色を踏まえたビジネスモデルを検討するため、貨客混載による農作物や加工品等の配送や、自動運転車で集荷した農作物を、高速バスと連携して都内に配送するなどの実験にも取り組んだ。2018年度は、これらの結果を踏まえつつ、ビジネスモデルの構築のため、長期間の実験を中心に実施する予定である。

(公共交通の維持・活性化への取組み)
 人口減少・少子高齢化の進展に伴い、地方における公共交通の維持・活性化は極めて重要であり、そのためには、効率的で持続可能な地域公共交通ネットワークの構築が求められている。
 このような中、国土交通省では、「地域公共交通活性化再生法」に基づいて地域公共交通ネットワークの再編に対する支援を推進している。具体的には、運行効率化等のためのバス路線の再編、デマンド型タクシー等の多様なサービスの導入、LRT注22・BRT注23の整備や、地域鉄道の「運営」と「所有」を分離し運営を維持すること(上下分離)等に取り組んでいる。
 
図表3-4-7 地域公共交通ネットワークの再構築を図る事業のイメージ
図表3-4-7 地域公共交通ネットワークの再構築を図る事業のイメージ


注22 次世代型路面電車システム(Light Rail Transit、LRT)の略称。床が低い車両の活用等により乗り降りしやすい等の特徴を有する。
注23 バス高速輸送システム(Bus Rapid Transit、BRT)の略称。バス専用道を走行すること等により、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる。


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