(3) 地域の生活を支える海上旅客輸送の確保


 (離島航路の整備・近代化)
 地域の生活を支える海上旅客交通を維持・整備し、その利用促進を図るためには、旅客航路事業者による地域のニーズに対応した輸送サービスが必要であり、地方公共団体等による地域振興施策等の展開を図ることが重要である。
 しかしながら、こうした施策の展開を図ったとしても、旅客輸送量が伸びず、地域の実情にあった輸送サービスの提供が困難となる場合には、運賃水準の適正化、運航及び事業運営の効率化等と併せて、公的助成を行うことにより維持・整備を図ることが適当である。
 離島航路の維持・整備については、6年度の制度改正において、航路経営により生じた欠損の75%相当額を国が、25%相当額を地方公共団体がそれぞれ補助する従来の定率補助方式を改め、国は国庫補助対象航路を除く全国の離島航路の実態を考慮して定める標準的な賃率や標準単価に基づき算定する標準化した欠損額を補助し、地域の実情に応じて生ずる残余の欠損に対しては、地方公共団体が主体的な事業として補助を行うこととした。これにより、国の補助における標準的な賃率や標準単価を通じて経営効率化の目安が示されると同時に、地方公共団体の自主性が発揮されることとなった。
 さらに、8年度には、事業者において経営改善5ヶ年計画を作成した上、一層の経営努力を行いながら航路経営の改善・効率化を図る仕組みとして経営改善制度を導入した。
 また、離島の振興を図る上で、船舶の高速・大型化等が必要となっていることから、6年度から、離島航路に就航する船舶の近代化に係る建造費用の一部を補助する制度を設けた。
 これらにより、離島航路の利便性の向上、観光需要の増加が期待される。