はじめに

はじめに

 我が国の総人口は2008年1億2千808万人のピークの後、減少に転じている。2065年には8,808万人になると言われており、東京圏等一部の地域を除き、更に人口減少が進行する。また、日本人の平均寿命は、2016年、男性が80.98歳、女性が87.14歳となり、世界トップクラスとなるなど、いわゆる「人生100年時代」の戸が開かれようとしている。
 このような状況を踏まえ、我が国においては、これまでの人口増加や寿命を前提とする社会システムの延長ではなく、大きな変革を行うことにより、「一億総活躍社会」の実現を目指して、「働き方改革」等の取組みを進めており、国土交通省においても、生産性の向上を図るため、「生産性革命」を推進している。
 このような時代の流れの中、ワークライフバランス、生きがいといった、古くからある概念が新しい価値観となり、これまでも小さくはなかったものの、今後、ますます太い幹となっていくことで、我々の暮らしを大きく変えていくと考えられる。「働き方改革」は、働き方を変えていく。そして今後は、「働く」のみならず、暮らし全体を変える「暮らし方改革」が求められていくものと思われる。現在、我々は、この変化の山場にいるといっても過言ではないであろう。
 国土交通行政は、社会資本、交通をはじめ国民一人ひとりのライフスタイルと密接に関わっており、国民の暮らしの変化に大きな役割を有している。このため、すべての人が輝く社会の実現を目指し、安定的・持続的な公共投資を推進しつつ戦略的・計画的な取組みを進めることにより、これからも国土交通行政を着実に推進していく必要がある。
 以上の背景及び問題意識を踏まえ、平成29年度国土交通白書の第I部では、「大きく変化する暮らしに寄り添う国土交通行政〜すべての人が輝く社会を目指して〜」をテーマとし、「働き方」「楽しみ方」「住まい方」「動き方」の4つの観点から、我が国の現状・課題及び国民意識調査の結果を分析し、それらに応える国土交通分野の取組みを紹介していく。

 また第II部では、平成29年度の国土交通行政の各分野の動向を政策課題ごとに報告する。


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