水管理・国土保全

  

| 河川トップ | 川の歴史 | 主な災害 | 地域と川 | 自然環境 |   


釧路川・新釧路川の自然環境

幾多の生命を育む釧路川

釧路川の地勢
 釧路川は、阿寒摩周国立公園内に位置する屈斜路湖を水源に、釧路地方を南下し太平洋へ注ぐ一級河川です。その流路延長は154km、流域面積は2,510km2で、人工的なダムや堰が存在しないという日本では数少ない河川です。 特に流域最大の特徴となる釧路湿原は、天然記念物及びラムサール条約の登録地や国立公園に指定されるなど、国際的にも注目されています。
 釧路川上流部には天然のダムとなる屈斜路湖、中下流部に遊水池となる釧路湿原があるため、河川流況としては平水・渇水流量が比較的大きく、安定した穏やかな特性を示しています。

釧路川の川づくり

屈斜路湖


湿原内を蛇行して流れる釧路川

釧路川の植物
 流域の植生は、下流域に広がる湿原ではヨシ・スゲ群落が大勢を占め、ヤチハンノキ林等の小低木の群落が点在します。中流部の丘陵地帯はミズナラ等の広葉樹林帯であり、標高が高くなるにつれて、ダケカンバやトドマツ、エゾマツが加わり針広混交林となります。上流域ではトドマツ、エゾマツなどの針葉樹林となり、最上流の川湯地区の硫黄山麓では、ハイマツやイソツツジ、ガンコウランなどの高山性植物が見事な景観を呈しています。

釧路川の川づくり

ヨシ・スゲ群落とハンノキ林


釧路川の動物
 流域一帯にはエゾシカが生息しているほか、上流域の山岳地帯にはヒグマも生息しています。釧路湿原やその周辺では、国内で唯一繁殖しているキタサンショウウオ、特別天然記念物であるタンチョウなどの貴重な生物が生息しており、塘路湖では釧路川の歴史を物語るクロイサザアミが確認されています。河跡湖や池塘などで形成される止水的環境においては、水生植物のイヌイトモやトンボ類のイイジマルリボシヤンマに代表される国内でも生息地が限られる動植物の極めて貴重な生息・生育環境が維持されています。また、釧路川には幻の魚と言われるイトウが生息するほか、サケやマス、シシャモが遡上産卵し、この地域では、塘路湖のワカサギとともに、これらの魚の増殖事業に力を入れています。

釧路川の川づくり

タンチョウ


キタサンショウウオ



釧路湿原の自然再生

 釧路湿原は、わが国を代表する自然環境の一つであり、さまざまな野生生物が棲むかけがえのない生態系です。また「自然の遊水地」として釧路市街を洪水から守る役割や、水質を浄化する役割など、地域住民の暮らしにとっても大きな意義を持つため、将来にわたって保全することが重要です。
 しかし、最近数十年の間に釧路湿原やその周辺地域の開発が進み、釧路川流域の経済活動が発展した結果、湿原の面積が減少するとともに、乾燥化などにより植生分布が急速に変化していると考えられています。その結果、釧路湿原本来の希少な自然が損なわれつつあります。
 このため地域住民をはじめ、市民団体・専門家・行政などが協力して、湿原保全のための具体的な対策に取り組むことが求められています。

釧路開発建設部 「釧路湿原自然再生事業協議会」

キラコタン岬から釧路湿原を望む


釧路湿原自然再生事業(茅沼地区旧川復元)
 本プロジェクトは、自然再生推進法に基づき、生物環境の再生等を目的として、釧路湿原内を流れる釧路川の直線化された河川を蛇行した旧川に復元したもので、「釧路湿原自然再生協議会」が土木学会環境賞を受賞しました。
 このプロジェクトにより、湿原中心部への土砂流入を抑え、氾濫原の再生により約30haの湿地が回復し、地下水位上昇や冠水頻度の増加により湿原植生が回復してきています。また、蛇行復元前と比較して生息魚類の種類数が約2倍に、個体数が約2.5倍に増加し、国内最大の淡水魚であるイトウも確認されています。湿原の河川景観が回復されたことで、旧川復元区間が新たなカヌーコースとなり観光資源として地域振興に貢献しています。 




茅沼地区旧川復元






ページの先頭に戻る