地方振興

総合保養地域整備法(昭和62年法律第71号)

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(1) 総合保養地域整備法の概要

[制定時の背景]
[1]  近年における国民の自由時間の増大、生活様式の多様化に伴い、自然とのふれあい、健康の維持・増進、地域・世代を超えた交流等に対するニーズが高まっている。
 こうした状況に対応して、人生80年時代にふさわしいゆとりのある国民生活の実現を図る必要がある。
[2]  経済のサービス化の進展等産業構造の変化に対応して、地域の資源を活用しつつ、第3次産業を中心とした新たな地域振興策を展開していく必要がある。
[3]  このような近年の社会的・経済的環境の変化に対応して、国民の誰もが利用できる広域的な総合保養地域を整備するものとする。
 
[目的]
 国民が余暇等を利用して滞在しつつ行うスポーツ、レクリェーション、教養文化活動、休養、集会等の多様な活動に資するための総合的な機能の整備を民間事業者の能力の活用に重点を置きつつ促進する措置を講ずることにより、ゆとりある国民生活を実現し、地域の振興を図る。
 
[定義]
[1] 特定施設……スポーツ、レクリェーション、教養文化活動等多様な活動のために必要な施設。
  1)  スポーツ又はレクリェーション施設……スキー場、ゴルフ場、マリーナ等
  2)  教養文化施設……劇場、動植物園、博物館等  
  3)  休養施設……展望施設、温泉保養施設等
  4)  集会施設……会議場、展示場等
  5)  宿泊施設……ホテル、貸別荘等
  6)  交通施設……道路、ターミナル等
  7)  販売施設……ショッピングモール、地域特産物販売センター等
  8)  その他の滞在者の利便の増進に資する施設……熱供給施設、食品供給施設、汚水共同処理施設、案内所等
[2] 特定民間施設……特定施設であって民間事業者が設置及び運営をするもの。
 
[地域]
[1]  良好な自然条件を備えた相当規模の地域であること。(概ね15万 ha程度以下を想定)
[2]  自然的経済的社会的条件からみて一体として整備を図ることが相当と認められる地域であること。
[3]  特定施設の用に供する土地の確保が容易であること。(地形等の自然状況、土地利用の状況、規制の状況、地価等を総合的に勘案して判断する。)
[4]  産業及び人口の集積の程度が著しく高い地域でないこと。(首都圏の既成市街地、近畿圏の既成都市区域、旧名古屋市を除外。)
[5]  相当規模の特定民間施設の整備が確実と見込まれる地域であること。
 
[基本方針]
[1]  主務大臣(総務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣及び国土交通大臣)は、基本方針を定める。
[2]  基本方針においては、整備に関する基本的な事項、整備を行おうとする地域(特定地域)の設定に関する事項、重点整備地区の設定に関する事項、特定施設の設置に関する事項、公共施設の整備に関する事項等について定める。
 
[基本構想]
[1]  都道府県は、基本方針に基づき、基本構想を作成し、主務大臣への同意を求める協議の申出をすることができる。
[2]  基本構想においては、特定地域の区域、整備方針に関する事項、重点整備地区の区域及び当該区域ごとの整備の方針に関する事項、特定民間施設の種類、位置、規模、機能及び運営等に関する基本的な事項、公共施設の整備の方針に関する事項等について定める。
[3]  主務大臣は、基本構想が要件に該当するときは、同意をする。
 

(2) 総合保養地域整備施策の見直し

[1] 国土交通省施策評価の実施
 平成13年度国土交通省の施策評価として総合保養地域の整備に関する政策評価が行われました。「総合保養地域に関する懇談会」(総務省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省が連携して開催)の意見も聞きながら、政策評価書「総合保養地域の整備-リゾート法の今日的考察-」を取りまとめ、平成15年3月27日に省議決定が行われました。
 
〔政策評価の結果の概要〕
○  総合保養地域整備法(リゾート法)、同法に基づく基本方針、基本構想、各地域における具体的な取組を対象とし、総合保養地域に係る政策のあり方を総合的に評価。
○  需要の見誤りにより巨大・豪華な投資が行われ、経営上問題が生じた事例が見られる。
○  特定施設の整備や利用、特定施設での雇用は当初見通しと比べバラツキはあるが一般に進んでいない。
○  体験講座の実施、年間を通じたイベント開催等様々な創意工夫をこらした取組が成果を上げている要因といえる。
○  特定施設の利用者数や宿泊者数は全国の伸びを上回って推移している。
○  特定施設の雇用者数や売上高が地域経済に対し一定の役割を果たしている地域もある。
○  自然的特色や歴史・文化的特色を活かすことはもちろん、地域の関係者の積極的な取組により、地域の特色や魅力をさらに高めている地域もある。
○  来訪者の立場に立ったサービスを提供するため、地域住民やNPOが活躍し、ソフト機能の充実が進みつつある。
 
〔政策評価の結果の政策への反映の方法〕 
○  評価結果を真摯に受け止め、地に足のついた総合保養地域整備を展開
  ・ 基本構想の見直し(基本方針、基本構想の見直し)
      → 現時点でのニーズを踏まえて、特定施設・重点整備地区・基本構想自体の廃止や削除も含めた再検討
  ・ チェック機能の強化(基本方針、基本構想の見直し)
      → 政策評価の定期的実施
  ・ 時間管理概念の導入・徹底(基本方針、基本構想の見直し)
      → 整備の工程表の策定
○  来訪者の立場に立ったサービスの提供ができるよう、総合保養地域の機能の充実(ソフト面の充実)、地域間交流の促進
  ・ 地域の独自の魅力の追求、情報流通の円滑化、運営・経営上の工夫、人材の育成
  ・ 行政、NPO、地域住民、民間事業者の連携の強化
  ・ 地域間交流の促進
  ・ 連続休暇を取得しやすい環境づくり
 
[2] 総合保養地域整備法に基づく基本方針の変更
 国土交通省政策評価の結果等を受け、平成16年2月25日、総合保養地域整備法第1条に規定する整備に関する国の基本方針の全面的な変更が行われました。
 
 
〔変更後の基本方針で示した今後の施策の方向〕 
(1)都道府県の現行の同意基本構想の抜本的な見直し
○  都道府県において、これまでの総合保養地域の整備について政策評価を行い、現行の同意基本構想を抜本的に見直す必要がある。
○  見直しの結果、特定地域全体として実現性が見込まれない場合には、同意基本構想は廃止するものとする。
(2)時間管理概念の導入・徹底により今後は着実に進行管理
○  総合保養地域の整備は、需要の見通しを踏まえ、整備の工程を明らかにした上で、時間管理概念を持って計画的に進めるものとする。
(3)今後も都道府県による政策評価を行い、同意基本構想の適時・適切な見直し(チェック機能の強化)
○  同意基本構想において目標時期を明示するとともに、総合保養地域における利用者数及び雇用者数等で、地域として適当と考える指標を国民生活に直接結びつく政策評価として設定し、明示する。
○  総合保養地域の整備は、社会情勢の変化に常に適切に対応しつつ進める必要がある。
(4)ソフト面の一層の充実及び地域間交流促進
○  地域の実情に応じ、関係地方公共団体、関係事業者、地域住民、NPOや住民組織等からなる推進連絡協議会、その他、関連の協議会を活用すること等により、これらの者の間の連携の確保に努めるものとする。
○  社会経済情勢の変化を踏まえ、総合保養地域の整備を促進することにより、都市等と総合保養地域との交流を進め、ゆとりのある国民生活の利便の増進並びに当該地域及びその周辺地域の振興を図ることが引き続き必要である。
 

(3) 現在の状況

[総合保養地域の概要]
 
 平成18年1月に愛媛県・高知県、18年3月に岩手県・埼玉県、19年11月に島根県・香川県、20年3月に広島県・沖縄県、21年3月に青森県・茨城県、22年1月に滋賀県・徳島県が基本構想を廃止し、現在、基本構想を策定しているのは、30地域(29道府県)となっています。
 

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お問い合わせ先

国土交通省国土政策局地方振興課
電話 :(03)5253-8111(内線29572、29573)
直通 :(03)5253-8404

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