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2.首都機能移転による国土構造改編効果

(2)候補地選定に際しての重要度について

調査会報告において指摘されている国土構造改編効果の6つの側面について、候補地の選定に際して「重視すべき」という評価の多かった順に見ると、

  • 「災害対応力の強化」84.4%、
  • 「複合的なネットワークの形成」80.5%、
  • 「新たな極となる都市圏の創出」79.2%、
  • 「東京の過密軽減への直接的寄与」66.2%、
  • 「集中メカニズムの打破」57.1%、
  • 「新たな一極集中の回避」36.4%

であった。

「東京の過密軽減への直接的寄与」、「集中メカニズムの打破」は「(大いに)重視すべき」が半数を超えたものの、「(あまり)重視すべきでない」もそれぞれ31.1%、41.6%あった。また、「新たな一極集中の回避」は「(あまり)重視すべきでない」の回答が61.0%となった。

(1)災害対応力の強化

「(大いに)重視する」立場からは、(a)リスクが分散できる、(b)東京自身の災害対応力の増強につながる、(c)災害対応に関しては広域的に考えるべき等の指摘がなされた。
「(あまり)重視しない」立場からは、(a)災害はいつどこで発生するか分からない、(b)防災の観点では機能の分散が重要で一括移転は矛盾する、(c)東京でも対策が可能等の指摘がなされた。

(2)複合的な情報通信・交通ネットワークの形成等東京中心の交通通信体系の変化

「(大いに)重視する」立場からは、(a)交通結節点や情報発信源の多極化、それによるリダンダンシー(注)の確保に意味がある、(b)費用対効果に配慮するべき、(c)実現に長期間を要するであろう等が指摘された。
「(あまり)重視しない」立場からは、(a)交通結節点や情報発信源の中心が東京にある交通通信体系は変化しない(あるいは維持すべき)、(b)インパクトが小さすぎて効果がない、(c)首都機能移転の成否に関わらず重要な課題であり地域格差が生じてはいけない(自立的な圏域が全国各地に形成されることが重要)等が指摘された。
注)「冗長性」、「余剰」を意味する英語(redundancy)。国土計画上では、自然災害等による障害発生時に、一部の区間の途絶や一部施設の破壊が全体の機能不全につながらないように、予め交通ネットワークやライフライン施設を多重化したり、予備の手段が用意されているような状態を示す。

(3)新たな極となる都市圏の創出と国土構造の再編

「(大いに)重視する」立場からは、(a)東京と質的に異なる都市を形成することの必要性、(b)効果が期待できる場所の例示(各国土軸の中枢、関東以外、大都市圏から離れる等)、(c)社会状況等ケースにより状況が異なる等の指摘がなされた。また、(a)都市圏等の自立的な成長、新しい息吹が生まれること、(b)移転先候補地域の浮揚等に期待が示された。
「(あまり)重視しない」立場からは、(a)首都機能だけでは自立的な都市としての成立は難しい、(b)新たな集中の極の形成は将来の望ましい方向に逆行、(c)筑波学園都市くらいの新都市ができても国土構造が変わるとは思えない等が指摘された。

(4)東京の過密軽減への直接的寄与

「(大いに)重視する」立場からは、(a)東京はかなりの過密状態にある、あるいは、過密地域の連続が問題、(b)一部でも解消するための方策をとることは重要等が指摘された。
「(あまり)重視しない」立場からは、(a)移転の規模が小さく直接効果が期待できない、(b)人口トレンドが右肩下がりに移行する、(c)そもそも首都機能移転と東京の過密緩和に関連が認められない等が指摘された。

(5)集中メカニズムの打破

「(大いに)重視する」立場からは、「ある程度は期待できる」、「これ以上弊害を増やしてはならない」としながらも「東京の吸引力が大幅に減殺されることはない」、「集中メカニズム打破には複数の要因を考えなければならない」とする指摘が多かった。
「(あまり)重視しない」立場からは、(a)東京の優位性(能力、機能)は低下傾向にあり、わざわざそぐ必要はない、(b)集積メリットや国際競争の観点から保持すべき、(c)簡単には打破できない、(d)首都機能が集中メカニズムの決定的要因ではない、等が指摘された。

(6)新たな一極集中の回避

「(大いに)重視する」立場からは、(a)第2の東京を作ってはならない、(b)超長期的な政策コンプレックスにより対応すべき等の指摘がなされた。
「(あまり)重視しない」立場からは、上記と同様の指摘の他、集中が発生するほどのインパクトはない、人口トレンドや技術進展により集中の可能性はない等の指摘がなされた。
最近の経済情勢と国政全般の改革の動きを反映し、有識者の意見としては、移転先候補地の選定に際して、東京への集中が集中を呼ぶメカニズムの打破や移転先地における新たな一極集中の回避への配慮の重要度は相対的に低くなっていると考えられる。特に、移転先地における新たな一極集中の回避への配慮は必要ないとする意見が多数を占める結果になっている。

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