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環境負荷に係る検討について

3−2−2 環境負荷の影響と削減の可能性

新都市からの環境負荷発生量を最大ケースの最終段階(約60万人規模)について、標準ケース、負荷削減方策導入ケースにおける試算を行った。この結果より、環境負荷の影響と削減の可能性について示す。

(1) 地域レベルの環境負荷
新都市より発生する主要な環境負荷として、排水負荷、水質汚濁負荷(BOD)、地域NOx、廃棄物埋立処分負荷等が新都市とその周辺に新たに生じる。ただし、いずれも現状技術レベルの先進的な方策の導入により、一定レベルにまで軽減できることが示された。実際は制度やコストの問題が関係してくるため、試算どおりの削減率を達成するには課題があるが、新都市建設時には、環境負荷削減に関する技術が相当進歩していることが予測されることから、ここで試算した結果以上に負荷を軽減できる可能性もある。また、新都市では具体的な立地場所の状況も考慮した対応が求められる。

1)排水負荷:2.9→2.0m3/秒(標準ケース→負荷削減ケース)、約30%削減
新都市からは最大で約3m3/秒の排水が排出される。放流先の河川への影響は、河川流量、現状水質によって異なってくる。新都市で、節水機器の導入、排水再利用システムの組み込み等により約2m3/秒となり約30%の排水を軽減できると試算された。ここでは排水再利用をトイレ用水に供給することを想定したが、さらに空調用、散水用水等の用途に拡大すること等により、さらに高度な排水量削減も可能である。

2)水質汚濁負荷(BOD):5,000→1,700kg-BOD/日、約70%削減
ここでは標準ケースの処理水質をBOD20mg/l、負荷削減ケースの処理水質をBOD10mg/lと想定して試算を行った。排水再利用等による排水量の削減と合わせて水質汚濁負荷量は約3分の1に削減することが可能である。また、技術的にはさらなる高度処理も可能である。なお、本検討では、新都市全体で1箇所の下水処理施設を設置することを想定しているが、分散型の方式を導入することや、放流場所を適切に選定することなどにより、各地域の状況に合わせた方策をとることが可能である。例えば、処理水の農業用水としての活用を図ることで、下流河川への汚濁負荷をさらに削減することも考えられる。なお、下流に閉鎖性水域を有する地域に立地する場合には、富栄養化の原因となる栄養塩(窒素、リン)の除去にも配慮することが必要となる。

3)地域NOx排出量:3,900→470kg-NO2/日、約90%削減
都市内の交通及び建物でのボイラを発生源として大気環境への影響が懸念される。地域NOxの主な発生源は、標準ケースでは自動車であり(標準ケースの地域NOx排出量のうち約70%を占める)、自動車排ガス量軽減につながる種々の交通施策等を計画的に導入する負荷削減ケースでは、標準ケースより地域NOx排出量を約90%と大幅に削減することが可能と試算された。さらに、自転車利用を促進する等の方策を導入することで、大気環境に影響の少ない新都市構築が可能である。特に適切な交通システムを導入するために、制度面の充実や新都市の立地場所の状況(気象や地形)を考慮した都市構造を検討することが課題となる。

4)廃棄物埋立処分量:180→11t/日、約90%削減
ごみの排出量は約580t/日(第一段階では、約100t/日)であるが、標準ケースでの埋立処分量180t/日は、リサイクルの徹底導入、焼却処理等を行うことで負荷削減ケースで約11t/日へ、約90%と大幅な削減が可能と試算された。新都市住民の協力も含めた排出ごみへの配慮、家庭でのリサイクル(コンポスト化)、周辺地域や産業と連携した広域でのリサイクルなどを組み込む等の新たな循環型のシステムづくりが求められている分野であるといえる。

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