3 輸送指数の動向


 (輸送指数は輸送業総合、輸送活動総合とも順調に増加)
 我が国経済が緩やかな回復局面にある中で、7年度の輸送業総合の輸送指数は、対前年度比(以下同じ。)2.7%増(6年度は1.1%増)と、GDPを上回る伸び率を示した。
 自家輸送を含む輸送活動総合の輸送指数は、好調なマイカー輸送に支えられ、2.2%増(6年度は1.7%増)と順調な伸びを維持している〔2−1−25図〕

 

 (自家用の寄与が大きい旅客、変動の激しい貨物)
 最近の5年間をみると、国内輸送活動総合の輸送指数の伸び率は、景気の谷にあった5年度に減少に転じたのを除けば、GDPの伸び率に概ね呼応した動きを見せている。
 このうち、旅客輸送活動の輸送指数は、民間最終消費支出の安定した動きに沿って、ウェイトの大きい自家用輸送機関(マイカー、自家用バス等)がプラスに寄与を続けており、GDPの伸び率に概ね呼応した動きとなっている。なお、営業用輸送機関は、4年度以降、バス、タクシーなどの輸送量の減少により、マイナスの寄与が続いている。6年度は、震災による鉄道等の運休などが寄与をさらに押し下げたが、7年度はその反動でマイナス幅を小さくした。しかしながら、営業用輸送機関のウェイトが小さいことから、営業用輸送機関のこのような輸送量変動は、旅客輸送活動全体の輸送指数には大きく影響しなかった。
 また、貨物輸送活動については、4〜5年度には、建設関連貨物の輸送量が大幅に減少したことなどにより、自家用輸送機関(自家用トラック)がマイナスに大きく寄与したが、6年度以降には、猛暑、震災等による特別需要の増加などにより、営業用輸送機関がプラスに大きな寄与を続けている。このような輸送量の変動を受け、貨物輸送活動全体の輸送指数はGDPの増減幅を超えた激しい動きとなっている〔2−1−26図〕、 〔2−1−27図〕

 

 


<輸送指数とは>

 輸送指数とは、我が国の国内旅客・貨物輸送活動及び我が国企業による国際輸送活動を総合的にとらえ、指数化したものである。具体的には、各輸送機関別の旅客・貨物輸送量(原則として旅客は人キロ、貨物はトンキロ)を、それぞれの輸送機関の創出した粗付加価値額(雇用者所得・営業余剰等)をウェイトとして、基準時加重相対法(ラスパイレス法)により総合化している。
 従って、人や人キロまたはトンやトンキロを単位とするそれぞれの輸送量に対して、輸送活動を経済的側面からとらえた総合的な指数であり、国内総生産(GDP)や鉱工業生産指数等と対比してとらえられることができるものである。
 この指数の系列のうち、輸送業総合は、営業輸送だけからなるもので、輸送活動総合は、自家輸送を含んだすべての輸送からなるものである。