将来交通予測のあり方に関する検討委員会

第5回 将来交通量予測のあり方に関する検討委員会
日 時  平成16年3月5日(金)17:30〜19:10
場 所  国土技術研究センター7階第2・3会議室
議事次第  1.開会
 2.出席者紹介
 3.議事
  (1)第4回将来交通量予測のあり方に関する検討委員会議事概要
  (2)今後の交通需要推計に関する課題と対応方針について
  (3)将来交通量予測のあり方に関する検討委員会 報告書(案)について
 4.閉会

委員長
太田勝敏
東洋大学国際地域学部教授
委  員
浅子和美
一橋大学経済研究所教授
委  員
石田東生
筑波大学社会工学系教授
委  員
森杉壽芳
東北大学大学院情報科学研究科教授
(敬称略、五十音順)
○は出席した委員

委員会資料   議事録

推計の前提となるGDPについて
GDPに影響があるのは主に貨物交通であり、走行台キロのシェアは3割程度である。資料2の1ページからの「(1)推計の前提となるGDPに関する課題」では、焦点となる走行台キロへの影響の大きさはその程度であることをあらかじめ明確にしておくこと。


モデル構築について
資料2の10ページからの「1−3モデル構築について」では、モデルがどれだけ実績値にあっているかに関する話が中心的に記述されているが、予測値に関するマクロ的な観点からのクロスチェックなど、予測値の妥当性確認に関する話も書き分けておくこと。

将来交通量推計値の見直しの基準について
資料2の16ページの「(2)交通需要や関連する人口、GDPの推計値と実績値に乖離が生じた場合」では、GDPの5%変化の影響は、感度分析で見ると走行台キロの2%程度変化の影響に相当する旨をわかりやすく記述しておくこと。その際、乗用車、貨物車別に記述すること。
資料2の17ページの「(3)人口やGDPといった外生変数の将来見通し等が変更された場合」では、社会構造の変化として「新たな技術革新」だけではなく、新幹線等の関連計画など、幅広く読めるような表現にしておくこと。

発生集中交通量モデルについて
資料3の1ページからの「1−1発生集中交通量モデルについて」では、各都道府県のトータルが与えられるが、その中のシェアを分ける作業を明示的に記述すべき。例えば2ページ目の回帰式で求めた後はトータルにあわせて比例配分させる作業が必要となる。


分布交通量モデルについて
資料3の4ページ(2)式は、交通行動が変わるということになると、Cだけではなくβγの話が効いてくる話かもしれない。ここでは、時系列データを活用するのがいい、ということが重要で、モデル式についてはこれしかないという表現は避けた方が良い。

全国交通需要推計から将来OD表推計に至る推計手順に関する検討について
資料3の9ページの図において、本省と地方整備局間の推計作業におけるコミュニケーションを具体的にどう円滑にするかが重要。例えば推計の前提となる道路ネットワークについても両者で違っている可能性がある。
 → 従来は全体の流れが複雑でわかりにくく、これだけまとめたものはなかった。この委員会における議論により、はじめて今回このような形でまとめることができたことは、コミュニケーションを図る上で役立つと思われる。

今後の将来交通需要推計の公開に関する検討について
交通需要予測に関するデータは、誰でも利用できるように公開されるべきである。GDP予測などは経済系でも研究対象となっており、それらとの接点となりうる。
資料4のW−32ページの「今後の将来交通需要推計の公開に関する検討」では、例えば幅の議論やGDPの議論などの前提条件を明確にするなど、積極的に情報を提供していく姿勢が大切である。
委員会としては、基本的に情報を出していく、ということを提案したい。ただし、公開のやり方やタイミングなどについては、個別に実際のニーズに合わせて考えていけなければならないことである。
社会的関心が大きくなっている定時性や環境の問題に対しては、今の配分交通量のさらなるブレークダウンが必要となるが、どれだけの精度保証ができるのか。書き方は微妙だが、公開に当たって数字の精度を明らかにするなどの配慮が必要。
公開される情報は膨大なものとなることからも、公開に当たっては相手にわかりやすく「提供する」というスタンスが必要。一般的な形で公開する部分と、問い合わせに応じて情報提供する部分の2種類必要なのかもしれない。


委員会としての提言について
貨物の予測や環境問題への対応など、需要予測に対する新しいニーズについて、大学の若手に研究を奨励したい。その他土地利用への影響や誘発交通など、今後の研究課題についてもいろいろ提言したい。
 → 報告書のまとめの後半で提言としてまとめる。
予測値は不確実性を持つものであり、幅の議論もあったように、唯一の値が定まるものではない。政策判断としての計画値を決めるときには、意思決定者がきちんと判断を行う必要があることを述べておきたい。
道路局以外も含めた予測の整合性について、今回は将来人口やGDPの統一的なフレームが用いられるようになったが、分担率モデルの基本的な考え方や、交通流動に関するデータベースなどについても統一する方向で努力してほしい、という提言をしたい。

報告書について
報告書のタイトルは「長期交通量予測の課題と今後のあり方」とし、この委員会名で出すこととする。
本日の意見を踏まえ、委員長と事務局で案を作成し各委員の確認をいただいた上で最終報告書をまとめる。



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