(ウ)再建対策

〜4次にわたるも実らず


 国鉄の経営状況の悪化に対処するため、国及び国鉄は、44年度以降、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に基づく第1次再建計画(44〜47年度)及び第2次再建計画(48〜50年度)、日本国有鉄道再建対策要綱(50年12月閣議了解)に基づく第3次再建対策(51〜52年度)及び日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づく第4次再建対策(56〜60年度)を講じた。その内容は、輸送及び業務運営の近代化、要員規模の縮減、適時適切な運賃改定、地方交通線のバス輸送への転換、利子補給、累積赤字の一部棚上げ等であった〔1−1−13図〕

 

 しかしながら、これら4次にわたる再建対策によっても、事業経営を抜本的に改善するには至らなかったため、経営形態を含めた抜本的な改革を迫られることとなり、後述するように、60年7月の国鉄再建監理委員会において、分割・民営化を基本理念とする「国鉄改革に関する意見」が出されることとなった。
 運輸省及び国鉄は、62年4月の分割民営化の実施までの間、来るべき新経営形態への円滑な移行に資するとの観点から、58年反び59年の二度にわたる国鉄再建監理委員会の提言を受け、要員対策、職場規律の確立、事業分野の整理、地方交通線対策、設備投資の抑制等の緊急対策を実施し、また、61年度には、「日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和61年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律」により、国鉄の債務負担の軽減、希望退職の促進を図るための措置等を行った。このうち、希望退職については、内閣に設けられた国鉄余剰人員雇用対策本部を中心に政府及び関係機関での受け入れへの取り組みに併せ、民間部門での受け入れ要請を行ったところ、官民を挙げた幅広い協力が得られた。この結果、約4万人の職員が民間企業等へ再就職し、約7千人余の職員が国、地方公共団体、特殊法人等の公的部門へ再就職した。