(a)旅客輸送


 30年代から40年代にかけて国鉄の旅客輸送量(人キロベース)は、我が国の経済成長にあわせて増加し、30年代は年平均6.7%増加、40年代は年平均2.4%増加していた。しかし、49年度の2,156億人キロをピークに減少に転じ、50年代は年平均1.1%減少となる等低迷が続いた〔1−1−1図〕

 

 国鉄旅客輸送の国内旅客輸送全体における分担率をみると、急速なモータリゼーションの進展により、43年度には国鉄と自動車の分担率が逆転し、その後も自動車の分担率が上昇する一方で、国鉄の分担率は低下を続け、50年度には30.1%、国鉄改革直前の61年度には22.6%にまで低下した〔1−1−2図〕

 

 これを距離帯別分担率(人員ベース)の推移でみると、自動車及び航空の分担率の上昇により、国鉄の分担率は各距離帯においてそれぞれ低下している。
 しかしながら、このような状況においても、300〜750kmの中距離帯における分担率をみると、国鉄改革直前の61年度でも依然として約6割を占めており〔1−1−3図〕、国鉄は、中距離都市間旅客輸送の分野において、なお基幹的交通機関としての役割を果たしていた。