(1) 気温による冷暖房関連の負荷発生量の地域差
1) 検討手法
各地域における気象観測データを用い、地域別の冷暖房需要(冷暖房に必要なエネルギー需要)を推計した*1。また、各地域の平均気温(冷房期間/暖房期間)より冷暖房機器の平均COP*2(冷房/暖房)を推計して、補正を行った。推計の際の使用データを表4.4に示す。
各地域別の冷暖房需要量および平均COP(冷房、暖房)から、住宅系と業務系に分けて検討し、一次エネルギー消費量、CO2排出量、広域NOx排出量を各地域で推計した*3。
地域 (観測地点)*4 | 冷暖房需要推計に用いたデータ (冷房 デグリーデー*5 (℃日) ) |
冷暖房需要推計に用いたデータ (暖房 デグリーデー*6 (℃日) ) |
平均COP(冷房/暖房)推計 に用いたデータ (平均気温℃:暖房期間) |
平均COP(冷房/暖房)推計 に用いたデータ (平均気温℃:冷房期間) |
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北東地域(宮城県:仙台) | 10 | 1,580 | 3.9 | 24.1 |
北東地域(福島県:福島) | 52 | 1,538 | 3.9 | 25.2 |
北東地域(栃木県:宇都宮) | 47 | 1,416 | 4.6 | 25.2 |
北東地域(茨城県:水戸) | 38 | 1,306 | 4.1 | 25.0 |
中央地域-東海地域(岐阜県:岐阜) | 173 | 1,056 | 5.5 | 26.7 |
中央地域-東海地域(愛知県:名古屋) | 159 | 1,057 | 5.5 | 26.5 |
中央地域-東海地域(静岡県:浜松) | 127 | 823 | 7.0 | 25.8 |
中央地域-三重・畿央地域(三重県:津) | 148 | 1,001 | 5.9 | 26.2 |
中央地域-三重・畿央地域(畿央地域:奈良) | 125 | 1,168 | 4.9 | 26.0 |
(参考資料:理科年表1969〜1990年の平年値より)
*1. 最近の業務施設等ではコンピュータの導入増等により内部からの発熱が大きくなり、冷房需要が大きくなっていることから、業務施設系の冷房需要については、内部発熱を考慮して推計した。
*2. COP(成績係数):冷暖房機器等で、入力(電力等)に対する出力(冷熱、温熱)の比率を示す。つまり、機器の効率を示す指標であり、外気温に左右される。
*3. 電気式冷暖房機を想定しており、地域NOxは排出しない。また、いずれの地域でも同様の都市構造で、建物の断熱性能、冷暖房の手法(電気式冷暖房機を想定)も同じとの想定で試算を行っている。
*4. 各地域を代表する観測地点は、平年値を得られる観測地点のうち、調査対象地域内あるいはその近隣の地点を採用した。
*5. 冷房デグリーデー:日平均気温が24℃以上の日を冷房期間とし、この期間内の日平均気温と基準気温24℃との差を積分したものである。冷房に要する熱量を見積もるための指数として用いられる。
*6. 暖房デグリーデー:日平均気温が10℃以下の日を暖房期間とし、この期間内の日平均気温と基準気温14℃との差を積分したものである。暖房に要する熱量を見積もるための指数として用いられる。