第3節 鉄道事業は再生されたか


 昭和62年4月の国鉄の分割・民営化に伴い特殊会社として発足したJR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州及びJR貨物(以下「JR」という。)は、今年度で会社発足後10年目を迎えた。この間、輸送量が概ね順調に増加し、これによる運輸収入の増加と事業の合理化・効率化により、国鉄時代と比較して経営状況は好転した。さらに、国鉄時代には批判のあった輸送サービスについては、利用者のニーズに応じたサービスの提供に努めており、技術開発も進展している。第5節で述べる長期債務等の処理等といった残された課題はあるものの、鉄道事業の再生は着実に果たされつつあると考えられる。そこで、国鉄分割・民営化後のJRの輸送の動向、事業経営の状況、サービスの向上及び技術の進展について概観する。