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火山災害に係る検討について

7) 日光白根山
日光白根火山は、栃木・群馬県境にある直径約1,000m、高さ約300mの溶岩ドームとそれを取り巻く厚い溶岩流群からなる小さな安山岩・デイサイトの成層火山である。この火山では、17世紀以降、1625年、1649年、1872年5月、1873年5月、1889年12月に噴火があったことが文書に記録されている。このうち最も規模が大きかったものは1649年噴火で、水蒸気爆発で生じた降下火砕物が東山腹に堆積している。その体積は約6×106m3と見積もられている。

8) 富士山
富士山は日本で最大の玄武岩質複成火山である。富士山は、古い時代から順に、小御嶽火山、古富士火山、狭義の富士火山(新富士火山)の3火山からなるが、このうち最新の火山である新富士山についての活動史は以下のようにまとめられる。11,000〜8,000年前:山頂火口及び側火口から極めて多量な溶岩が流出する。
8,000〜4,500年前:山頂火口から小規模なテフラが間欠的に噴出する。
4,500〜3,000年前:山頂火口及び側火山群から大規模な溶岩と小規模なテフラが噴出する。
3,000〜2,000年前:主として山頂火口から大規模なプリニー式噴火のテフラが頻繁に噴出し、少量の火砕流と溶岩がこれに伴う。
2,000〜243年前:側火山群から小規模〜大規模なストロンボリー式噴火のテフラと溶岩が噴出する。
243年前:山頂近傍の側火口から大規模なプリニー式噴火のテフラが噴出する。
このうち側火山の顕著な活動期は、11,000〜8,000年前、4,500〜3,000年前、2,000〜243年前の3時期である。
テフラ及び溶岩の噴出量の時間的変化を調べると、新富士山の総噴出量は約48km3(岩石換算体積)になり、その83%が11,000〜8,000年前に溶岩として噴出した。また、3,000年前以降の噴出量は109m3/1,000年とほぼ一定である。

(参考文献)
宮地直道(1988)新富士火山の活動史.地質学雑誌,94,6,433-452.

9) 御嶽山
御嶽火山は、鞍火山列の南端に位置する複合火山で、その最高峰は3,067mに達し、わが国では富士山に次ぐ標高をもつ火山である。御嶽火山は、更新世中期の古期御嶽と更新期の新期御嶽に大別される。新期御嶽火山は古期御嶽火山の中央にできたカルデラを埋積して成長した。安山岩溶岩・火砕岩を主体とする山体で約75万年前に活動を開始し、約42万年前に終了した。
新期御嶽火山は継母岳火山群と摩利支天火山郡からなる。約9〜11万年前、広域テフラとして有効なPm-I降下軽石層で始まった大量の流紋岩質の軽石噴火とそれに伴うカルデラ形成によって活動を開始した。約8〜9万年前には流紋岩-デイサイト質の継母岳火山群の活動があり、カルデラを埋めて溶岩ドームや火砕流が山体を構成した。現存する山体は約20km3であるが、降下火砕物を含む総噴出量は約60km3以上と推定されている。
引き続いて約8万年前からは安山岩質の摩利支天火山群が活動した。8つの火山からなり、カルデラ内で火口を移動しながら活動し、カルデラはほぼ埋め立てられて現在の御嶽火山の南北に並ぶ山頂群が形成された。溶岩や火砕物からなる噴出物は、約40km3と見積もられている。この火山群の活動はほぼ2万年前に終了した。木曽川泥流堆積物はこの火山群の活動中の約5万年前に発生した大規模な岩屑なだれ-土石流堆積物であり、その流下距離は木曽川沿いに約150kmに達している。
最近2万年間は、水蒸気爆発を中心にした活動期である。このうち最近6,000年間には、1979年以前には4回の水蒸気爆発が起こっていたことがテフラ研究からわかっていた。1979年10月、剣ヶ峰の南の地獄谷において水蒸気爆発が起こった。この時の火山灰は東北東方向の開田村を中心に降灰したが、遠くは群馬県前橋市まで達した。総噴出量は約18万tと見積もられている。1991年5月には、それまで噴気活動も停止していた1979年噴火時に形成された噴火口の一つが再活動し、極めて小規模な噴火がおこった。火山灰の噴出量は数10t程度であり、火口近傍にうっすらと火山灰が堆積した程度である。
これまで述べた9火山について、噴火履歴を噴出規模別にまとめたのが表2である。表2における噴出物総量は岩石換算体積(密度2,500kg/m3の仮想体積)である。

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