海事

国際造船市場の公正な競争条件の確保

1.OECD造船部会等における取組
 大型外航船を中心とする国際造船市場は、世界単一市場を形成し、我が国をはじめ中国・韓国等の事業者が激しく競合している状態であり、各国の政策等は、市場の競争環境に直ちに影響するため、造船業の健全な発展のためには多国間での政策協調が不可欠です。このような認識のもと、我が国は韓国・中国等の主要造船国との政府レベルによる二国間対話に加え、造船政策に関する唯一の多国間協議の場であるOECD 造船部会における各国との政策協調のための議論を継続的に実施してきています。造船市場を取り巻く昨今の厳しい状況下で各国が不公正な政府助成等を実施し、造船市場が歪曲されることを回避するため、国際的な政策協調の重要性は一層高まっています。
 こうした中、第124回OECD造船部会(2017年4月)より、市場を歪曲し、造船分野の供給能力過剰問題の是正を遅らせるおそれのある公的支援を防止し、公正な競争条件を確保することを目的とする新たな国際規律の策定についての議論を進めてきましたが、韓国の強い反対により議論は凍結となっています。
我が国は、OECDのフォーラムのほかにも、さまざまな機会を捉え造船分野における供給能力過剰問題の是正に向けて取り組んでおり、日中ハイレベル経済対話(2019年4月)や日中韓サミット(2019年12月)などにおいて政府ハイレベルでの働きかけを行っています。


2.韓国公的支援措置に対する取組
 造船分野における世界的な供給能力過剰問題が長期化する中、近年、韓国政府は政府系金融機関を通じ、自国造船業の受注拡大のための大規模な公的助成(経営難に陥った大宇造船海洋の救済のための大規模な金融支援、著しい低価格受注を可能とする前受金返還保証の発給等)を行っています。
 我が国は、こうした公的助成は市場を歪曲するものでありWTO補助金協定に違反するおそれがあるとして、累次に渡り問題を指摘し、2018年10月には局長級の協議により早期是正を求めましたが、措置の撤廃には至っておりません。
 この問題を解決するため、2018年11月6日、我が国は、韓国の自国造船業に対する公的助成についてWTO協定に基づき二国間協議を要請し、同年12月19日に協議を行いましたが、我が国の納得のいく結果は得られていません。
 さらに、韓国政府は当該協議以後も新たな自国造船業支援措置を継続的に実施していることから、2020年1月31日、我が国は、これらの新たな措置も対象として改めて二国間協議を要請し、同年3月30日、二国間協議を実施しました。


リンク:外務省WTO関連ページ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/wto/funso/funsou.html#ds571
 

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