(2) 鉄道整備に対する支援措置


 幹線鉄道の整備に対する支援措置として、全国新幹線鉄道整備法に基づく整備新幹線の整備に対する助成のほか、在来線の高速化等に関して、幹線鉄道等活性化事業費補助制度等が導入されている。
 一方、都市鉄道の整備に対する支援措置としては、通勤・通学混雑の緩和等に資する新線建設や複々線化等を進めるため、従来から地下高速鉄道整備事業費補助制度(昭和37年度開始)や日本鉄道建設公団による民鉄線建設(P線利子補給金)制度(昭和47年度開始)などの支援措置が導入されてきた。しかし、近年、大都市圏を中心として既存の支援措置だけでは不十分な状況となったため、支援措置の多様化が進んでいる。例えば、宅地開発と鉄道整備を複合的に行うものを対象に開発者負担や地域社会の支援措置を制度化したものとして、ニュータウン鉄道整備事業費補助制度(昭和48年度開始)や大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法に基づく制度(平成元年度開始)があり、また、将来にわたる輸送力増強工事の資金に充てるために運賃収入の一部を非課税で積立てることができる特定都市鉄道整備積立金制度(昭和61年度開始)が導入されている。平成6年度には地下高速鉄道整備事業費補助制度等の拡充がなされ、8年度より、沿線地域の活性化・開発の促進等に資する貨物鉄道の旅客線化事業に対する補助制度が創設され、支援措置の一層の充実が図られた。さらに、3年に鉄道整備基金が設立され、国の一般会計等の財源による鉄道整備に対する既存の助成のほか、新たに既設新幹線の譲渡代金の一部(特定財源)を活用した整備新幹線の建設に対する交付金の交付や主要幹線鉄道又は都市鉄道の整備事業に対する無利子の資金の貸付け等の助成が総合的かつ効率的に行われることとなり、また、6年度に都市鉄道・幹線鉄道整備事業費が新たに公共事業関係費とされ、助成財源の安定的、継続的確保が期待されることとなった。
 また、駅施設に対する支援措置として、エレベーター及びエスカレーター等の整備について(財)交通アメニティ推進機構による補助や日本開発銀行による低利融資制度があるほか、地域の活性化及び振興に大きな役割を果たす複合的な機能を持つ旅客ターミナル施設の整備に対しても、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の特定施設として支援を行っている。
 今後とも、これらの制度をより有効に活用し、鉄道整備を積極的に進めていく必要がある。