(4) 荷主の物流コスト削減と内航海運の輸送効率化への取り組み


 近年、近隣諸国等との国際競争関係の激化、石油業界における規制緩和(8年4月から特石法廃止)等を背景として、荷主側の経営環境は一段と厳しさを増しており、大胆なリストラに取り組んでいる。その中で物流コストの削減に資する内航輸送の効率化も大きな課題として提起されている。
 内航海運においては、従来から荷役時間の短縮、配船の効率化等を進めてきたが、今後も物流コストの削減に資する内航輸送の効率化を推進することがこれまで以上に求められており、船舶の大型化・近代化、荷役機械の高度化等を推進するとともに、EDI等の情報システムの整備、配船・船員配乗等について事業者間で共同して行える体制の整備等を推進していく必要がある。また、荷主側においても、全天候型バースの整備、荷役機械の近代化、商取引慣習の見直し等による出荷波動の平準化、出荷ロットの大型化を推進していく必要がある。
 なお、物流コストを削減するため、石油業界においては交錯輸送の縮小等により内航海運による輸送量を縮小させる動きが、また、鉄鋼業界においては荷役時間の短縮等により船舶の回転率を向上させること等の動きが顕著となってきており、これらの動きは内航海運の必要船腹量を減少させる方向で作用することとなる。
 このため内航海運においては、今後の船腹需給の変動に的確に対応し、安定的かつ効率的な輸送サービスを提供する観点から荷主との間の定期協議機関の活用等により、今後の輸送需要動向等の把握に努めるとともに、船腹需給変動への対応力の確保等を図るため、協業化、集約・合併等の推進により内航海運業者の事業規模を拡大し経営基盤を強化していく必要がある。