国会等移転調査会報告では、首都機能移転について、(1)政治・行政と経済のヘッドクォーターの同時被災を免れ、リスク分散を図ることができ、同時被災による世界規模での悪影響を大幅に軽減できる、(2)東京圏が被災した場合には、速やかに新都市が復旧のための司令塔として機能し、災害復旧を迅速に行うことが可能となることを指摘している。
このように、首都機能移転は、わが国の災害対応力の強化に寄与するものであるが、移転先候補地の選定作業の一環として実施する本検討においては、首都機能の移転先の違いによって差異が生じると考えられる事項を取り上げて特に検討する。
災害対応力を構成する要素としては、組織体制、制度等場所による違いが生じにくいものと、当該地域の災害発生の可能性等場所による違いが生じやすいものに大別できる。後者は、さらに、(1)当該地域の各種災害に対する安全性と、(2)当該地域と主要地域との連携確保性(仮に当該地域は安全であっても、大規模災害時に主要地域との連携が遮断されることはないか)とに二分しうる。(1)については、関係各検討会で検討されてきたところであることから、ここでは(2)の当該地域と主要地域との連携確保性について検討することとした。