資料編

システムアーキテクチャ

欧米でのシステムアーキテクチャ開発の動向

アメリカでは、1996年にナショナルシステムアーキテクチャを完成し、以降修正を重ね、Ver.3の策定を完了して現在公開中です。また、欧州では、欧州委員会(EC) が汎欧州システムアーキテクチャの開発プロジェクトKAREN(Keystone Architecturte Required for European Networks)に取り組み、2000年に完成しました。
このように、ITSのシステムアーキテクチャ構築に向けた取り組みは世界規模で進んでいます。

システムアーキテクチャの活用

日本では、今後、システムアーキテクチャが以下のように活用されることにより、3つの目的−ITSの統合的なシステムとしての効率的な構築、拡張性の確保及び国内・国際的な整合性の確保が達成されていくものと期待されます。

(1)ITSが実現する世界に係る共通認識の形成

ITSが実現するサービス、ITSの全体像などが示されているシステムアーキテクチャを活用することにより、関係者間でITSが実現する世界に係る共通認識を形成することができ、関係者間の連携と適切な役割分担が可能となります。

(2)プロジェクト等の開発・展開に係る計画の策定

システムアーキテクチャの全体物理モデルを用いてプロジェクト等の範囲を整理することにより、関連する情報や機能などを体系的に把握でき、技術方式、基準類や制度等を体系的かつ具体的に検討することが可能となり、プロジェクト等を効率的に開発・展開することができます。

(3)ITS施策実現のための利用者サービスの組み合わせ・活用

システムアーキテクチャに体系的に示されている利用者サービスを組み合わせ、交通需要マネジメント等の総合的な施策に活用でき、広範な分野を対象とする統合的な施策の実効性を高めることが可能となり、渋滞や環境悪化などの解消に寄与します。

(4)個別システムの設計・開発

システムアーキテクチャにおいて既に相互の関係が整理されている情報や機能を個別システムの設計・開発の枠組みとして利用することができ、作業の多くが省略できます。また、他の個別システムと同じ機能を容易に見出すことができ、設計・開発の効率化が図られます。

(5)標準化活動の促進

システムアーキテクチャでは、ITS全体を見通して標準化候補領域を整理した上で、特に標準化の必要性が高い箇所として、システム構築上重要となるサブシステム及び通信方式を抽出しており、効果的な標準化活動の推進に寄与します。

(6)ITS研究等のための情報の利用

個別システムが、物理アーキテクチャに準じて開発されれば、研究や分析に必要なデータが扱われている個別システムの所在を容易に把握することが可能となり、社会の要請を計画・設計・開発に容易にフィードバックできます。


なお、システムアーキテクチャを継続的に有効活用していくためには、今後の国際動向や産業界の技術開発動向を反映して変更・改訂していくことが必要不可欠です。

ITSのサービスの実現までの過程と活用場面

概念イメージ:システムアーキテクチャを活用可能な範囲(ITSのサービスの実現へ向けて)


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