(d)設備投資の状況


 国鉄は、収支状況を年々悪化させていたにもかかわらず、公社という経営形態のあり方そのものに内在する体質から、輸送力の増強を中心とした多額の設備投資を毎年行っていた。このような設備投資の中には、通勤・通学輸送の混雑緩和のための投資等直接収益とは結びつかないもの、また、完成までに長期の期間を要するものが多かった。一方、このような投資は、国鉄の経営状況からそのほとんどを借入金に依存せざるを得ない状況にあったことから、その利子負担の増加も含め、長期債務を増加させる原因の一つとなり、国鉄の事業経営を圧迫していた。
 なお、後述の国鉄の再建対策の一環として、57年9月の閣議決定に基づき、安全確保のための投資を除き設備投資を原則として停止することとなったため、57年度から投資額は減少に転じた〔1−1−12図〕