(イ)輸送機関別の輸送動向


 (JR(旅客会社)は震災の反動により人員、人キロとも増加)
 JR(旅客会社)は、7年4月上旬に震災による不通区間が全線開通し、震災の影響が緩和されたことなどから、輸送人員が1.1%増、輸送人キロ1.9%増となった。
 定期旅客についてみると、新幹線定期旅客の輸送人員が9.1%増、輸送人キロも8.5%増と堅調に伸びており、また、JR全体でも輸送人員0.7%増、輸送人キロ1.4%増となっている。平均輸送距離も0.7%長くなり、通勤通学の長距離化傾向は依然として続いている。
 定期外旅客は、震災の影響の緩和などにより、輸送人員1.8%増、輸送人キロ2.3%増となった。特に輸送人キロの回復の度合いが大きく、平均輸送距離の伸びが4年振りにプラスに転じた〔2−1−4図〕

 

 (民鉄は依然低調な推移が続く)
 民鉄(JR(旅客会社)を除く。)は、震災後の不通が長引いた事業者もあり、輸送人員0.5%減、輸送人キロ0.6%減と低調に推移した。このうち、定期旅客は、輸送人員0.8%減、輸送人キロ0.6%減、定期外旅客は、輸送人員横ばい、輸送人キロ0.5%減となり、定期の減少傾向が依然続くとともに、定期外も低調となっている。業態別でみると、大手民鉄(15社)は輸送人員0.8%減、輸送人キロ0.9%減と減少を続け、地方中小民鉄は輸送人員0.6%減、輸送人キロ0.5%減、地下鉄は輸送人員0.1%増、輸送人キロ0.6%増となった。

 (自動車輸送は引き続き営業用が減少、自家用が増加)
 自動車のうち営業用自動車(バス、ハイヤー・タクシー)は、輸送人員2.9%減、輸送人キロ1.6%減と減少が続き、自家用自動車は、輸送人員2.2%増、輸送人キロ1.9%増と増加を続けた。

 (減少を続けるバス輸送)
 営業用バスは輸送人員2.9%減、輸送人キロ1.1%減、自家用バスは輸送人員2.8%減、輸送人キロ7.3%減となり、ともに減少が続いた。
 営業用バスのうち、乗合バスは、輸送人員3.1%減、輸送人キロ3.9%減と減少が続いた〔2−1−5図〕。貸切バスは、震災の影響が緩和され、輸送人員0.3%増、輸送人キロ1.0%増と回復へ向かった。

 

 (ハイヤー・タクシーも減少続く)
 営業用乗用車(ハイヤー・タクシー)も減少を続け、輸送人員2.8%減、輸送人キロ4.3%減となった。旅客需要の減少が止まらないため、実車率(実車キロ/走行キロ×100)の低下傾向が続くとともに、5〜6年度において上昇傾向を示していた実働率(実働延日車/実在延日車×100)も減少に転じた〔2−1−6図〕

 

 (自家用乗用車は堅調に増加)
 自家用乗用車は、輸送人員2.1%増、輸送人キロ2.2%増と堅調に増加した。稼働状況を表す実働率は69.0%と6年度に比べて若干減少したものの、保有車両数は3.6%増と安定した伸びを続けている〔2−1−7図〕

 

 (航空は好調な伸びが続く)
 航空は、震災後の臨時便運航による輸送量増加の反動はあるものの、輸送人員4.8%増(幹線3.1%増、ローカル線5.7%増)、輸送人キロ6.1%増(幹線4.7%増、ローカル線7.1%増)となり、関西国際空港の開港などで輸送量が大幅に増加した6年度に引き続き、好調な伸びを示している。また、輸送力についても幹線・ローカル線ともに増加しており、座席利用率は6年度の61.2%に対し7年度は60.7%とほぼ横ばいとなった〔2−1−8図〕。

 

 (旅客船は輸送人キロが大幅減少)
 旅客船(一般旅客定期航路、特定旅客定期航路及び旅客不定期航路の合計)は、2年連続で航路数が減少したことに加え、震災による長距離旅客の減少なども影響し、輸送人員1.4%減、輸送人キロ7.0%減と輸送人キロが大幅に減少した。