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東京大学 大学院医学系研究科 公共健康医学専攻行動社会医学講座
精神保健学分野 准教授

島津 明人

「ポジティブ・オフ」で攻めのメンタルヘルスを

私は、現在東京大学大学院で、精神保健学、産業保健心理学を専門として、「ワーク・エンゲイジメント」「ストレス対策」「ワーク・ライフ・バランス」をテーマとした、企業組織における人々の活性化・メンタルヘルスの研究を行っています。
その中で、各企業・自治体の産業保健や人事の担当者を対象としたセミナーや研修では、今後は「攻めのメンタルヘルス」が必要になるということをお伝えしています。

これまでのメンタルヘルス対策は、うつ病やストレス状態になってしまった人を対象とし、働く場や働き方のみを扱ってきました。
しかし、従業員個々の健康や幸せを考え、生産性を高めることで企業にも効果のある取組を行うためには、健康な状態の人も含めてメンタルヘルス対策を考える必要があります。そのために、働く場や働き方以外の要因、例えば、地域生活、家庭生活、趣味など、オフの時間の過ごし方にも焦点をあてて取組む考え方が、「攻めのメンタルヘルス」です。

ここで、オフの過ごし方とストレスの関係を、バケーション(長期休暇)、週末、1日のオフ(仕事終わり)という、オフの時間の長さで区分して説明します。
まず、バケーション(長期休暇)では、休暇の後に大きくストレス値が下がるものの、数週間で元のストレス水準に戻ってしまうことが分かっています。
次に週末では、仕事以外のアクティビティを行うと翌週の月・火・水曜日のパフォーマンスやモチベーションが高いという研究結果が出ています。また、仕事以外でも自分が望まないアクティビティを行うと、逆効果となることも分かっています。
最後に、1日のオフ(仕事終わり)では、日中の仕事で高まったストレス状態を元のレベルまで戻すことが必要であることが分かっています。これは、プロ野球のピッチャーが肩や肘をアイシングするように、試合で高まった疲労を一気にクールダウンさせることと同じです。
これらの事実も示唆しているように、「攻めのメンタルヘルス」では、1日のオフ(仕事終わり)や週末をどのように過ごすかが非常に重要になるのです。

したがって、創造的、自立的に働き、良い仕事をしたいと考えている皆様には、働き方だけではなく、休み方にも気を配って頂き、良いオフの過ごし方をして頂きたいと思います。
また、社会全体がサポートすることで、良い休みが良い仕事に繋がるということが認識されるようになって欲しいと思います。
そして、「ポジティブ・オフ」運動には、良いオフを過ごすことの意義を、個人、企業、社会へ訴求して頂くことを期待しています。