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自然的環境に係る検討について

2.植生回復力・土壌生産力

ここでいう植生回復力・土壌生産力とは、その地点で植生が失われた時の植生の回復の速さ、栽培植物等の生産性の度合いを示すものである。
新都市が自然環境と共生した都市となるためには、地域の自然環境に与える影響を最小化することと、都市周辺には豊かな自然環境を創出していくことがともに必要である。また、植生の回復が容易な地域は農用地としての利用価値も高い。このような点から、植生回復力・土壌生産力をあらかじめ把握しておくことが重要である。
植生回復力の低い土地の植生を破壊してしまうと、回復が困難になり、土地の荒廃を招くおそれがある。植生回復力・土壌生産力の高い場所は、新都市において豊かな植生環境を復元・創出するのに有利な地域である一方で、このような地域は農地等としての利用価値も高いことに留意すべきである。

3.身近な自然の状況

調査対象地域の現存植生・土地利用をみると、二次林、植林地および農耕地が多い。これに人工草原などを加えた環境は、人手の加わった自然環境という意味で二次的自然環境と呼ばれ、いわゆる「身近な自然」とみなされている。これらは、環境庁の自然環境保全基礎調査における「植生自然度」を用いると、自然度7から2に分類される。

表III−1 二次的自然環境の区分
植生自然度 内容
7 クリ−ミズナラ群集、クヌギ−コナラ群落等、一般に二次林と呼ばれる代償植生地区
6 常緑針葉樹、落葉針葉樹、常緑広葉樹等の植林地
5 ササ群落、ススキ群落等の背丈の高い草原
4 シバ群落等の背丈の低い草原
3 果樹園、桑畑、茶畑、苗圃等の樹園地
2 畑地、水田等の耕作地、緑の多い住宅地

これらの地域は、中型哺乳類の生息も多く確認され、また、農林水産業活動等様々な人間の働きかけを通じて環境が形成され、また、野生生物と人間とが様々な関わりをもってきた地域である。
なお、二次林的自然環境は人が手を加えつつ維持されてきた環境であるが、近年になって管理の担い手を失ってきた。これらの地域に対して新都市の住民が新たな管理の担い手となることができれば、地域の二次的自然環境の積極的な保全と活用につながる。

(注) 例えば二次林は、かつて適度の伐採や下草刈りがなされ、薪炭林・農用林としての価値を有していたが、産業構造の変化につれて薪炭林としての価値を失って放置され、下草の多い暗い林へと変化しつつある。これに伴い、昔ながらの管理形態に依存してきた、明るい林を好む種が減少しつつある。また、谷間の湿田(いわゆる谷津田)や採草を目的とした草原も、近年になって急速に変化しつつある。

環境の側面から、二次林、植林地、農耕地を中心としたいわゆる身近な自然をみた場合、以下のような機能が考えられる。

・二次的自然環境に依存する生物の多様性を保全する
・都市住民にとって自然とのふれあい資源となる
・里山の景観を形成する

以上のような性格を有する「身近な自然」について、本検討では、保全上の観点と豊かな環境の形成の観点の両面から重要と考えられる、「生物多様性の状況」と、「自然とふれあい、アメニティを形成するための資源の存在」の2つに着目して検討を行うこととした。

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