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自然的環境に係る検討について

4.保全が優先される地域の把握

各検討項目では、(1)自然環境を中心とする環境の保全と(2)良好な環境の創出・形成という両面に着目して特性の把握を行っている。各種の自然環境特性はこの2つの観点の双方に関連するものが多いが、対象地域が広範であり自然環境豊かな地域が含まれることから、ここでは特に保全という面に着目し、自然環境の特性が特殊性・希少性を有する地域で、明らかに都市的土地利用が不適な場所について、「特に優先的に保全する地域」として把握することとした。
なお、このような地域は特に現状を保全する必要性の大きい地域であり、開発に不適であるが、同時にこのような地域が都市と適切な距離を保って存在することは、都市生活のアメニティ形成の観点からは有利な点があることにも留意しておく必要がある。

特に優先して保全する地域

1)自然公園の特別地域(特別保護区を含む)
2)自然環境保全地域・都道府県立自然環境保全地域
3)貴重な植物群落
4)高標高地域

1)自然公園の特別地域(特別保護区を含む)を含むメッシュ
我が国の優れた自然を有する地域であり、自然公園法に基づき現状を大きく変更することが認められない地域。

2)自然環境保全地域・都道府県立自然環境保全地域を含むメッシュ
自然環境を保全することが特に必要な地域として、自然環境保全法に基づき定められる地域。

3)貴重な植物群落を含むメッシュ
植物群落のうち、その希少性や特殊性から保全が優先されると考えられるもの。次のものを含む。
・植生自然度8・9・10のメッシュ
自然環境保全基礎調査における植生自然度は、「自然は人間の手の付け具合、人為の影響が加わる度合いによって、きわめて自然性の高い物から、自然性の低い物まで、いろいろな階層にわかれて存在する」という考え方に基づいて、植物社会学的な観点からみて、土地の自然性がどの程度残されているかを示す一つの指標として導入された。自然の価値の度合いを示すものではないが、自然度の高い8・9・10の植生は、多くの場合きわめて長い年月をかけて形成されたものであり、保全が優先される。

植生自然度8・9・10の地区
植生自然度 内容
10 高山ハイデ、風衝草原、自然草原等、自然植生のうち単層の植物社会を形成する地区
9 エゾマツ−トドマツ群集、ブナ群集等、自然植生のうち多層の植物社会を形成する地区
8 ブナ−ミズナラ再生林、シイ・カシ萌芽林等、代償植生であっても特に自然植生に近い地区

・特定植物群落を含むメッシュ
特定植物群落は、自然環境保全基礎調査において、日本の植物相を具体的に形づくっている植物群落のうち、規模や構造、分布等において代表的・典型的なもの、代替性のないもの、あるいは極めて脆弱であり、放置すれば存続が危ぶまれるものなど、以下の8項目の選定基準に従い、各都道府県によって定められた。

区分 内容
A 原生林もしくはそれに近い自然林
B 国内若干地域に分布するが、極めて稀な植物群落または個体群
C 比較的普通に見られるものであっても、南限、北限、隔離分布等分布限界になる産地に見られる植物群落または個体群
D 砂丘、断崖地、塩沼地、湖沼、河川、湿地、高山、石灰岩地等の特殊な立地に特有な植物群落または個体群で、その群落の特徴が典型的なもの
E 郷土景観を代表する植物群落で、特にその群落の特徴が典型的なもの(社寺林等)
F 過去において人工的に植栽されたことが明らかな森林であっても、長期にわたり伐採等の手が入っていないもの
G 乱獲その他人為によって、当該都道府県内で極端に少なくなるおそれのある植物群落または個体群
H その他、学術上重要な植物群落または個体群

4)高標高地域(標高500m以上のメッシュ)
山地性の動物が生息している地域や潜在的に成立しうる植生域として保全上重要な地域の概ねの境界線と考えられる地域
今回、標高と山地性哺乳類の分布の関連を調べるため、奥山に生息する代表的な大型哺乳類であるツキノワグマとカモシカの分布データと標高分布を重ねたところ、500mの等高線はクマ・カモシカの分布の周縁部と概ね一致した。

  • 保全優先地域および高標高地の分布図をもとに、地域における保全優先地域の位置を把握する。

資料:
第4回 自然環境保全基礎調査:植生調査結果 環境庁自然保護局 1993
第3回 自然環境保全基礎調査:特定植物群落調査結果 環境庁自然保護局 1988
国土数値情報 JK-126-1 3次メッシュ平均傾斜、高度 国土地理院 1983

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