(2) 船員制度の近代化


 船舶の技術革新に対応した近代的な船員制度を整備するとともに、厳しい海運情勢下で日本人船員の職域確保を図る等の観点から、船員制度の近代化に関する実験及び検証を進めることにより、段階的に乗組体制の見直しを行い、5年4月には世界で最も少数精鋭化された第四種近代化船(11名体制)を実現させた。
 一方、プラザ合意後の急激な円高等、厳しい国際状況下で近代化船は海外売船等により急激な減少傾向が続いたことから、4年6月の船員制度近代化委員会「今後の船員制度近代化のあり方(第四次提言)」に基づき、近代化船の制度をマルシップ方式の混乗船の中で生かす混乗近代化船(日本人船員8〜9名)を6年3月に実用化したほか、より一層の円高の進展に対応し、日本人船員6〜7名体制の混乗近代化船を7年9月より実用化している。  さらに、第四種近代化船についても、海外貸渡方式により外国人要員による洋上メンテナンスを7年10月より実施した。
 しかしながら、近代化船を取り巻く環境はさらにその厳しさを増しており、近代化船とは別の枠組みで、7年春の急激な円高を機に、前述のように国際船舶制度への取り組みが開始されることとなった。
 なお、今後の船員制度近代化のあり方については、船員制度近代化委員会の下で、現在、船員制度近代化の経過及び提言の達成状況等、船員制度近代化の経緯を取りまとめ、情勢等を分析し、課題の整理及び今後の方向について検討を進めている。