来島海峡航路においては、過去30年間に52件の衝突事件が発生しており、西水道における発生が極めて多くなっています。
衝突時の潮流の状況を見ると、南流時が34件と北流時の18件より多くなっています。
衝突地点を見ると南流時では、馬島の南西方の西水道に集中しており、北流時には、馬島の北西方で多く発生しています。
船種別で見ると、内航貨物船、外国船及び内航タンカーの順となっています。
特に外国船については南流時に多く発生しており、その発生場所は、馬島付近を筆頭に航路内の全域におよび、海交法で定める特殊な航法について理解されていない例が多く見られます。
来島海峡航路の航法を定めた海交法第20条の各項を遵守しなかったために衝突を招いた事件は19件あり、その内訳は次のとおりです。
・「順中逆西」の原則による航法(第20条1項1号) …… 5原因
・中水道の航行は、できる限り大島及び大下島側に近寄る(第20条1項2号) …… 13原因
・西水道の航行は、できる限り四国側に寄って航行(第20条1項3号) …… 9原因

来島航路における衝突事件発生地点の状況
来島海峡航路における衝突事件の船種と潮流の状況
裁決事例
外国船が海交法に定める「順中逆西」の航法を知らずに衝突した事例
 フィリピンの船籍貨物船(2,981総トン)船長は、来島海峡航路6回の通航経験があったが、海交法の通航に関する特別な規定が定められていることを知らなかった。船内に備えられていた英国版海図に順潮時及び逆潮時の針路法が記載されていたが読まず、専ら中水道より可航幅の広い西水道を通航しており、本件時も順潮時に西水道を通航して衝突に至った。

 

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