川は人間にとってなくてはならない恩恵をもたらす一方、時に大規模な氾濫を生じ、人間の生存を脅かす存在でもあった。しかし川は自然環境の最も豊な一部であり、そこに川の特殊性を反映する多様で特殊な生態系が見られ、地域住民にとって貴重な自然体験、交流の場であった。決して意のままにならない川の自然や生物と向き合うことで、子どもたちの感性が磨かれ、創造力が養われた。自然と真剣に向き合うことで、生命の大切さ、自然の法則や仕組みを理解することができるのである。
川は人間と自然とのかかわりのすべてを多様にかつ端的、かつ具体的に示す場であることによって、環境教育の場として最も優れたものであると言ってよい。川と人間とのかかわりをよく認識して、それぞれの流域に特徴ある川と人間社会を実現していくことが、「川に学ぶ」社会を築いていくことであり、ひいては地球環境の保全につながっていくものである。
「川に学ぶ」社会の実現のためには、次の4つの基本方針が重要であると考える。
1)人々の関心を高める魅力ある川(づくり):人々が川に関心を持つためには、川をもっと魅力あるものにすることが必要。
2)正しく広範な知識・情報の提供:人と環境との関わりや立場の理解、川の安全な利用のためには、川に関連した正しく広範な知識・情報が不可欠。
3)川に学ぶ機会の提供:人と自然との共生のための行動意欲、自ら危険を回避する態度を身につけるためには、「川に学ぶ」機会が必要。
4)主体的、継続的な活動のために(の支援・枠組み):利用者、住民、河川管理者、地方公共団体等がそれぞれの役割を果たすとともに、各主体の連携を図ることが必要。