建設産業・不動産業

イノベーション事例の詳細

1.設備工事の分離発注方式をPR
 
【特色】
設備工事の全国団体であるD協会、K協会は、分離発注方式を積極的にPRし、分離発注の推進に努めている。
【内容】
①分離発注については、設備工事を中心に取組みが進められており、一括請負契約方式に比べて、コストや品質、責任施工の明確化が図られるなどのメリットがある。
②国等の発注する公共工事では官公需法に基づき分離発注が進んでいるものの、民間工事では十分浸透していないのが現状である。
③このためD協会、K協会では、共同してパンフレット『設備工事分離発注のおススメ』を作成し、分離発注のメリットを発注者にわかりやすく解説するなど、分離発注の推進に努めている。
【成果・今後の方針】
D協会、K協会では、今後とも市町村発注の設備工事や民間の設備工事について、分離発注の有利性を積極的にPRしていく方針である。
 
2.異業種JVなど新しい建設生産・管理システムへの対応
 
【特色】
鉄骨建設業の全国団体であるT協会では、適切な発注方式の確立に向けて、異業種JVなどについて検討を行っている。
【内容】
①これまで発注者のほとんどは施工に関する全ての業務を総合工事業者に請け負わせる一括請負契約を活用してきた。しかし、発注者を取り巻く経済環境が大きく変化する中で、分離発注や異業種JV、CM方式などの多様な建設生産・管理システムへのニーズが生じている。
②T協会では、こうした多様な建設生産・管理システムは専門工事業者にとっても活躍の場が拡大するものと考え、特に異業種JVを中心に検討を行い、異業種JVのあり方について建設省に建議を行っている。
【成果・今後の方針】
異業種JVの場合、専門工事業者が施工計画から施工実施、検査、届け出、申請などを一貫的に行うため、専門工事業者の責任が従来型より格段に増大する。しかもT協会では、過去に発注者から分離発注された経験を積んでおり、新しい生産システムや契約形態にはすぐに対応できると自信を見せている。
 
3.CM方式によるディベロッパーの直営施工
 
【特色】
大手ディベロッパーのS不動産は分譲マンションの建設工事を直営で施工。ゼネコンに発注しないで自らがCM(コンストラクションマネジメント)方式で施工することにしたもので、20%のコスト縮減を目標とした。
【内容】
①大手ディベロッパーによるCM方式採用は、専門工事業者にとっても新たな建設生産・管理システムとして注目される。
②S不動産の建設技術本部の建設部に所属する技術職員が中心になって施工にあたった。また、設計は専業の事務所が担当し、S不動産は発注者の立場と施工者の立場で仕事にあたっている。
【成果・今後の方針】
S不動産では当面首都圏での10億円以下の物件にCM方式を適用する方針だが、将来的には施工経験の豊富な技術者を増やし、施工範囲を全国に広げて大型物件も直営施工する意向である。
 
4.組合員向けにISO9002に準拠したマニュアルを作成
 
【特色】
ガス圧接業の全国団体であるA連合会は、品質向上のため、ISOに準じたマニュアルを作成し傘下の全組合員に配布している。
【内容】
①A連合会は、顧客の信頼を得るため、ISOの要求事項に準拠した品質標準(品質マニュアル)を作成し、全組合員へ配布した。作成された品質標準は、品質管理や人材育成などあらゆる場面での拠り所となるもので、A連合会では全組合員の理解と圧接標準作業の徹底を図り、品質標準の定着に努めている。
②A連合会では、瑕疵保証制度の確立に向けても品質標準を活用することとしており、瑕疵保証の前提となる作業の標準化と作業の質の均一化に役立てていくこととしている。
【成果・今後の方針】
①A連合会では、品質標準が品質管理体制の体系的な整備に活用できるよう今後も見直しを行うこととしている。
②平成11年にガス圧接業界から初めてのISO9002の認証取得企業を輩出し、現在組合員の4社が認証を取得している。
 
5.ISO9000sの共同認証取得
 
【特色】
2000年度から建設省の一部の直轄工事でISO9000sの認証取得が入札参加の条件に加えられたことを受け、中小業者での認証取得が増えている。その中でも共同認証の動きは顕著で、専門工事業者を含む中小企業のISO認証取得には有力な方法といえる。
【内容】
①建設省は、2000年度にISO9000sの認証取得を入札参加条件とする工事29件、コンサルタント業務7件を公表した。日本道路公団、都市基盤整備公団も同様の措置を盛り込んだ工事を公示しており、他の発注機関にも波及している。
②沖縄県と滋賀県では、認証取得を格付けで優遇する方式を採用しており、入札参加条件にする、あるいは格付けに反映させるといった措置を講じる発注機関が今後拡大するのは確実な情勢といえる。
③中小企業では多額の費用がかかるISO9000sの認証取得は容易でないため、数社がまとまって共同認証する動きが出始めており、すでに兵庫県、高知県、栃木県、福島県、京都府で認証取得が行われている。また、北海道や沖縄でも共同認証に向けた動きが出ている。
④京都ではK協会がISO9000s認証取得を奨励しており、経営委員会の年度事業として認証取得を目指す会員を支援している。平成11年2月から始めた取組みは、すでに第4期に入り、のべ21社が共同認証を進めている。K協会の共同認証方式は、5社前後を1グループとしており、参加企業の自主性によってISOモデルや審査機関を決めており、同一の品質マニュアル等を使用せず、独自のものを作り上げている。
【成果・今後の方針】
K協会の共同認証方式では、第1期の6社が認証を取得しており、年内には第2期の4社も認証取得できる予定となっている。
 
6.ISO14001認証取得により差別化を目指す事業協同組合
 
【特色】
G建設事業協同組合では、建設業の組合では初となる環境ISO(ISO14001)認証取得に向け取組みを始めた。
【内容】
①G建設事業協同組合は県内の8社を組合員として設立。従来から各社とも環境対応を柱としており、当初は環境ISOを個々の企業で認証取得するよりも組合で取得した方が取得経費が安くなると考えた。
②環境を前面に打ち出すことは組合の共同受注における差別化、高付加価値化につながり、長期的には自治体やゼネコンによる環境ISO取得が進めば発注を受けやすくなると考えた。
【成果・今後の方針】
①環境ISOの目標の一つに、環境美化として5S(整理、整頓等)を掲げており、現在環境マネジメントシステムの構築中だがコスト面では改善がみられた。
②今後は環境にやさしい資材等の共同購買(グリーン調達)や環境にやさしい技術の共同研究・開発にも取組む意向。
③環境マネジメントは経営マネジメントにつながるものであり、将来的には経営改善効果についても期待している。
 
7.重機土工からマルチコントラクターへ事業拡大
 
【特色】
機械土工のY建設は、地下工事への取組みを強力に推進し、構造物工事等の関連施工分野の多様化・多角化に対応し、機械土工からマルチコントラクターとして総合力を発揮している。
【内容】
①Y建設では、積極的に技術開発に取組み、低公害岩石処理や地形情報処理・遠隔操縦・建設ロボット等の無人化施工機械による情報化施工を推進している。
②機械土工を核として、大型機械を保有・整備することで、修繕費の圧縮と労働生産性の大幅アップを実現。
③いち早く機械化を進めたことにより自前の技術開発を可能とさせ、大型工事の受注拡大に注力し、機械土工の分野だけでなくその周辺分野にも進出し、業績を拡大している。
【成果・今後の方針】
①機械土工の周辺分野としての擁壁や法面関係の構造物工事の施工、そして、山岳・都市型トンネルや地下連続壁、構造物基礎工事等々の地下工事へと業域の拡大を戦略的にすすめ、現在では、環境浄化・リサイクル関連技術開発による濁水・汚水処理や木根処理・破砕再生へと展開している。
②マレーシア・ナイジェリア・インドネシア・シンガポール等におけるダム工事・灌漑工事・高速道路工事・空港工事等を受注し、積極的な海外進出を果たしている。
 
8.電気工事専門業者から総合エンジニアリング会社に
 
【特色】
電気工事業の専門工事会社F社は、大型プラントの電気工事・計装工事を手がけることによって組織体制を整備。さらに、配電盤・制御盤の製作へ進出して、板金設備と自社製缶工場を持つまでに成長。
【内容】
①F社では、自動機やメカトロ・ロボット等の制御関係にも従事してきたことから、電気関係のみならず、機械・装置を含めて受注製造できる組織を確立した。
②平成8年3月、中小企業創造法の認定を受け、翌年には工業団地に用地取得し現本社として新築移転し益々の業容の整備に努めている。これらの原動力は、現状に満足することなく、常に新しい何かに挑戦し続け実現するという社風によるところが大きいと言われている。
③現在は電気設備の設計施工を行う工事部門、制御盤・動力盤の設計・製作が主力の制御部門、生産ラインの効率化・自動化や無人化等の設計・製作・据付・運転・調整を一貫して行うエンジニアリング部門など5部門にまで業容を拡大。
【成果・今後の方針】
①新規事業部門で、シングルミクロンの微粉体を得られる噴霧乾燥装置と濾過膜上造粒装置の製造販売を行っており、顧客からの粉体の実験依頼が後をたたない状況にあるという。
②最新の新規事業として風力発電と太陽光発電の設置工事をになうエコロジー部門を創設。効果的に風力と太陽との2つのエネルギーを利用することを研究課題としている。
 
9.画期的な工程簡素化工法の開発による工期の短縮
 
【特色】
空調・給排水設備業のT社は、徹底した顧客優先主義を柱に、高品質、低コスト、スピード化を図っている。
【内容】
①T社では、「地域NO.1の強い企業、良い企業をめざし、有能な人材を地元にとどめる役割の一端を果たそう」という社是のもと、長年にわたり蓄積された技術力を結集して画期的な工程簡素化工法の開発に強力に取組んでおり、それが果実をもたらしつつある。
②これまで1ヵ月かけて精算していた工事現場毎の原価計算を、従来の建設業界の慣習にとらわれることなく10日程度に短縮した。今後は5日程度までの短縮を目指している。
③多能工の育成に力を注ぎ、工費の削減と高品質工事を両立させることに成功している。
【成果・今後の方針】
T社では、平成8年4月に建築設備業界としては東北地区で初めての株式の店頭公開を果たしている。
 
10.ガラス張りの実力主義経営による経営体質強化
 
【特色】
空調や給排水設備の専門工事業であるN社は、社長、常務・取締役、課長、一般社員という4階層しか存在しない、シンプルでフラットな組織が特徴的である。
【内容】
①N社では、毎朝30分間の「幹部会議」が開催され課長以上が参加しているが、一般社員でも自由に参加できる。経営情報をできるだけ透明化して社員の参加意識を高めようとする方針を象徴するかのように、その会議室は文字どおり総ガラス張りである。
②実力主義・成果主義の賃金体系を採用しており定期昇給はない。責任者が経営目標を達成できていなければ降格される場合もあり、実際に降格が年に1~2名は発生しているが、中途採用も多く、約420名の社員の半数が中途入社で、その出入りの多さが組織の活性化につながっていると見られている。
【成果・今後の方針】
実力主義であっても顧客に支持されなければ経営は成り立たないが、その点N社では10年以上前から施工1年程度後に「お伺い葉書」を発注担当者に送付する顧客満足度測定制度を実施しており、その中の失敗事項や注意すべきポイント等は毎月の「フェイルレポート」として発表されており、情報の共有化を図っている。
 
 
11.生産性向上を目的に自社の鉄筋加工センターを建設
 
【特色】
鉄筋工事業のF組は、生産性を上げコストダウンを実現させるため、自社の鉄筋加工センターを建設した。
【内容】
①鉄筋加工センターは同社の経営戦略の集大成といえるもので、コスト計算にもとづいた適正な営業活動、生産過程での総合的なコスト管理能力の育成など、生産性の向上を図ることを目的としている。
②同センターは公的資金を活用しただけに、地元の職業体験講習場として一般労働者や中高齢者を受け入れるとともに高校の学習体験場としても活用する。F組は従来から人材育成にも努力し、1級建築士4人、1級土木施工管理技士1人、1級鉄筋技能士22人、2級建設経理事務士1人、さらに建設大臣顕彰マスターも輩出している。
【成果・今後の方針】
F組では、専門工事業者にも総合的に請負ができる管理体制が求められると考えており、総合請負業の建設業許可も取得するなど着実に企業体質の強化を図っている。
 
12.総合商社系列の総合設備工事業が事業領域を専門特化
 
【特色】
総合商社の子会社であるM設備は、空調設備、給排水衛生設備を中心とした総合設備工事業であるが、人工降雪設備、食品関連施設などを自社の強味を発揮できる事業領域として専門特化している。
【内容】
①人工降雪設備の全自動降雪システムで業界トップシェアをもつM設備は、自動遠隔操作システムや、外気温0度以上での造雪が可能なシステム等の最新技術を投入し、戦略的にスキー場経営をサポートする体制をとっている。
②野菜予冷施設やカット野菜生産システム等だけでなく、21世紀へ向けての安全でおいしい「食」の提供へ、GMPやHACCP導入サポートから設計・施工・メンテナンスまでトータルにサポートしている。
【成果・今後の方針】
M設備では、人工降雪設備工事の設計施工、野菜予冷工事の設計施工並びに付随するメンテナンス・リニューアルについて、さらに特化した事業展開を志向していく意向である。
 
13.特許の保有による競争力強化
 
【特色】
専門工事会社でも特許の保有により競争力を強化する動きが出てきている。専門工事業者が特許を取得することにより、工法・技術などにおいて差別化が図られ、仕事の領域を拡大できる。
【内容】
①R工業はクレーンの先端に削孔機を取りつけて法面に補強材を埋め込むS工法の基本的な特許を押さえ、技術をほぼ独占している。
②N建設はR工法と呼ぶ吹き付けコンクリート法面の補修技術を開発し、技術を独占しておく方向。
③N社は特許の取得に力を入れ、約250件の特許を保有している。その主力技術が種子を付けたネット状の材料を法面に敷設して緑化する工法。自社の施工だけでなく、代理店を通じてネット材を全国に販売している。技術力を重視し、社員の約1割を技術開発にあてている。また特許がきっかけで大手企業と技術提携し、テニスコート製造技術を開発。15年間で約100億の受注をあげている。
④法面工事会社のF工業も特許によって成長した企業のひとつ。法面保護工法の基本的な特許を押さえ年間に1,000億を売り上げるまでに至っている。工法の協会を設立し普及を図っている。同社はロイヤルティーを材料費に含めて販売し、確実に回収する方式をとっている。
⑤基礎工事専門のR社は大手ゼネコンと工法にかかわる特許でクロスライセンスを結んだ。この工法に関連する特許を2社がそれぞれもっていたことから、両者の特許の実施権を相互に許諾すると同時に、協会を通じて第三者にも実施権を許諾することで合意している。
 
14.共同購買事業の一層の充実を図り生産性を向上
 
【特色】
M管工業協同組合では、昭和23年頃から共同購買事業をスタートさせており、現在では共同購買事業による資材調達率は70%程度、中小の組合員ではほぼ100%に達している。
【内容】
①組合では有力資材メーカー・問屋等と代理店・特約店契約を締結して、格安仕入の方途を講じて、S市を中心とする地域の管工事用資材供給の先達となっている。
②組合では無料配達制度を採用し、鉄管1本であっても朝9時までに注文すれば午前中に配達されることになっており、工事現場の工程管理の能率化に寄与している。
③配達を要しない組合員の資材引き取りに対しては2%の値引き制度を設けている。
【成果・今後の方針】
現在の年間取扱高は30億円を超えており、共同購買の事業高の4%を協同組合の教育訓練・福利厚生などの活動費に充てている。
 
15.より良い環境創造を目指す特許工法を取得
 
【特色】
従業員約10名の造園工事業F社は環境にやさしい新工法の特許を取得している。
【内容】
①F社では、表土を確保し、既存の林分の80%以上を確実に復元・再生することを可能にした、自然が持つ復元・再生能力を最大限に生かした新工法を開発。この工法では、樹木はもちろん、表土の中に生息・生育する土壌微生物類、土壌動物類、埋土種子、実生類など全てを包括的に移植できる。
②多大な時間と費用とを必要としていた移植がスピーディに確実におこなえることになり、立ち木1本1本を対象としてきた移植が、ユニットとして移植できるため面的な復元が可能になる。
③平地のみでなく勾配をもつ造成法面や複雑な斜面も緑化対象地として可能となり、自然林から草原までの幅広い植生環境に対応できることとなった。マルチングや潅水などの養生管理が不要となり工期も短縮することができた。
【成果・今後の方針】
F社では研究所を設立し、同工法のほかにも環境保全・復元工法の開発や林床生態系移植工事等に取組んでいる。
 
16.研究開発部門の充実により光触媒利用の断熱内装仕上材を開発
 
【特色】
熱絶縁工事・防水工事業のH工業は、研究開発部門を充実して断熱パネルの開発に取組み、光触媒利用の断熱内装仕上材を開発した。
【内容】
①H工業では、冷凍・冷蔵工事部門、管工事・機械設置部門、防水・外壁改修部門、建築工事部門、断熱パネル製造部門へと工事製造部門を拡大してきた。
②断熱・結露防止・省エネ等々の時代の要請に応えるべく、住宅用断熱パネル・コンテナハウス・抗菌軽量坊熱扉・抗菌長尺断熱パネル・高断熱性不燃パネルなど、エネルギー消費を最小限に抑え、環境に与える負荷を低減する技術開発に取組んでいる。
【成果・今後の方針】
長年にわたり培ってきた技術力により、光触媒作用を利用した断熱内装仕上材の新製品を開発。H工業では、技術開発型企業として、今後も研究開発に注力していく方針。
 
17.国際特許で工期の短縮と作業の安全性を確保
 
【特色】
K社が開発した湿式防水シートは国際特許を取得している。
【内容】
①K社では、アスファルト防水のアスファルト部分を熱で流動しないセメントペーストに置き換え、ルーフィングの部分を伸びの良いEVA(エレチン酢ビ共重合体)のフィルムに植毛した工研シートに代え、防水のみならず躯体の表面保護の役目も果たす湿式防水シートを開発し、国際特許を取得している。
②K社の新工法では、火気・溶剤などを使用しないため、煙・臭い・有毒ガスなどが発生せず、騒音も発生しない安全な作業ができる。また、下地に湿気があっても作業が可能であり、工期短縮を可能とした。
③二人一組での作業で、特別な施工道具も必要としないため、人数・日数などの調整を可能にさせるコンパクトな施工方法である。
【成果・今後の方針】
K社では、海外へ「日本発」の技術を提供するため、さらに水密性を向上させたシートの開発に挑戦している。
 
18.工法や技術の積極的な研究開発で社会の要求に対応
 
【特色】
H社は設計や施工の生産性を高めた合理化工法の研究開発を行い、独自の工法として多数の特許や技術を得ている。
【内容】
①H社では、各部材の標準化や工場生産(プレカット)化、強度性能の明確化や設計適用基準の制定、施工の簡略化や工期短縮などで独自技術を開発し、自社企画開発商品に活用している。
②コンクリート構造物のひび割れに対する補修技術では、コンクリート構造物の補修技術を他社と共同研究開発し、補修に関して多数の特許や技術を得ており、これらの技術は独自の補修工法として日本及び世界各国から注目を集めている。
【成果・今後の方針】
H社の開発したCOME工法は、建設省の建築物性能等認定事業登録規定に基づく木造住宅合理化システムとして財団法人日本住宅木材技術センターより認定されている。
 
19.新工法の開発で安全性と機能性を高め一貫施工システムを確立
 
【特色】
平成4年設立のベンチャー企業O社は樹脂による負荷のない新工法を開発し、安全性と機能性を高め、建物に負担をかけない一貫施工システムを確立した。
【内容】
①O社はベンチャーキャピタルを大株主とする平成4年設立のベンチャー企業で、建具・建築金物工事を展開している。
②開発された新工法は、PC工場でのアンカープレートの打ち込みをなくし、溶接、トロ詰めコーキング等の工事を省き、躯体欠損が少なく、ステンレス金物とエボシキ樹脂による接着工法によって錆浮きや漏水・クラックなども無くすことができる。また街並みの景観美との調和や、他の職種との取り合いもなく作業工程も墨出しから設置まで自主管理できる。
【成果・今後の方針】
①新工法により大幅な工期短縮、コストダウン、メンテナンスの不要さ、その技術による技能者の育成が可能となった。
②O社では今後、更なる商品開発や技術開発を進めていくこととしている。
 
20.オリジナル工法で細分化するニーズに対応
 
【特色】
杭打工事、地盤改良工事業者のA社は、オリジナル工法の開発に注力し、さらに改良を重ね、進化する基礎土木技術に対応している。
【内容】
①A社の独自工法は、従来の性能はそのままに、地盤改良技術のノウハウを結集しコンパクト化を実現し、各ユーザーから評価を得ている。A社ではその後、現場で発生するさまざまな条件に対応できるよう改良改善を重ね、深度、速度、回転、トルク、流量の他、今では土質状況、スラリー比重など施工データを逐次計測し、自動的に記録するなどすぐれた品質管理機能をもつ工法へとグレードアップさせている。
②A社はさらに細分化したニーズに対応する応用工法の開発にも熱心で、建機メーカーやゼネコンとのタイアップ、また、特許の取得のため常に土木学会への関心も深めている。
【成果・今後の方針】
A社では、マシンのアタッチメントの改善改良などにより大幅な省力化や作業効率アップに結びついた事例は多く、実用新案なども数多く取得している。
 
 
21.安全と省力化を徹底的に追求・実行し建設現場の3Kを排除
 
【特色】
鋼構造物工事、鳶工事を主力とするK社は、工法の特許を取得し、徹底的に建設現場の3Kを排除している。
【内容】
①K社が開発した特許工法は、従来の足場を使用せず、代わりに移動式作業床を使用するもので、工場・体育館・倉庫等の大規模な鉄骨造の建築工事の危険を伴なう高所作業をなくし、作業の安全性と施工効率の向上を実現させている。
②屋根部や建物内部作業には「内部大型移動式作業床」と、側壁部等躯体工事作業に適した「外部昇降型移動式作業床」など4タイプを組み合わせることにより、様々な現場状況や用途に応じた安全かつ効率的な作業環境を提供できる。
【成果・今後の方針】
ハ特許工法は、高い安全性の確保、優れた施工品質の実現、工期の短縮、仮設材の軽減、施工効率の向上、現場管理の省力化、整理整頓など、3Kの克服に大きく寄与している。
 
22.メーカーと協力して研究開発を推進
 
【特色】
防水工事業者で構成されているT協同組合では、大手防水材メーカーT社の協力を得て、研究開発を積極的に推進。
【内容】
①組合では「専門工事業は良質な防水材がなければ良い施工はできない。また、メーカーは良い防水材を開発しても適正な施工が行われなければ無意味である」という基本姿勢に基いてメーカーと積極的に意見を交換しつつ、一体となって研究開発を進めている。
②研究開発を進める中で、組合において環境問題に対応した屋上緑化工法、外断熱防水工法等の新工法を開発している。
③消費者としての立場からのアドバイスや情報提供を行い、メーカーの新防水材の開発に協力した。
【成果・今後の方針】
組合ではメーカーとの関係をさらに強め、更なる新工法・新防水材の開発を進めていく意向である。
 
23.自社開発製品で特許取得
 
【特色】
道路安全施設の施工を行うS社では、自社で開発した区画線塗料で特許を取得し、売上を伸ばしている。
【内容】
①S社では、研究開発のための組織づくりや人材育成に積極的に取組んでいる。今回開発した区画線塗料は、製品そのものの品質向上はもちろんのこと、作業の生産性なども考慮に入れたものであり、何よりも安全を最優先すべき道路安全施設の機能を十分意識したものであるといえる。
②新事業への取組みも積極的で、無臭無煙焼却炉の開発から販売まで一貫して手がけることとしている。多くの企業が参入している環境ビジネスではあるが、持ち前の研究開発に対する同企業の姿勢は、今後の可能性を感じさせる。
【成果・今後の方針】
今後ISO9000認証取得に着手の予定である。
 
24.中小企業経営革新支援法を活用した新工法の開発
 
【特色】
全国基礎工業協同組合連合会の組合員であるM土木、U社、N工業、N社、U建設の専門工事業5社は鋼管杭の新工法の活用を内容とする経営革新計画を作成し、平成11年12月に建設省から同計画の承認を受けた。
【内容】
①平成11年7月に施行された中小企業経営革新支援法は、経営革新計画等を作成し、新たな取組みによる経営革新にチャレンジする中小企業に対して各種の支援措置を講じるもの。
②建設産業団体がリーダーシップを発揮して、経営革新計画を作成したのは全国でも初の取組み。新工法は国土開発技術研究センターの技術審査証明も取得している。
③新工法の開発はあくまで自助努力により各社が出資して行ってきたものであるが、中小企業経営革新支援法に基づく支援により、新工法の今後の追加試験に対する各社の費用負担なども軽減される。
【成果・今後の方針】
①経営革新支援法を活用して経営力の強化を図った先進的な事例。
②新工法による高品質の建設製品の提供は各社に付加価値を生み出し、経営革新と杭基礎工事業界全体の活性化を促すと考えられている。
 
25.中小企業経営革新支援法を活用したリフォーム・太陽光発電システム工事への取組み
 
【特色】
板金工事業の全国団体であるN協会は、中小企業経営革新支援法を活用してリフォーム工事・太陽光発電システム工事へ取組むことにしている。
【内容】
①N協会では、リフォーム市場への参入に向けて、技能士育成、使用材料別構工法の策定と研修、責任施工制度への取組みなどを行ってきた。
②N協会の会員団体であるS工業組合では、太陽光発電システムに対応するために調査研究を行い、建築板金業界における有力な新事業分野であるとしてN協会に提言をしていた。
③N協会では、リフォーム及び太陽光発電システムに関連する工事施工を、業界として確保すべき新事業分野と捉え、中小企業経営革新支援法を活用してリフォーム工事における直接受注のための体制づくり、太陽光発電システム工事による環境対応などに取組んでいくこととしている。
【成果・今後の方針】
N協会では、中小企業経営革新支援法に基づく経営革新計画について参加企業の募集を行い、事業を進めていくこととしている。
 
26.早い段階から品質基準をつくり「責任施工制度」を実施
 
【特色】
板金工事業の全国団体であるN協会は、昭和59年から10年保証に対応できる品質基準をつくり、屋根の施工に関して「責任施工制度」を実施している。
【内容】
①N協会では、「責任施工制度」の取組みの裏付けとして、株式会社形態の保証会社を昭和59年に設立し事業を行っている。
②N協会の保証事業のしくみは、「屋根工事」及び「板金工事」について、組合の定める仕様書・標準施工図等に従って工事を行い、組合の検査に合格した工事について、組合が保証会社に保証書を申請する。保証会社は発注者に保証書を発行し保証を行う。住宅については自主検査、非住宅については組合の検査とすることが多く、発注者に応じた検査の対応水準を定めている。
③保証書発行に際して、組合員は保証会社に補修・再施工の実行を約束する誓約書を差し入れており、瑕疵が生じた場合は組合員が自らの費用で補修もしくは再施工を行う。また保証期間中に生じた、工事の結果に起因する屋内財物等への損害に対しても、民間損保と契約することで対応している。N協会ではこれを「二階建て保証」としてPRしている。
【成果・今後の方針】
①保証実績は徐々に増加し、現在では年間1千件を超えている。N協会では、「責任施工制度」が非住宅も含め建築物の屋根工事、板金工事の品質確保上の有力な標準となるような環境づくりを進めることとしている。
②また、「責任施工制度」とISOとの関連性の確保を模索する研究調査を進めることとしている。
 
27.長期性能保証により組合員の高い技術力をバックアップ
 
【特色】
M事業協同組合連合会では、平成2年1月に、組合員が施工する特許工法については、最長10年間にわたり性能を保証する「長期性能保証事業」を開始した。平成7年からは保証対象を組合員の施工する工事まで拡大している。
【内容】
①M事業協同組合連合会の長期性能保証事業は、組合員の施工する工事についてその性能保証債務の履行を傘下地域事業協同組合が保証し、更に連合会が再保証する仕組みとなっている。組合員は、保証申し込み工事金額の1/200の保証準備金、および1/200の保証手数料が必要となる。
②施工検査については、組合の定める設計・施工等の基準に従い、組合員が自主検査する。ユーザーの希望により、施工管理委員の検査も具備している。
【成果・今後の方針】
①組合員にとっては、性能保証によって安心して工事を行うことができるとともに、企業の信用力がアップし、受注機会の増大にもつながる。事業協同組合および連合会にとっては、保証事業手数料によって各種事業の活性化を図ることが可能となる。
②加入組合員830事業者のうち約70%を超える利用率になっており、M事業協同組合連合会では今後より一層の利用率の向上を目指したいとしている。
 
28.研究開発事業と保証事業を効果的に促進
 
【特色】
N施工協同組合は、建築物の改修・補修・防水工事を行う専門工事業者で構成する組合であり、若い世代が中心となって研究開発事業と共同保証事業とに積極的に取組んでいる。
【内容】
①N施工協同組合の委員会のひとつである技術委員会の関東ブロックは、従来からのタイル張りの浮き補修工法を代替するものとして、特殊タイル改修工法を開発するとともに炭素繊維シートのバネル工法を開発した。
②これにより、旧来のシート工法では必要であった下地処理やはつり等による騒音や埃の問題を解決でき、施工品質も大幅に向上した。
【成果・今後の方針】
①上記の特殊タイル改修工法については工法自体の高い信頼性により、組合による検査なしで施工保証を実施するようになっている。
②炭素繊維シートの巻き付け技術については、組合で検定試験を実施して、技術資格を認定しており、技術開発と人材育成とをつなげて組合事業への関心と需要を生み出している。
 
29.工事性能保証事業で外国損保会社と連携
 
【特色】
H協同組合は、建築仕上工事においてリフォームの比重が年々増加してきており、組合員が施主から直接仕事を受ける動きも増えてきたため、顧客の安心・信頼を得るために工事瑕疵保証制度を始めたが、保険制度の自由化に合わせアメリカの損保会社と連携している。
【内容】
①H協同組合の保証制度は、民間損保による損害補償であり、工事が終わると損保会社と組合が共同で検査し工事管理を保証する。最長5年だが5年後に再調査し、補修のうえ再保険も可能。保険契約は損保会社と個別に施工会社が行い、施主への保証は必要に応じて業者と組合が連名で行う。
②事故があった場合は費用の80~90%は保険で保証される。施工会社が倒産した場合などはその保険金額により業者に保証工事を施工させる等のシステムになっている。
【成果・今後の方針】
①工事瑕疵保証制度があることは組合員企業にとっても消費者に対するセールスポイントとなる。
②組合では、この制度を持続させ拡大していくことで建築仕上業に対する社会的信用の向上につなげていくことを目指している。
 
30.工事性能保証事業による工事の信頼性アップ
 
【特色】
T県板金工業組合では、昭和50年から公共工事を対象とする「工事性能保証事業」をスタートさせ工事の信頼性の向上に努めている。
【内容】
①工事性能保証事業では、「工事施工」に関する部分を組合が保証し、「瑕疵」に関する部分は全日本板金工業組合連合会が保証する仕組みとしている。このため、組合では自主的に工事施工基準を設定し、技術的に優れた組合員を検査員として保証対象工事をチェックしている。
②この事業では、施工する組合員が工事施工基準を遵守することが前提となることや、組合としての検査をパスすることが必要なことから、必然的に各組合員の工事品質は高まることとなる。それが発注者から評価され、工事の信頼性向上につながっている。
【成果・今後の方針】
①成果として、従来から要請してきたにも拘らず実現できなかった板金工事の分離発注について、県・市から板金の営繕工事については分離発注されることとなり、組合員からは「組合の事業を活用して、目に見える成果があがった」と喜ばれている。
②組合では、より一層の検査体制の充実と施工のレベルアップに向けて、労働省認定の職業訓練校を組合に併設し、板金工事技能者の確保と養成並びに組合員の後継者の養成に努めることとしている。
 
 
31.協同組合の会員が資材を海外調達
 
【特色】
専門工事業者18社で構成されるM協同組合は海外建設資材の市場調査のため視察団を派遣。
【内容】
①組合では、サンプル的に発注した製品の確認と調達資材の拡大のため市場調査を実施。
②ツーバイフォー住宅に使用するパネルの製造を発注、製作にあたっては社員2人を現地に派遣し指導する体制をとったため精度の問題はなかった。
③資材の輸入にあたっては現地で活動している日本人グループとネットワークを構築し、情報も効果的に収集できる状況にある。
【成果・今後の方針】
組合の賛助会員であるT組がステンレス製品を中国企業に発注、国内相場の4分の1で輸入することに成功しており、品質も問題なかった。
 
32.海外の工事を直接受注
 
【特色】
K工業は従来の板金業を脱皮し、あらゆる金属素材を建築物の意匠・外壁等に活かす建築用金属製内外装工事の専門工事業者を目指しており、海外の工事も直接受注している。
【内容】
①K工業は以前から海外に積極的に目を向けており、香港に現地法人を設立、シンガポール支店の開設、台湾での合弁会社設立、ドイツの企業との提携など国際化、商品、材料、工法開発等の多様化を進めている。
②世界的な建築工事に対応するために、業界に先駆けてCAD/CAM化を図りシステム化を推進し、共同受注などの協調や分業化を重要視している。
③インターネットを使った資材関連業者や製品加工業者の募集は材質やサイズを明記して取引をするなど工事原価の低減にも前向きに取組んでいる。
【成果・今後の方針】
タイにおける寺院の工事においては材料の選定、サンプルの提出など何度も交渉を重ね、3年がかりで直接受注を獲得するなど高い技術力を評価されている。
 
33.韓国の地下鉄工事を日本の中小企業が受注
 
【特色】
韓国で2002年のワールドカップサッカー大会開催にあわせて建設されている地下鉄工事について日本のK開発工業が2件のシールド工事を受注。
【内容】
①韓国の元請会社にシールド工事の施工経験が無く、1件はK開発工業の特命受注であり、あと1件は国際競争入札で英国企業に競り勝ったもの。
②K開発工業では、為替変動や海外での資機材調達等は精通している大手ゼネコンの退職者を受け入れて体制づくりを行った。
③同社は現地法人を持っていたが、今回は現地法人ではなく本社が受注した。これを機にソウルに支店を開設する戦略で、現地法人は韓国内の公共工事をターゲットとするが、新規開設する支店は現地法人が対処しきれない難度の高い工事をターゲットとして、受注活動を展開することとしている。
【成果・今後の方針】
実績を積み重ねることで、将来は韓国の公共工事に元請として応札することも視野に入れており、既存建築物のリニューアル市場を次のターゲットとしている。
 
34.海外事業部を設置し東南アジアで設備工事を展開
 
【特色】
S電気工業は従業員30名弱の電気設備業の企業であるが、東南アジアにおける日本企業の施設建設・プラント・機械等の輸出に伴なう電気設備工事を受注するため現地に事務所を開設し積極的に活動している。
【内容】
①S電気工業では、平成11年からフィリピンのマニラに事務所を設置し、東南アジアでの新ビジネスを展開している。同社の現地工事の特徴は、(1)日本国内で培われた施工管理技術を駆使する確実性、(2)ベテラン職人の現地への常駐・エンジニアの派遣による国内同様の品質の確保、(3)訓練された現地ワーカーの活用によるコスト削減、の3つである。
②フィリピンのパートナー企業と業務提携し、現地ネットワークによる多彩な工事受注へ積極的に活動しいている。
③ホームページ上で、フィリピン進出を考える中小企業のためのビジネス情報などを発信している。
【成果・今後の方針】
今後は現地での施工実績の積み上げとともに、日本企業への積極的な営業活動を展開していく意向である。
 
35.異業種の専門工事業8社が共同受注へグループ化
 
【特色】
屋根、左官、内装、管、塗装、建具、板金、建築の専門工事業8社が、共同受注のためのトータル・リフォーム・マネジメント・グループを組織化。
【内容】
①ゼネコンの受注が減少する中で、自ら民間建築工事の営業活動を展開する必要を痛感した共通の営業地域を持つ異業種8社が、共同受注のためにグループを組織化。
②1つの物件を共同受注して各社の専門分野に応じて分担施工するというシステムをとっているが、各社がそれぞれ単独でも営業活動を展開しており、自社の専門外の工事情報はグループ内で情報を提供しあうこともあり、会員8社が協力しながら受注の確保・拡大を目指している。
③他社からの情報提供を受けて工事を受注できた場合には、その契約金額の5%をグループに納めることとしており、これをグループの活動資金としている。
【成果・今後の方針】
現在では、グループの売上の80%以上が民間建築工事で占められるようになっており、今後も営業活動の情報交換の活発化をおこない、受注の確保・拡大に努力することとしている。
 
36.得意分野の異なる電気工事業2社が対等合併
 
【特色】
山形県のO電気工業とF電気工事が平成10年6月1日に対等合併し、県下有数の電気工事企業A電気工業として営業を展開している。
【内容】
①同じ電気工事業であっても得意分野が異なるため、合併によって業容を補完しあい、総合電気工事企業としての地歩を固め、技術の高度化・複雑化に対応した経営体質の強化と労働条件などの改善等を通じて経営基盤強化を実現。
②コンセプトワーク・設計・施工・サポート・メンテナンスという一連の流れをネットワークとコミュニケーションで確かな技術を実現するとしており、名実ともに総合電気工事業への展開を図っている。
③従業員個々や小集団としての創意工夫を経営に反映させるべく幹部会議に直結したQCサークル活動を展開しており、組織的な活性化を図ろうとしている。
【成果・今後の方針】
新会社は「最新の技術で未来を拓く」をモットーとして、経営事項審査の格付けを上げて、「良い物を安く」提供できる「社会的に優れた企業」を目指していく。
 
37.4社で協業組合を設立し規模拡大により売上増加
 
【特色】
土木工事を専門に下請していたK建設は、地場ゼネコン3社とC協業組合を発足させ事業規模の拡大に成功した。
【内容】
①全国に建設業の協業組合は40程度あるが、このC協業組合は成功事例として取り上げられることが多く、協業組合として取得した許可は、一般土木、建築、とび・土工、舗装、管、造園、水道施設の7業種である。
②協業組合設立による企業規模の拡大を活用して、県や市町村の公共土木工事の受注に力を注いでいる。
【成果・今後の方針】
①協業組合設立時の4社合計売上を増加させることに成功した。8割が土木、残る2割が民間の建築工事となっている。
②組合では中小企業でも品質を保証する規格の確保が欠かせないと判断し、ISO9000認証取得に取組んでいる。
 
38.技能工を直用化し自主施工体制を確立
 
【特色】
建築とび中心の専門工事会社であるH建設では自主責任施工体制の構築のために技能工120人を直用化し、そのうち30人に月給制を導入している。
【内容】
①H建設では、重層下請の廃止を目指して、技能工を直用化。これにより社員の責任意識の向上を図っている。また同社では、サブコンとしての役割の拡大に向けて、現場における総合仮設や躯体工事等でゼネコンとサブコンとを繋げられる社員の育成を重視した戦略をとっている。
②平成4年からCADを導入し仮設計画・施工図を作成しており、毎年、設計会社へ職員を派遣してレベルアップを図ると共に、多能工への育成教育に力を入れ、自主施工体制への人材育成に努めてきている。
【成果・今後の方針】
H建設では、今後は躯体一式での受注を目指していく考えである。
 
39.直営責任施工体制で得意先の信頼を獲得
 
【特色】
発電所・変電所等の電力土木からはじまり、一次下請けによる直営責任施工に徹した営業戦略をとってきたN建設は、電力土木業界に広く得意先を拡大している。
【内容】
①N建設の直営責任施工体制は、下請け工事には義務づけられていない1級の監理技術者を現場に配置することからはじまる。これは施工体制の一層の充実によるシビアなコスト管理の徹底を狙いとしているものである。
②優秀な作業員の安定的確保が欠かせないことから、主な営業地域である関東一円に常設宿舎を設置して定着化を図るなどの方策がとられている。
③直営施工による安全の確保、当社社員による責任施工を行うために不可欠な多能工への育成については、人材戦略に基づく体系化された教育訓練制度を徹底して実施している。
【成果・今後の方針】
N建設の直営責任施工体制は、元請け企業の負担となっていた資材・技術者・宿舎等の経費部分の軽減となり、信頼性の獲得に大きく貢献している。
 
40.板金工事業者が異業種連携でリフォーム工事に進出
 
【特色】
建築板金工事業のK社は業務拡張を図り、異業種との連携でリフォーム事業を進めている。
【内容】
①K社は昭和42年から、大工、左官、塗装、板金の4業種でリフォーム事業に着手。その後、大工15社、専門工事業者25社で協同組合を設立し、住宅の新築工事へと業容を拡大し、ハウスメーカー、県住宅供給公社等の分譲住宅を施工してきた。現在は発展的に協同組合を解散し、屋根、板金、外壁の総合プランナーとしてリフォーム事業を進めている。
②K社では「建物を守る会」を立ち上げ、施工した顧客や新規の顧客を対象に1日分の日当程度の年会費で会員を募っており、屋根・雨といの点検業務を年2回実施している。点検業務の結果、建物に損傷がある場合は補修を進め、その場合の日当や部品代などは実費としている。
③K社では、建築板金工事を主な業務としながら、リフォーム工事の経験を活かした建築全般の内外装工事と自社開発の屋根材の製造販売も行っている。
【成果・今後の方針】
K社では建築板金工事業界の会合において、同業者に取組事例を紹介。多くの関係者が参加する中、業界全体としてリフォームに取り組む姿勢をPRした。
 
 
41.異業種連携によるリフォーム直接受注
 
【特色】
N建設専門工事業団体連合会に所属する異業種の企業約50社がグループをつくり、リフォーム分野での直接受注事業に進出している。専門工事業の団体が主導する形で組織的に新分野参入を図る先進的な事例といえる。
【内容】
①「よろずメンテナンス」と称するこの事業は、連合会が開設するホームページを窓口に、相談・見積から受注・施工まで一貫したプロセスでユーザー対応にあたっており、ホームページにアクセスしてきたユーザーに無料で相談や見積に応じ、県内各地区に配置した企業を適宜コーディネートしている。
②相談内容に即した業種の企業がユーザーに直接出向き、相談や見積に応じるほか、工事が必要な場合は個別に契約し施工する。
③施工にあたっては他の会員企業もバックアップ連合する。成約の場合はその1部を運営資金としてグループにバックする。
【成果・今後の方針】
①連合会では工事の実情を熟知している専門工事業者が、直接ユーザーに対応することで責任を持ってレベルの高い業務を低コストで提供できることをセールスポイントに広く一般にPRしていく方針。
②当面は一般住宅を対象にしているため室内装飾や防水などの業種が多くなるが、将来的には改築工事の受注も視野に入れ鉄筋、鉄骨、とび、土工、型枠なども配置し体制強化をしていくこととしている。
 
42.異業種の垣根を超え専門工事業者がリフォーム工事へ進出
 
【特色】
中小専門工事業者19社(硝子・鋼製建具、鉄骨、内装仕上・軽天、鳶・土工、給排水衛生設備、ALC、塗装、建築金物、設計事務所、防水、電気、畳、材木店、ガス配管、石、左官、タイル、大工、鉄骨・金物)が、住宅・ビル建築のリフォーム工事を受注する体制づくりを推進。
【内容】
①倒産した建設会社の協力会の下請け会社が、協力してリフォーム工事を受注し共存していくことを目的に団結した。また、メンバーで協力すれば、新築工事も可能であり、設計事務所も含まれるので、図面、官公庁への書類提出、工程管理・品質管理も対応可能であるとしている。
②ホームページをお客様の問合せ相談窓口としている。また、発注者には分離発注をお願いし、工事は分担施工。事務局的な中間マージン・手数料は排除し、工務店やゼネコンへの提示価格を基本とし、手付け・先払いは無しとしている。
【成果・今後の方針】
技術力を持った専門工事業者を今後さらに募集していく方針。
 
43.タイル専門工事業者が異業種10社を組織化し総合リフォーム分野を開拓
 
【特色】
タイル専門工事業S社は、専門工事業の異業種10職種連携によるSグループを組織し総合リフォームに進出している。
【内容】
①Sグループでは、S社が元請となり、契約、工程管理、施工監理をコーディネートしており、リフォーム工事のほか、新築や改修などほとんどの要望に応えられる体制となっている。工事代金は完成後請求で、前払い金や中間金は請求しない方針である。
②顧客の意向をくみ、満足いただく仕事をすることで信頼関係を築き、責任施工を第一義としている。
③S社では、社員教育や人材育成にも力を入れ、自社の事業所内訓練校は現在S組合の技能工養成所として組合員全員が資格を取得できる教育の場として提供されている。
【成果・今後の方針】
S社では、リフォームについて営業の専任担当者を置いていないのにもかかわらず、受注のほとんどを特命で受けている。
 
44.異業種提携でリフォーム工事に対応
 
【特色】
Mリフォーム協同組合は、建築・大工・塗装・タイル・レンガ・ブロック等の異業種の中小建設業14事業者で構成されており、連携して総合的なリフォーム工事に対応している。
【内容】
①コンクリート建造物の場合、施工後10年以上経過すると、外壁や屋上防水・ベランダ等の部分に劣化が現われ、適切な補修・改修を行わないと外壁剥離等の事故を引き起こしかねない場合もある。こうした工事をより効率的に行うには、異分野の中小建設業が連携することが効果的であり、Mリフォーム協同組合もこうした観点に立って設立されている。
②組合設立当初は民間の補修・改修工事を主体に行ってきたが、現在では官公需の受注に取組んでおり、会計法などの関係法令の勉強会を行っている。
③組合では共同受注事業を推進していくには、次の4点が重要であると考えている。
(1)建築工事・塗装工事など組合員がその得意分野で補修・改修工事に対応すること
(2)どのような小さな工事、緊急な工事でも確実に対応できる体制を確立すること
(3)新工法や新技術についての提案を行い発注機関の便宜に供していくこと
(4)検査委員会を置いて中間検査並びに完成検査を行い工事の万全を期すこと
【成果・今後の方針】
組合では、ビルやプール施設の補修・改修工事を運輸省や雇用促進事業団、組合員の地元の自治体等から受注しており、工事を分担施工方式で実施している。
 
45.協会内にリフォーム技術委員会を発足
 
【特色】
室内工事業の全国団体であるS協会は、リフォーム市場への取組みに向けて協会内に技術委員会を設置した。
【内容】
①S協会では、リフォーム市場における内装工事業者の果たす役割は大きいとの認識から、リフォームに対する一般消費者の要求に対応するため協会内に「リフォーム技術委員会」を設置した。
②技術委員会の事業として、公認技術士の育成、使用資材・機器材の認定、工具・治具類の研究開発、施工の標準化等により責任施工体制を構築する方向で討議を行っている。
【成果・今後の方針】
S協会では、住宅品質確保促進法への対応として、品質保証体制を確立するため「リフォーム技術委員会」を機能させていくとともに、社会的な認知を得られるよう消費者に働きかけをしていくこととしている。
 
46.リフォーム市場進出へのビジョンと具体的プランの策定
 
【特色】
内装仕上業の全国団体であるN連合会は、リフォーム市場進出に向けて連合会としての中期ビジョンとアクションプランを策定した。
【内容】
①N連合会のビジョンは、5年間にわたる中期的な取組みをまとめたもので、リフォーム市場への進出に向けて、リフォームの定義の明確化、課題設計と優先順位づけ、他業種との競争戦略の明確化を挙げている。
②具体的な取組みプランは「アクセスプラン」と称して、指導員による検査証の発行や品質管理委員会の設置による施工管理者の教育、標準積算資料の普及・啓蒙など、品質管理に関する取組みについて示している。
【成果・今後の方針】
N連合会では、アクセスプランに基づき自主施工管理体制の整備・拡充をさらに進めることとしている。
 
47.珪藻ひばを開発しリフォーム市場を開拓
 
【特色】
室内装飾業のS社は、珪藻ひば(ひば精油入りの珪藻土)を開発し、リフォーム市場における有力な武器としている。
【内容】
①珪藻土は健康、快適、安心を実現する健康住宅に最適な壁剤としてすでに定着、ひば精油は抗菌効果が高く、香りがストレス解消になるといわれているが、これまで両者を組み合わせた壁材はなかった。S社では、開発に3年をかけ、珪藻土に青森ひば精油を配合した珪藻ひばを開発した。
②S社の開発した珪藻ひばは、珪藻土の調湿性と青森ひば精油の抗菌・抗カビ、香り効果によって住空間の環境改善に効果があり、すでに設計事務所をはじめ多数の引き合いがきている。
【成果・今後の方針】
住宅品質確保促進法では、室内環境も評価対象にしており、S社では、新法に対応した壁装仕上材として工務店ルートなどを通して全国販売を目指すこととしている。
 
48.消費者が工法を理解・体感できる展示場を開設
 
【特色】
内装建材の販売・施工を行うN社は、一般消費者等に内装システム工法を理解・体感してもらうための展示場を開設した。
【内容】
①N社は、リフォーム・リニューアル分野において首都圏を中心に展開しており、作業工程が短縮できる省力化製品、バリアフリー製品、リサイクルに適した製品など幅広い製品提案を行っている。
②N社が開設した展示場では、各種サンプルの展示のほか、製品性能を実感できる実験装置の設置、介護を視野に入れた高齢者対応住宅、内装システム工法の工程紹介、消費者が実際に施工を体験でき、技能工や施工管理者が訓練を行うことができる施設も用意されるなど、見て、触れて、学べる充実した展示場となっている。
③N社では、展示場における消費者の要望をもとに、リフォームやリニューアルに関しての新商品開発を進めていくこととしている。
【成果・今後の方針】
N社では、全国の事業所に専任の担当者を置き、リフォーム・リニューアルのニーズに応えていくとともに、環境や健康をテーマにしたインターネットショップも開設する予定である。
 
49.建築板金工事業者が屋根材一体型太陽光発電工事を推進
 
【特色】
板金工事業のM工業は、リフォーム工事や太陽光発電工事など新たな事業展開を図っている。
【内容】
①M工業では、豊富な写真による施工例と簡単な工法図・設計参考資料等をホームページ上で紹介。素人が見てもよく理解しやすいように特長・用途等が説明されている。
②特に太陽光発電工事については、そのシステムの特長から説明がはじめられ、屋外環境における各種試験のデーター等も掲載され、新エネルギー財団の補助金制度についても解説されている。
③有資格者・長年の施工経験を持つ社員が工事を行い、下請け等への外注はおこなわない責任施工制度をうたっており、裏付けとして、建築士・技能士・訓練指導員の人数が明記されている。
【成果・今後の方針】
M工業では、今後も一般消費者に対して太陽光発電工事を積極的に紹介・提案していくこととしている。
 
50.建設設備のリニューアル部門を拡大
 
【特色】
電気設備を中心とした各種設備工事を行うS社はリニューアル部門を拡大し、診断から計画・設計・施工・アフターサービスにいたるまで対応を可能にしている。
【内容】
①S社は、電力部門、空調・管工事部門、設計部門などを持ち、リニューアル部門では設備の老朽化、機能や技術の陳腐化、経済価値の低下などあらゆる課題解決を提供できるような体制を整えており、過去のスクラップアンドビルドの考えを改め、建物のロングライフ化を提唱している。
②要となる人材の育成についても、自社の研修センターで徹底しており、技能・技術研修を行うための設備も充実させている。
【成果・今後の方針】
S社では、公的資格取得者を大量に育成し、技術力の高さを証明している。ISO9001、ISO14001ともに認証を取得しており、海外への進出も果たしている。
 
 
51.使用済みプラスチック型枠等を再生したリサイクル型枠の開発
 
【特色】
M協同組合は使用済みプラスチック型枠等を再生したリブ嵌合方式リサイクル型枠の試作・開発を進めている。
【内容】
①組合では、リサイクル型枠の性能と作業性を明らかにし、製造から施工に至るトータルコストの優位性を実証するため調査・検討を重ねており、ポリプロピレンを主原料とする使用済みプラスチック型枠を回収し、他の廃プラスチック類と混合、再処理して押し出し成形により型枠施工に供するリサイクル型枠を試作している。
②使用済みプラスチック型枠を粉砕し、タンブラーで攪拌して性質を均一化したあと、他の廃プラスチック類と混合してペレット化し、再生可能な材料としてリサイクル製品に転用する技術を活用し開発を進めている。
【成果・今後の方針】
プラスチック型枠は従来品に比べ軽く、転用回数も数倍、工場製品のため供給が安定しているなどの利点があり、しかも主原料であるポリプロピレンは塩素を含まないため熱処理中に有害物質を発生せず環境破壊も少ない。また、作業スピードの大幅アップとトータルコストダウンを可能にするものである。このため組合では、試作品を改良し、実験を重ね、実用化を図りたいとしている。
 
52.アスファルト・コンクリート塊等産業廃棄物を100%再生
 
【特色】
K建設資源再生協同組合では、組合員から排出される廃材を処理し精製加工することによって、路盤材として再製品化し、産業廃棄物のリサイクルに貢献している。
【内容】
①組合では、修繕工事・新築工事等に伴なって発生する舗装廃材や建築物コンクリート廃材等を、協同組合の建設廃材破砕再生設備により再生砕石にリサイクルし、建設廃材再処理製品として共同販売事業をおこなっている。製品は主として公共事業等に使用されている。
②約4億2千万円の建設費を投じてプラントを整備。年間処理目標はコンクリート・アスファルト廃材10万トンである。
③環境に対する配慮から、敷地の廻りを4メートルの高さの塀で囲い、平面的防塵としては常に水の散布をおこなうなど粉塵や騒音等の防止対策をとっている。さらに、廃材の再生にあたっては分別処理が重要であるため、廃材を搬入するダンプカーの運転手への指導を徹底しており、効果をあげている。
【成果・今後の方針】
①出資配当よりも利用分量配当に重点を置いたため、組合員に「我が組合」という団結意識が高くなっている。
②県土木部が建設廃材の処理・資源再生を組合方式で実施したい意向があり、組合では行政指導のもとに全県的に取組みを進めている。
 
53.キャパシティの広さと施工能力をアピールし共同受注を促進
 
【特色】
K造園建設協同組合は、造園工事業である14の組合員のそれぞれの得意分野を強調し、単一の造園工事業にはない協同組合としてのキャパシティの広さと施工能力をアピールすることによって共同受注を促進している。
【内容】
①組合では、最初は単なる草刈りや伐採のような軽微な随意契約工事を厭わず受注し、発注者との信頼関係を築き実績を積上げる努力をしてきた。
②月1回は技術開発のために積極的に意見交換を重ねて研究開発事業に取組んでいる。例えば、伐採した木の枝をリサイクルして他の目的に使用するために、チップ化設備を導入している。
③業界や発注者のイベント等にも積極的に参加してきたが、組合として地域毎に組合員が分担して参加し、可能な限り多くの大会に出席。また、単一企業では対応できないような大きなイベントにも組合としてならば参加が可能であり、受注促進にはプラスとなっている。
【成果・今後の方針】
ハ 今後とも「緑のリサイクル」事業として「自然との共生」を組合として実践していく方針。
 
54.中古サッシのリサイクルを積極的に推進
 
【特色】
サッシ・ガラス・エクステリア工事のK社は、時代の要請に応え、中古サッシのリサイクル事業を展開している。
【内容】
①中古サッシリサイクルは、資源ゴミとしての再利用に比べ、コストを低く抑えることができる。I社は建築工事業が抱える新品同様のサッシや、増改築で不要になったサッシ等を回収・リサイクルし、中古品でも構わないという顧客に低価格で販売している。ただし、販売対象は原則として個人客であり、建築工事業者には新築住宅に中古サッシを使用しているという不信を持たれないために販売しないこととしている。相次いだ問い合わせでは、工場や倉庫、ビニールハウスの窓などについての需要が多かった。
②同社の取引き先や一般市民等から引き取ったサッシは、サイズ、メーカー、年式、色などのデータをパソコンに入力し、購入希望者からの引き合いに入力データと照合し取り次ぐという方法でリサイクルを進めている。
【成果・今後の方針】
K社では、インターネットを利用したサッシの新流通システムを検討しており、事業化への構想段階にある。
 
55.元請下請共同で断熱材のリサイクルを推進
 
【特色】
大手総合建設業者T工務店とS業務店は協力会社の関係にあり、両社は共同で廃棄物の減量化・リサイクルに向けて廃プラスチック断熱材等を利用した断熱モルタル用骨材を開発した。
【内容】
①S業務店はT工務店の下請として、主として現場発泡ウレタン吹き付け工事等の断熱工事を担当していた。S業務店はウレタン断熱工事における廃材処理に関して先導的立場でリサイクル活動に取組んでいる。
②技術開発にあたっては、コンクリート造建物の屋根葺き材下地モルタル用の骨材としてプラスチック製発泡断熱材の廃材を利用し、釘打ち固定可能な強度と断熱効果を同時に実現することと、建物の外部窓(サッシ)とコンクリート壁との空隙に充填するモルタル用の骨材としてプラスチック製発泡断熱材の廃材を利用し、コンクリート壁とサッシの緩衝材としての効果と結露防止効果を同時に実現することをテーマに取り組みを進めた。
③これらプラスチック製発泡断熱材の廃材を用いたモルタルの強度や耐久性などの物性試験については、セメント等の製造・販売メーカーであるU社と共同で試験・技術資料の整備を行っている。
【成果・今後の方針】
S業務店では、U社との共同試験により、(1)結露防止に有効な断熱性能が得られる、(2)軽量であることから作業性が向上、(3)コンクリート壁とサッシの間の緩衝材としての機能が得られる、(4)釘打ちが可能な強度を有する、などの成果が得られたため商品化を行った。
 
56.ゼネコンOBなどの人材の採用による新分野への進出
 
【特色】
専門工事業において、ゼネコンのOBなど総合的な能力を有する人材を積極的に採用し、新分野への進出や業態転換に積極的に取組んでいる事例がある。
【内容】
①P社は大手ゼネコンで建築部門に籍を置いていた50歳から55歳の管理職を中途採用した。P社は今後の建設市場を考えた場合、あまり特定の分野に偏っていては経営基盤が脆弱であるとの考えから、PC技術を生かして地下構造物や建築部門の売上高比率を高める計画を持っている。建築畑の社員を拡充する一方で、関連会社への転籍などにより70人ほどの社員を削減し、総人件費を減らしながら社員の構成を変えつつある。P社は建築分野での下請けや資材供給にとどまらず、建築一式を元請けとして施工することを目指している。
②地盤改良工事のN社の場合、地盤改良以外の海洋土木分野、さらには陸上関係の工事にも進出するため自社にないノウハウと人脈を持ったベテラン営業マンが必要との判断から50歳前後の営業マンばかりを10人採用した。
③機械土工事が柱のY建設は最近トンネル工事に力を入れており、その分野での経験が豊富な40歳代後半から50歳代半ばの現場所長クラスを中途採用した。
④地盤改良や法面工事を得意とするN建設はゼネコンで土木の総合管理能力を身につけた人材を積極的に採用している。N建設では自社の得意分野だけでなく土木全般に柔軟に対応できる総合力は、専門工事会社の中でも特色を出し、生き残りを図るため重要であると考えている。
 
57.専門工事業者が新市場開拓で多角化経営
 
【特色】
専門工事業において多角化経営を進めている事例がみられる。建設事業(本業)の体質強化はもちろんのこと、関連する新分野への進出、新規事業の開発など取組み事例は多い。
【内容】
①K工業は、PC橋梁の工事で業績を伸ばしてきた。大型プロジェクトでの受注を抱え、当面は安定した業績を予測している。しかし、2003年以降は受注環境が厳しくなるとみて、業務の多角化に取組んでおり、フランチャイズ事業に加盟する形で住宅分野への取組みを始めている。全国統一価格で加盟店が資材を直接購入、現場ではプレカット材にくぎを打つだけで済むという。この事業の営業担当には若手スタッフをあてており、社内の若い力を注いでいる。
②造園業T社では、下請工事中心から個人ユーザーから直接受注する仕事へとシフトしてきている。現在、その比率は6割という。本社にガーデニングの屋外展示場を開設したのを始め、現場で周辺住民を対象にした見学会を開催したりしている。もともと公共土木の受注は大きくなかったが、土木工事については指名願いを取り下げるなどエンドユーザーを中心とした方針を鮮明にしている。
③とび・土工の専門工事会社のS組は、元請企業に対して建設副産物削減システムの提案を始めた。廃棄物処理と揚重、品質、安全を統合的に管理し、無駄を省いてコストダウンにつなげることを目的としている。現場から出る混合廃棄物を削減できれば、廃棄物処理コストも抑えられる。人員や予算の余裕がない小さい現場でも簡単に廃棄物が削減できる。S組では、元請会社だけでなく、多くの現場で使えるシステムを目指している。
 
58.室内装飾業者が介護用品専門店を開設
 
【特色】
室内装飾業のF社は、介護保険制度が始まる2年前から介護専門店を開設し、業務を拡大している。
【内容】
①F社は、平成10年に住宅リフォームと介護関連商品を販売する部門を設立し、介護用品専門店として車椅子、入浴補助用具、歩行器等を扱うほか、リフォーム工事を行っている。
②福祉ビジネスを進める中で「バリアフリー」と「ケミカルフリー」を心がけており、ビジネスコンセプトを高齢者・障害者の生活をサポートすることと設定している。
③リフォームにあたっては、顧客の要望をもとに安心・安全を考慮し施工を行っている。
【成果・今後の方針】
F社では、将来的にはリフォームを中心にした事業拡大をしていくこととしている。
 
59.環境機器・健康機器の開発による新市場への事業拡大
 
【特色】
電気工事業のI電設は、環境機器・健康機器の開発に取組み、環境・健康のベンチャー企業へと事業展開している。
【内容】
①I電設では、電気工事業と並行して環境・健康機器を開発。環境機器では、大手焼酎メーカーから焼酎の搾りカスをどうにか出来ないかという相談が持ち込まれたのを発端として、カクハン式オカラ乾燥機を開発。産業廃棄物のリサイクルの推進に貢献している。
②健康機器では全身消毒システムを考案し、学校給食施設等でO-157対策などのエアシャワーとして採用された。
【成果・今後の方針】
①北九州市がインドネシアで開催した「環境と開発のあり方を考える国際会議」でI電設の機器の有用性が報告された。
②I電設では現在、紙おむつ処理機、生ゴミ処理機も開発中であり、環境・健康のベンチャー企業としての領域をさらに広げていくこととしている。
 
60.新領域・新市場への事業展開を戦略的に図る兼業の建設事業部門
 
【特色】
産業・建設関連商社のO社は、建設部門を強化・拡大し、新領域・新市場への事業展開を戦略的に図っている。
【内容】
①O社は商社としての機電事業部と建設部・設備部・鉄工部・建材部から構成される建設事業部との2事業部制で建設部門を強化、拡大している。
②現場実態把握・短納期・工事能力・品質保証・一貫した連携工事という総合的な施工能力が要求される「耐震補強工事」において、特殊耐震機器の活用等による高い施工技術と一連の工事を全て自社で施工するシステムによる豊富な施工実績を持つ。
③設備関係では、環境関係(太陽光発電等)、省エネ関係(ローコスト床暖房等)、福祉関係(昇降浴槽等特別浴槽)など、新市場進出を戦略的に展開している。
【成果・今後の方針】
O社では今後、上水・排水・空調消防施設(水から空気まで)の保守管理と緊急修理の24時間年中無休体制についても計画中。
 
 
61.中小企業が協業しIT技術を活用して工務店CALSを実施
 
【特色】
中小工務店、専門工事業者などがK建設市場協議会を設立して、インターネットを活用して工務店CALSを実施。
【内容】
①K建設市場協議会は、地域のあらゆる分野の建築関連企業の協業で、インターネットを介した仮想の連合体といえるものである。この取組みは中小企業創造活動促進法の認定も受けている。
②K建設市場協議会では、設計や見積はCADセンターを活用することで積算コストが削減できるとしており、打ち合わせ段階の積算は標準共通仕様部材で行い、特殊建材は各社が独自で行う。CADセンターも各企業の注文が集約されるので安い単価で業務が可能となっている。
③資材の受発注は、センターからインターネットで送られてくる積算データをもとに電子商取引で行われる。CADセンターのデータはプレカット工場のCADとリンクしている。主要資材については発注を集約することで購買コストを大幅に下げている。
④施工においても工務店、専門工事業者、施主までもがパスワードでアクセスし、工事の進捗を確認できるようになっている。
【成果・今後の方針】
K建設市場の取組みは、特に資材面での効果が大きい。原材料費が大きなウェートを占める建築物では、資材の物流をいかに合理化、効率化していくかが課題であり、IT技術を活用して資材の共同発注や積算の共同化などを実施し、コスト削減や工期短縮などを図っている。
 
62.大手ゼネコンが取引先とEDI(電子データ交換)取り引きを開始
 
【特色】
大手総合建設業者のT建設は、専門工事業者を始めとする取引先とのEDI(電子データ交換)取引を始めた。こうした動きは専門工事業者にとっても大きな影響があると考えられる。
【内容】
①T建設では、これまで建材や工事案件ごとに複数の取引先から見積もりを取って契約し、出来高に応じて代金を支払っていたが、工事現場の作業所や本社の調達部門にとって大きな手間になっている。そこでこれらの業務を電子化することで業務効率を向上し、T建設と取引先の双方のコストを削減するため、EDI(電子データ交換)取引を開始した。
②EDI取引では、原価管理システムにすでに登録してある建材や工事のデータを取り込んで、半自動的に見積もり依頼書を作成する。その際、調達する建材や工事案件すべてを1つの見積もり依頼書に盛り込むのではなく、システムが自動的に発注先の細かな業種に分けて、それぞれ見積もり依頼書を作成する。取引先にとっても、T建設が送ってきた見積もり依頼書から、建材の品目や数量、工事の内容などをデータとして取り出して、そのまま自社の経理システムなどに再利用できるというメリットがある。
③T建設では、EDI取引を開始するに当たって、取引先の社員を集めて、EDI取引システムの操作方法を3週間にわたって教育している。費用の大半はT建設が負担し、すでに200社が受講している。
【成果・今後の方針】
T建設では、EDI取引の対象とする取引先を当初の約150社から500社に増やす計画を持っている。
 
63.CI-NET導入で営業事務を合理化した防水工事業者
 
【特色】
防水工事業者のN建工は、中堅ゼネコンF社が開発したCI-NETシステムを導入し営業事務の合理化を図っている。
【内容】
①N建工は、中堅ゼネコンF社が開催した「CI-NET説明会」に参加し、CI-NETの具体的内容と合理化効果を見極め、社内業務の効率化等について検討し、CI-NETシステムの導入を行った。
②N建工では、これまで見積り依頼があった場合、電話連絡の後に取りに行くか、FAXで受信したものを転記して見積書を作成していたため、転記や計算に最低3日間程度の時間を要していた。しかし、システム導入後は単価の値入れが主作業となり、見積作成にかかる時間が1~2時間程度となるなど大幅な時間短縮を実現している。
【成果・今後の方針】
N建工では、CI-NETの導入により見積作成業務に費やしていた時間を他の業務に振り分けることができ、業務の効率化、合理化が図られた。
※CI-NET(Construction Industry NETwork)
建設産業界の異なる当事者(企業や官庁等)間でやり取りされる各種のデータ(見積書、注文書、請求書等の取引データやCADデータ等の技術データ)を、一定の標準化された方法によりネットワークを利用してコンピュータ間で直接データ交換すること。
 
64.元請と下請が共同で情報ネットワークの研究
 
【特色】
K建設生産システム合理化推進協議会は、「CI-NETによる中小企業の情報化」をテーマに情報化と情報ネットワークの調査・研究を始めた。
【内容】
①協議会では、現状把握を行うため会員に対する情報化のアンケートを行うとともに、普及・啓蒙活動としてCI-NET説明会や簡易ツールを使った実務説明会、また導入事例研究としてワーキンググループによる導入を行うこととしている。
②CI-NETに関しては、インターネットが急速に普及した現在では効果に疑問を投げかける意見もあり、より現状に即したシステムも検討対象に加えるなどデジタル情報の共有化をテーマにしていく。
③協議会の構成団体の一つであるK協会がこの2年間に行ったパソコン講座は盛況で情報化への関心は高い。K協会は既に事務所内をLANで結んでおり、電子メールやホームページの活用もなされている。
【成果・今後の方針】
協議会では、2ヵ月に1度の委員会を召集し、必要に応じて傘下の団体の意見を取り入れ、概ね3ヵ年で報告書をまとめる。
 
65.ホームページ開設による協力会社のIT環境整備
 
【特色】
大手総合建設業者のK建設は、協力会社向けに会員制のホームページを開設した。専門工事業者はこのホームページを通じてK建設からのメッセージやサービスを受け取ることができる。
【内容】
①K建設では、協力会社のインターネット環境整備の促進、K建設の施策等の周知・徹底、協力会社への情報提供を目的に会員制のホームページを開設した。対象となるのはK事業協同組合の約340社、協力会の会員約3,600社、K建設の役員・社員で、当面はK建設からの情報提供サービスが主体となるものの、将来的にはK建設と協力会社間あるいは協力会社相互のコミュニケーションツールに発展させていくこととしている。
②ホームページには、K建設幹部のメッセージ、外注方針、外注管理規程を始め、災害事例の検索、助成金の紹介、地区ごとの情報提供がされており、労務安全届出書類や安全器具の紹介をダウンロードすることもできる。
③K建設では、仮設資材の電子調達、JV現場間のネットワーク構築を進めていくほか、段階的に電子商取引の実施を行うとしており、建設事業のさまざまな分野でITの活用を浸透させるには協力会社との双方向通信が不可欠となることから、ホームページの利用を足がかりに協力会社のIT環境の整備を推進していくこととしている。
【成果・今後の方針】
ホームページ開設後10日で2,000件を越えるアクセスを記録したが、K建設では今後も協力会社の情報化支援、インターネット環境の整備を推進していくこととしている。
 
66.CADシステムを導入して事務処理の代行を行う事業協同組合
 
【特色】
管工事業者103社を組合員とするC管工事協同組合では、必要な各種図面の作成および見積りにCADシステムを導入し、組合員の要請に応じて事務処理を代行している。
【内容】
①C管工事協同組合では、昭和59年度に中小企業団体中央会の「活路開拓ビジョン調査事業」を実施。それにより、コンピュータ化による申請手続きの効率化が必要との結論を得て検討を進め、平成2年に組合事務所内に独自のCADシステムを開発して導入。その後、改良を重ねて、平成7年にはパソコン対応総合設備用CADシステムの開発、導入を行った。
②このCADシステムでは、建築図面(原図)を図面自動入力装置で読み取り、CADデーター化して、給水装置工事申請に必要な平面図・アイソメ図等をわずかな修正作業で作成。必要な部材の種類・数量の算出から、積算作業も自動でおこない、工事積算見積書等を作成するとともに、事業所別履歴管理や請求処理等まで行えるものである。
③C管工事協同組合では、従来は手作業で作成していたK市の水道工事申請にあたり、必要な各種図面の作成および見積りにCADシステムを活用して、組合員の要請に応じて迅速に事務処理を代行している。
【成果・今後の方針】
一般水道工事の給水装置工事申請にかかる組合員ならびに組合事務局の業務処理が大幅に効率化されるとともに、組合員の協同組合への求心力を高めることができた。
 
67.組合が独自の積算見積ソフトを開発
 
【特色】
K協同組合では、内装業者向けの積算見積ソフトを独自に開発した。
【内容】
①134社の組合員を有するK協同組合は、図面から積算見積りが可能なコンピュータソフトを独自に開発した。
②このソフトはK協同組合が中心となり、東京都の「中小企業業種別活性化対策事業費補助金」の助成を受けて作成しており、平成11年7月に補助金を申請、9月に事業認可され、その後試作品の作成、会員企業によるソフトへの意見聴取、機能の再検討などを経て平成12年5月に完成となった。
③ソフトは建築図面をスキャナで読み取り、数量・面積等を計算し、拾い出したデータと見積りシステムを連動させ、見積書、請求書、注文書等を作成するなど、内装仕上専門工事業者の事務の合理化を効果的に進めることを前提に開発されている。
【成果・今後の方針】
現在、10社弱の会員がソフトを購入、使用しているが、K協同組合では今後も組合員に対してソフトの販売、普及活動を推進していく方針である。
 
68.インターネットが唯一の販売促進手段のリフォーム会社
 
【特色】
K社はいち早くインターネットを利用したリフォーム会社であり、販売促進手段は、インターネットのホームページを通してのみ行われている。
【内容】
①インターネットを通じてK社の営業エリアは全国にまたがる。ただし施工は各地域の施工協力店が受け持つこととなり、小規模工事から大規模な増改築まで、その対応力は幅広い。工事の種類も間取りの変更、家具のオーダーメイド、水廻り工事、塗装など多彩。当然見積は無料だが役所などに申請を必要とする事務手続きは有料としている。北九州、広島、静岡など数カ所で施工協力店が不足するなど、一般消費者のリフォームに対する関心の高さをうかがわせる。
②ホームページ開設後、3年以上が経ち、アクセス件数も順調である。ネット上で住宅リフォームに使用する機器類、インテリアなどの安価販売も行っている。
【成果・今後の方針】
K社では、各地の施工協力店との連携による施工体制を強化し、企業規模や地域に関係なくリフォーム事業を展開していく方針である。
 
69.インターネットを使い畳の歴史と伝統を紹介
 
【特色】
創業153年のT畳店はインターネットを使い、消費者に対して畳の歴史と伝統など畳に関する各種の情報発信を行っている。
【内容】
①T畳店では、ホームページで畳について、起源から名称・畳表の種類・畳床の種類・茶室の畳・床下の換気の仕方・手入れの仕方・価格表まであらゆる情報を豊富に提供しており、顧客にとっては利用価値の高いものとなっている。
②T畳店のホームページは、県の畳高等職業訓練校へリンクされており、訓練校OBの会(1級技能士の店)で組織されている「畳未来研究会」へもリンクでき、畳未来研究会の開発商品が紹介されていたり、安心して頼める近くの店として12店の会員を紹介している。
【成果・今後の方針】
T畳店では、今後もホームページの活用により広く一般に情報を発信し、リフォーム市場へ深耕していく意向である。
 
70.インターネットを活用した塗装工事業の全国ネットワーク
 
【特色】
会員数30社のN塗装交流会では、インターネットを活用し全国ネットワークで塗装業界をアピールしている。
【内容】
①N塗装交流会のほぼすべての会員がホームページを開設しており、企業アピールも盛んに行われている。また、N塗装交流会のホームページの業者用問合せ欄において、まじめに塗装業を営んでいきたいという真剣な方に仲間になってほしいと呼びかけている。
②N塗装交流会のホームページのお客様用欄では、悪質業者に遭遇した時の相談など、困ったことや、塗装業者に対する対策をお教えします、と呼びかけている。全国に営業網を持てない中小・零細塗装工事業にとって、N塗装交流会のネットワークは技術を全国にアピールする場となっている。
【成果・今後の方針】
N塗装交流会のホームページは内外から高い評価を得ており、同交流会ではネットワークをさらに拡大していく意向である。
 
 
71.インターネットで庭園工事を販売
 
【特色】
S造園土木は、オンラインで植木を選べるよう庭園工事をネット販売している。
【内容】
①S造園土木のホームページをのぞいてみると、洋風希望か和風希望か、広さはどのくらいか、価格の目安はいくらかといった対話形式の質問が用意されており、最終的にはきれいなグラフィックで完成イメージを見せてくれる。当然ながら植木の種類、価格の一覧表の提供もしており、オプションということで石材の価格も示されている。一般消費者が楽しみながらイメージを膨らませることができ、造園専門工事業の専門性を感じることができる。
②その他にもマンションの住人を対象に、ガーデニングに関する情報や注意事項、マンションの駐車違反対策、薬剤散布の方法、害虫対策などユニークな情報を提供している。リンクのページも充実しており、マンション関連、植木・草花関連、造園関連、薬剤関連、エクステリア関連、健康・趣味関連など造園に関する様々な情報を提供している。
【成果・今後の方針】
S造園土木では、一般顧客への情報提供をさらに強化していく方針である。
 
72.事業協同組合における情報ネットワーク普及活動
 
【特色】
137社の組合員を有するN協同組合は情報ネットワーク委員会を組織し、インターネットやCADを中心に会員企業への情報化を推進している。
【内容】
①N協同組合では、会員企業のホームページを無料で作成。組合の広報委員会と連携し、研修会や組合企業に関する情報を提供している。
②CADの使用状況を調査し、その結果43社で35種類のCADソフトが使われている現状を把握。線の種類や太さなど、CAD運用に関しての細目を組合で統一するための検討を行っている。
③パソコン教室を開催し、情報ネットワークの基礎ツールであるパソコンに触れる機会を設けている。
【成果・今後の方針】
①N協同組合では、会員名簿からリンクされる形で30社を超える組合員・賛助会員企業のホームページを掲載している。
②今後は、会員企業の情報機器の整備を側面から支援する体制を構築していくとともに、組合全体のIT化を進めるために各種研修会等を継続的に開催していく方針である。
 
73.ホームページで「はつり工事」を広く一般に紹介
 
【特色】
はつり工事は一般には馴染みの薄いものであるが、M社はホームページ上で広く一般にPRしている。
【内容】
①M社のホームページでは、はつり工事の概要や工事の進め方、工法、コストなどを解説、また、解体作業にあたっての注意事項を施主の立場から細かく説明するなど豊富なメニューを用意している。
②業界初の穿孔による汚泥の収集運搬許可取得や、産業廃棄物収集運搬に際しての注意を促すなど、環境への対応を重視する姿勢をアピールしている。
【成果・今後の方針】
建設業者や一般から質問が多く寄せられており、はつり工事のPRや地位向上に貢献している。
 
74.一般消費者向けにキャンペーンを展開
 
【特色】
N塗装工業会は一般住宅を対象に塗り替え促進のためのキャンペーンを展開している。キャンペーン期間中は検査員の無料派遣や対象工事への品質保証を実施している。
【内容】
①N塗装工業会のキャンペーンは、リフォームへのニーズの高まりを受け、一般消費者に信頼される身近な塗装業をめざした「ペインテナンス」(ペインティング=塗装するとメンテナンス=維持・保持するの造語)を打ち出している。
②塗装業は現在、市場の7割を塗り替えなどのリフォーム事業が占めており、キャンペーンには会員の4割近い1,500社弱の企業が参加、一般消費者に対して身近な塗装業をアピールしていく。
③N塗装工業会では第3者的な立場から工事を管理・検査するインスペクター制度を創設し1,500人を超えるインスペクターが活動しているが、キャンペーン中の派遣は無料としている。またキャンペーン対象工事についてはインスペクターの完了認定を経て、工業会が品質保証書を発行する。外壁塗装工事は5年、屋根塗装工事、木部塗装工事は3年間保証することとしている。
④N塗装工業会のホームページでは、市・区レベルまで細分化された業者リストを検索できるようになっており、一般消費者が身近な業者を選べるような配慮がなされている。キャンペーン参加企業にマークがつくなどキャンペーンとも連動させている。
【成果・今後の方針】
N塗装工業会では、今後もキャンペーンを継続実施する意向である。
 
75.残土処理場の確保と公共事業の設計書への処理費計上を実現
 
【特色】
G協同組合は、環境保全が社会問題化する中、2ヵ所の残土処理場を確保するとともに、残土処理量が一定量以上の公共工事の設計書に残土処理費の計上を実現した。
【内容】
①G協同組合では、組合設立準備会の発足後、残土処理候補地の選定や借地開発申請等に着手し、林業地を活用した第一処理場の使用を開始。1年後、地元関係機関、農業団体等と連携し、砂利採取併用による第二処理場を確保している。
②組合では、発注者側と幾度となく交渉を行い、適正残土処理価格を設定するとともに、今まで未計上であった残土処理費を公共工事の設計書に計上するよう要請を行ってきた。
【成果・今後の方針】
①各関係機関及び地元地権者等の協力を得て、県内に2ヵ所の広大な処理場を確保。また、残土搬入後の整地を外部委託したことにより、重機などの初期設備投資が軽減され、残土受入単価を低減した。
②発注者側に要請を行った結果、残土処理量に制限はあるものの、残土処理費が公共工事の設計書に明確に計上されるようになり、組合員の経営状況の改善に寄与した。
 
76.住宅品質確保促進法に対応する安心・安全な住宅基礎を提供
 
【特色】
N工事業協会では基礎工事・地盤補強工事・地盤調査業・建築工事・設計会社等、23社が加盟しており、住宅品質確保促進法に対応した、安心・安全な住宅基礎を提供している。
【内容】
①住宅品質確保促進法では、引渡後10年間にわたり、躯体等基本的な構造部分に瑕疵が発生した場合の瑕疵担保責任を義務づけている。この基本的な構造部分の中でも、基礎に関するトラブルについては莫大な修復費用がかかることから、N工事業協会では、基礎工事に関する「不等沈下」「傾斜」「亀裂」等々のトラブルを未然に防止することを活動の目的としている。
②N工事業協会では、コールドジョイントの発生しやすい基礎コンクリートの2回打ちを避け、ベースと立ち上がりを1回でコンクリート打ちする工法を推奨している。
【成果・今後の方針】
N工事業協会では、1回打ちは2回打ちより20%強度がアップしたという効果をアピールしている。
 
77.TQC活動で施工管理の創意工夫と職場の改善を実現
 
【特色】
Y管工事工業協同組合では、協同組合としての構造改善のためTQCサークル活動の導入促進を図っている。
【内容】
①Y管工事工業協同組合では、組合員の実施しているTQCサークル発表会の見学などその実態等を確認すると共に、古くからTQCサークル活動を展開している大手ゼネコンから講師を招き勉強会を実施するなどの検討を重ねた。
②組合では、職場環境の改善、技術・施工管理の創意工夫など環境の変化に適確に対応できるよう、中小企業の体質強化を目指して毎年、講習会と発表大会を中心としてTQCサークル活動の導入促進を図っている。
③組合の発表大会には、審査員として県の土木建築部などの協力を得て、毎年4~6社が発表しており、水圧試験方法の見直しや高速代・ガソリン代の節約、現場での健康管理などがテーマとして発表されている。
【成果・今後の方針】
①組合員の従業員1人ひとりが「問題意識を持つ」ようになり、職場内および企業内・企業相互間で啓発がなされると共に共同意識が培われるようになってきている。更に、TQC発表大会をきっかけにし参考になったものを企業活動に組み込むなどして組合員の体質強化に役立っているという。
②今後は、TQCリーダーの養成課題とされるのでリーダー養成講習会を充実して実施する予定こととしている。また、建設業VE活動の導入についても取組んでいく意向である。
 
78.組合内に基礎学校を設立し、教育事業と安全対策事業を推進
 
【特色】
H基礎工業協同組合は安心して工事を任せられる専門工事業を目指して、組合内に基礎学校を設立し、組合員のニーズの高い講習会を実施している。
【内容】
①基礎学校では、事前にアンケート調査によって組合員等のニーズを把握して、アーク溶接・低圧電気取扱・小型杭打ち機(3トン未満)・職長教育などを年間3~4回開催している。
②車両系建機(基礎工事用運転)・ガス溶接などの技能講習は指定教育機関とタイアップして資格の取得を推進しており、受講者が出席しやすいように平日を避け、土曜日・日曜日に実施している。なお、基礎学校・技能講習ともに組合員以外でも受講することができるようにオープンにされている。
③組合員の各現場毎に作成された安全管理計画に基づいて、組合の安全委員が「安全パトロール点検表」による現場のパトロールを実施し、ZERO災害の実現に向けて、安全な作業への指導を行うこととしており、教育事業と安全対策事業との一体的推進が展開されようとしている。
【成果・今後の方針】
過去の災害を反省し、今後の安全活動に活かすために「事故100例集」「新事故100例集」を作成して、組合員をはじめ労働基準監督署・総合工事業などに配布するとともに、基礎学校の教材としても使用している。
 
79.鉄骨生産工場の認定に必要な評価を行う新会社を設立
 
【特色】
鉄骨建設業の全国団体であるT協会は、鉄骨生産工場の認定に必要な評価を行う新会社を設立した。
【内容】
①T協会では、これまで建設省告示に基づき、鉄骨生産工場認定制度の認定業務を実施していたが、建築基準法の改正で、同告示が廃止され、評価基準などが統一されるとともに、評価業務が民間機関に開放されたことに伴い、平成12年5月に新会社を設立した。
②T協会では、鉄骨生産工場の認定業務を新会社に移行させ、公平性、透明性、第三者性を高めていくこととしている。
【成果・今後の方針】
T協会では、新会社においてISOの審査登録業務なども手がける意向である。
 
80.プレカット事業と共同受注事業の拡大により組合が発展
 
【特色】
Z協同組合はプレカット事業で大工技能の不足を補い、また、木の良さを活かした木造住宅を企画開発して共同受注の拡大を図るなど、新たな事業展開に成功している。
【内容】
①Z協同組合では、従業員の高齢化と慢性的な人材不足、大工技能の低下、原価低減や品質要求の高まりなどへの対応としてプレカット事業を実施。また、大手メーカーの量産型住宅が増加し、それに伴い共同受注件数も減少傾向にあったため、対応策として共同受注事業の拡大を図った。
②プレカット事業は、組合が窓口になり、組合員にプレカット材を供給することにより、組合員の技能低下や人材不足を補うとともに、プレカット材の価格低減、ユーザーの品質要求への対応などを進めた。また、共同受注事業拡大のため、2年半かけて研究開発を行い、勉強会や見学会等で消費者のニーズを汲み上げ、木の良さを生かし、人の技能と感性を取り入れた家をセールスポイントに、中流所得層を対象に受注活動を行っている。
【成果・今後の方針】
①プレカット事業により、低価格及び高品質のプレカット材の提供が可能になり、組合員の技能者不足への対応が図られた。
②共同受注事業は、企画商品の開発により、新たな消費者を開拓し受注件数が増加した。
 
 
81.企画住宅の開発で共同受注と購買事業が活発化
 
【特色】
O協同組合は住宅の企画開発により、共同受注事業と共同購買事業が活発に行われるようになり、組合員の経営基盤が安定した。
【内容】
①O協同組合では、ユーザーニーズに対応して、耐震、高齢化対応の住宅を独自の工法により開発。この住宅を普及させるため、共同受注事業の強化を図り、受発注委員会を設置し、PR宣伝等営業を積極的に行い消費者にアピールした。
②受注の公正な配分のために配分基準を明確化し、不公平がでないよう配慮した。
【成果・今後の方針】
企画住宅の開発普及により、両事業とも飛躍的に向上した。また、組合員も仕事の確保、資材コストの低減が図られるなど経営基盤が安定した。
 
82.生コンの共同購買事業により経営改善と社会貢献を達成
 
【特色】
I協同組合は、生コンの共同購買事業を実施。全組合員が参加し経営の合理化と改善を達成。また新会館を地域住民に無料開放し、社会貢献も果たしている。
【内容】
①I協同組合では、共同購買事業の推進のため、4名の役員を配置し、協議機関として資材委員会を設置。実施にあたり全組合員の同意を得て、全組合員参加で事業をスタートさせた。
②組合員が購入する生コンについては、組合員が指定した生コン会社にそれぞれ注文し、納品を受ける。各生コン会社は生コン協同組合に代金を請求し、生コン協同組合は各生コン会社からの請求分をまとめてI組合に代金を請求、I組合が組合員から代金回収するというしくみを作った。
【成果・今後の方針】
①I協同組合の組合員において、購入価格交渉等事務の合理化、現場作業の効率化、経営改善が図られた。
②組合には手数料収入が入り、新会館の維持管理が容易になったため新会館を地域住民に無料開放することができ、地域への社会貢献を果たすことができた。
 
83.契約問題研究会を設置し契約締結適正化に向けて取組みを開始
 
【特色】
専門工事業の全国団体であるS協会とK工業会では、契約問題研究会を設置し、実態調査を実施するなど契約締結の適正化に向けての取組みを始めた。
【内容】
①S協会とK工業会の会員および傘下流通代理店を対象に、契約締結適正化研修会を開催。全国で3,500名弱が参加した。
②S協会とK工業会では、契約問題研究会の調査結果をもとに、契約に係る具体的な改善目標として、(1)注文書の1ヵ月以内受領率、(2)注文書内容の適正率、(3)図面先行着手率、(4)変更・追加精算適正成約率、(5)契約の範囲を超えたコスト負担、の5つを掲げ、取組みを推進している。また、標準書式として、注文書・請書、作図指示書、変更等に関する確認書、変更・追加指示書などを統一化している。
③建設業団体、全国総合建設業者に適正な契約締結ならびに文書化について陳情を実施している。
【成果・今後の方針】
契約に係る具体的な改善目標として掲げた「5項目」については、大手・中堅会員主導のもと、一歩づつ改善の傾向が見られる。
 
84.計画立案能力の向上を図り元請に対して積極的に提案を行う専門工事業者
 
【特色】
M建設は、元請に対して提案できる専門工事業者に脱皮するため、技術と計数に裏打ちされた計画立案能力の向上を図っている。
【内容】
①M建設では、元請に対して何ができるかニーズを的確にとらえ、受け身的な体制からどういう形でサービスが提供できるかを考え、甘えの構造を排除し、自立・独立した企業を目指している。
②M建設では、現場とのコミュニケーションのあり方について研究チームを設けて検討し、生産効率が上がる全体施工計画をまとめるシステムを開発した。このシステムを計画作成に費用のかかる大型現場に積極的に提案していくこととしている。
【成果・今後の方針】
M建設では、開発したシステムを活用し、施工計画図は自社に任せてもらえるような体制を作り上げる方針である。
 
85.協力会社評価制度の運用による発注の公正化
 
【特色】
大手総合建設業者のK建設は、全国の建設現場において全ての協力会社の施工結果を評価するとともに、外部機関からの各種情報を入手した上で独自の評価制度を運用し、評価結果に基づく発注の公正化を進めている。
【内容】
①K建設では、評価制度の策定にあたり、有力な協力会社数十社にインタビューを行い、協力会社評価に対する要望を取り入れ、品質・コスト・工期・安全・環境の自主管理、技術開発への取組み、技術者・技能者の人材育成、経営基盤の安定度等を評価することとした。
②協力会社評価は、全ての協力会社を対象にした施工結果評価や特定の協力会社を対象にしたK建設による企業訪問評価とともに、外部調査機関による客観評価と合わせて総合的な評価を行う。また、協力会社の自助努力を支援するため、評価結果を当該企業に公表し、経営面での参考情報として提供していくこととしている。
【成果・今後の方針】
K建設では、評価制度の運用を通じて貢献度の高い職長等に対し一定額の報奨金支給制度を設け実施しており、今後も協力会社の自助努力に対する支援と評価結果に基づく公正な発注を行うことで、価格に見合う品質の実現を追及していくこととしている。
 
86.文書の契約が元請下請関係適正化の第一歩
 
【特色】
元請下請関係の適正化は建設業の健全な発展のための最重要課題である。S建設生産システム合理化推進協議会は、元請と下請および2次下請、3次下請間の請負契約書締結の徹底について検討するため委員会を設置した。
【内容】
①委員会における意見交換では、元請下請関係の適正化の第一歩は、契約を文書で締結することにあるという認識で一致。
②委員会が行った状況調査の結果によると、元請と第1次下請間では、契約が口頭またはメモで行われているのは6%程度。2次、3次下請と川下に行くほど口頭の比率が高くなっている。
【成果・今後の方針】
S建設生産システム合理化推進協議会では、実態をさらに詳しく把握するため、当面の活動として2次、3次下請業者を対象にしたアンケート調査を行う予定である。
 
87.元請下請の共通認識で見積りできる基準づくり
 
【特色】
Iシステム協議会は、建設工事の原価計算基準について検討するために新たに検討委員会を発足させた。
【内容】
①協議会では、これまでも総合工事業者と専門工事業者間の適正な契約の締結についての申し合わせを行うなど元・下関係の適正化などに取組んできた。
②今回発足した検討委員会のメンバーは総合工事業者3社、専門工事業者3社、他アドバイザー数名で構成されており、総合工事業者の委員からは、「共通の基準があれば現場と経理が同じ考えで進められ、内部の原価管理がしやすくなる」、専門工事業界の委員からは「元請の受注そのものが採算性という点で無理なものがある」などの意見が出されている。
③原価計算基準が策定されれば共通の基準で自社の経営をチェックでき、不良不適格業者の排除にも活用できるなど有効な手段であるといえる。また、元請と下請が共通の基準で見積を行い書面での契約を推進していくことは重要である。
【成果・今後の方針】
Iシステム協議会では、2年程度で原価計算基準試案と実際に取組む上での問題点を検討し、3年目には会員への周知徹底を図りたいとしている。
 
88.元請下請共同で技術力向上と災害撲滅の新事業展開
 
【特色】
K事業協同組合は、元請会社である大手総合建設業者K建設とともに、富士教育訓練センターを利用した技術・技能者の養成や災害防止装置の共同購買斡旋事業に着手している。
【内容】
①K事業協同組合の技術・技能者の養成計画は、研修システムの指導についてK建設の全面的なバックアップを受け、土木施工管理基礎、建設機械運転基礎、建築施工管理基礎、建築(躯体)基礎、型枠基礎、鉄筋基礎、左官中級多能工の7コースで構成されており、カリキュラム作成は組合の青年部会が担当した。初級から上級までの体系的教育訓練を通して各種多能工の養成を目的にしており、組合員343社の技術系社員、職長、技能者などを対象に行うこととしている。
②災害防止装置の斡旋事業は、大手総合建設業者とK事業協同組合が組織的に有効な災害防止装置の普及に取組むことで災害の撲滅を目指すもので、全国の大手総合建設業者の現場と事業協同組合、協力会3,600社にパンフレットを配布。推奨品として防じんマスク、可搬式作業台、重機接触防止装置、安全靴・安全帯など7種類、45品目があげられた。大手総合建設業者と事業協同組合が共同で斡旋することで市価の半額程度で購入できることになった。
【成果・今後の方針】
K事業協同組合では、元請下請が共同して取組むことで、より効果的な技術力向上や災害撲滅が図られると考えており、技術力向上のためのカリキュラム見直し、推奨品の普及についての一層の低価格化を図ることとしている。
 
89.元請と協力会の専門工事業者が建物リニューアル協会を設立
 
【特色】
大手総合建設業者T建設と協力施工の専門工事業者が任意加盟で、リニューアルを主体としたC建物リニューアル協会を設立し、ホームページを作成して受注活動を展開している。
【内容】
①C建物リニューアル協会では、T建設の持つ総合的な技術力とノウハウに加えて、専門工事業者の技術力を集結して、ホームページを見て相談・問合せをもらったお客様に、そのニーズによって協会の会員の中から対応業者を選定し紹介する。
②対応業者は、直接お客様と電話・訪問等によって折衝・見積りなどの商談をすすめる。受注した場合には、契約は対応業者と顧客との単独契約となり、対応業者が施工することとなる。
③ホームページでは、リニューアル度診断(設備編、建築編)と省エネ診断が実施できるようになっている。
【成果・今後の方針】
強い営業力を持たない専門工事業者がT建設の信用と技術力をバックに営業活動を展開できることになり、専門工事業者の自立につながっている。
 
90.多能工育成への取り組み
 
【特色】
T組では、型枠、鉄筋、とび・土工の3つの技能を身につけることを目指し多能工の育成に取り組んでいる。
【内容】
①T組では、ゼネコンと専門工事業者とが一体となってしくみを作っていくことで技能者・技術者の役割が明確化され、多能工化の推進に寄与することから、元請下請の連携強化に取り組んでいる。
②I建設生産システム合理化推進協議会では、地元のT組が多能工育成に取組んでいるのを受け、同社をケーススタディとして多能工化しやすい業種の組み合わせの検討と、元請の現場管理者、専門工事業の職長、多能工訓練修了者等の生の声を聞きつつ、多能工導入促進策を検討している。
【成果・今後の方針】
T組では、単能工と多能工の処遇のあり方など、多能工育成のための環境整備に取り組む意向である。
 
 
91.グループ多能工の推進による若手育成・戦力化
 
【特色】
建設躯体専門工事のO建工は、若手の躯体多能工を自社訓練で育成し、熟練管理者をリーダーとしたグループ多能工で工期の短縮を達成している。
【内容】
①O建工は躯体大手の元請であるO建設から現業部門を独立させて設立された企業。O建工で多能工の育成と戦力化に取り組んだ結果、グループ多能工の考え方による躯体一式施工の体制づくりを考案した。
②具体的には、O建設内に設置された高等職業訓練校に高校卒業生4~5人程度を受け入れ、初めの4ヵ月間は富士教育訓練センターで、建築多能工コースの座学と実地教育を受講。その後訓練校で認定校としてのカリキュラム以外に、製図教育、構造計算、積算、工程表作成など実務に沿った教育を受ける。そして、とび、型枠、鉄筋の協力専門工事会社で各1ヵ月、計3ヵ月間のOJT教育を行う。
③その後O建工で班ごとに実際の現場で訓練を行う。各班のリーダーは作業主任者資格を持ち、鉄筋、型枠、とび、コンクリート工事を教えるが、リーダーといえども元請会社との打ち合わせや、安全、品質、工程管理の調整といった現場管理の経験は浅いため、これをカバーするために元請会社の所長経験者を活用し、多能工の力を十分に発揮させる体制を取っている。
【成果・今後の方針】
実際にグループ多能工が機能したことで躯体工事の工期を短縮できた。
 
92.女性電気工事士の育成
 
【特色】
電気工事が主力のS電工は、女性電気工事士をレディースエンジニアとして育成し積極的に活用している。
【内容】
①S電工では、平成3年より女性の電気工事士を誕生させ、レディースエンジニアとして育成している。
②新入社員時に2週間の教育を実施し、その後3年間にわたり、初級、中堅、監督者教育などの階層別教育や技能教育などの教育機会を設けており、S電工では、3年間で一人前に育てることを目標としている。
③レディースエンジニアは現在10名弱が在籍しており、電気工事を中心に一般家庭からビル建設の現場まで幅広く活躍している。
【成果・今後の方針】
S電工では、女性の積極的な活用は、職場環境の改善とともに地域の優秀な人材の確保に有効であるため、今後も推進していく方針である。
 
93.在宅女性設計者の活用
 
【特色】
K工業は、「ホームCADメイト」と称する在宅の女性設計者を育成・活用している。
【内容】
①K工業は、元社員や一般応募の女性を在宅の設計者として採用し、「ホームCADメイト」と名づけ、育成・活用している。採用にあたってはパソコンの基本操作ができることを条件としているが、CADの操作については未経験でも構わないとしている。「ホームCADメイト」は採用後、1週間程度の初期教育を受けた後、在宅で業務を行う。
②現在10名ほどが「ホームCADメイト」として国内をはじめ海外にも在籍し活躍している。女性の感性を活かした設計は既成の概念にはおさまらない斬新なものであり、設計品質の向上にも寄与している。また、インターネットで図面のやり取りを行うことで、コストダウンや生産性向上を図っている。
【成果・今後の方針】
K工業では、今後も在宅の女性による設計に関するネットワークを広げていくこととしている。
 
94.技能五輪出場をサポート
 
【特色】
左官工事業者のI社は、技能五輪大会にあたって全社的な支援を行い、世界大会での金メダリストを輩出した。
【内容】
①I社では独自の技能訓練校を設けており、技能訓練校を修了した後、1年半で2級左官技能士を取得した者に対し、卒業時の成績が優秀であったため技能五輪への参加を勧めた。
②日本大会および世界大会前の3ヵ月間は現場での作業だけではなく大会用の訓練もさせており、国際五輪競技に向けて、通常の現場作業とは異なる技能習得をさせていた。
③世界大会に向けては過去事例の解析、技能の指導などについて他企業等の協力も受け、受賞者本人の卓抜した技能と関係者の豊かな経験と精力的な指導により今回の栄冠を得た。
【成果・今後の方針】
I社では、左官技能の伝承のため、今後も技能者や指導者の育成に積極的に取組んでいく意向である。
 
95.年俸制と能力給の導入による生産性向上
 
【特色】
従業員数約20名の管工事・空調ダクト工事を中心とする専門工事業E設備は、全従業員に年俸制給与と能力給を導入した。
【内容】
E設備では、一定量の受注は確保できる見通しはあるものの、以前のような拡大は困難になってきており、経営面での内部体質強化が求められていた。そこで、季節的変動の高い専門工事業における生産性アップ方策が模索され、その結果として全社員の年俸制への移行と能力給の導入が決定された。
【成果・今後の方針】
以前は「出来ないものは出来ない」と納期と出来高への意識が薄かったが、年俸制及び能力給の導入後は納期を意識した業務遂行の自覚が自然に出てきており、厳しい受注競争の中で納期を厳守できる会社であるとの評価が確立した。
 
96.月給制導入と職業生涯モデルプラン作成
 
【特色】
鉄筋工事業のF組は、人材の確保と育成のため、一部において完全月給制を導入するとともに職業生涯モデルプランを作成した。
【内容】
①F組は人材育成や優秀な技能士、労働者確保のため、専門工事業者では画期的ともいえる完全月給制を一部で導入し、支払賃金の安定化、定着率向上を図っている。
②職業生涯モデルプランは、月給制などの社内制度を基本に作成されたもので、鉄筋工として入職以降の昇進、処遇、教育訓練、資格取得などについて標準的な体系を示しており、このプランを見れば自分自身の将来が概ね想定できる内容になっている。
③F組では、この他にも独身寮の完備を始めとする福利厚生の充実など、作業能率を向上させるための設備投資を積極的に行っており、こうした取り組みが毎年定期的に新卒者を採用できる要因となっている。
【成果・今後の方針】
F組では、今後も労働環境の改善を継続し、優秀な人材の確保・育成を進めることとしている。
 
97.独自の施設での技術・技能教育の充実
 
【特色】
管工事が中心のY設備工事では、技能者・技術者の教育に独自の施設を活用している。
【内容】
Y設備工事では、昭和54年に独自の専門技術者養成施設を設置、大卒の技術系社員は1年間、高卒社員は2年間の講義・実習の専門教育を受けている。
【成果・今後の方針】
①現在では技術系社員の半数以上が当該養成施設の出身者で占められており、Y設備工事の高い品質管理や生産管理が組織的に実践される原動力となっている。技能五輪には昭和55年から出場し、これまでに7人の金メダルを含めて30人の入賞者を輩出している。
②空調衛生設備業界では初めてISO9001を認証取得した。
 
98.若年者の育成による業界活性化
 
【特色】
配管工が高齢化し若年者の育成が必要となったため、H協同組合では若い技能者向けに独自の研修センターを設置した。
【内容】
組合の会館内に研修センターを設置。講師は組合役員が担当し、必要に応じて外部講師を招いている。運営は研修センター委員会があたっており、年間計画に基づき、受講希望者を募集している。各クラスとも学科と実技指導を行い、最後に効果測定を実施し、未習得者には補講のうえ2次測定をして実のあるものとしている。講習は必要があれば夜間にも行う。
【成果・今後の方針】
受講者の技能のレベルアップが図られているのに伴い、業界全体が活性化されている。
 
99.独自の講習等の実施による技能レベルの向上
 
【特色】
T協同組合は技能継承の効率化を目的に計画的な人材育成を推進している。
【内容】
①左官工事の作業範囲の広がりと職人希望者の減少傾向のなかで、技能継承の効率化や技能面のレベルアップを図るため、多様化する左官工事に対応できる施工体制の確立が必要となった。
②そこで、指導員免許を所持している組合員が中心となって年3回程度指導員会議を開催して教育カリキュラムを編成。技能検定受験のための教育訓練も行っている。そのほか、組合の教育部会が実施する技能講習会・実技研修会や全国技能競技大会、技能祭への参加などにより新しい左官材料や新工法の知識修得を図るなど人材養成に努めている。
【成果・今後の方針】
新建材の普及など左官工事の多様化に遅れをとらず、従業員が多くの知識を習得でき、技能のレベルアップが図られ、組合としての後継者育成にもつながっている。
 
100.独自の講習等の実施による技能レベルの向上
 
【特色】
E組合は、顧客との信頼関係を築くためには技能の向上が不可欠となっており、技能習得には実技研修が効果的であることから、それを中心に研修会を開催し成果をあげている。
【内容】
①造園技能検定予備講習(学科・実技)、造園施工管理予備講習など6種類を実施。国家資格取得支援については、顧客からの信用の向上のために強力に推進しており、合格率もアップしている。
②作庭技能講習会は、講師の指導のもと1日かけて実際に庭を造る実技研修を行っており、参加者自身が実際に造園作業を行うことで効率的に技能を習得でき、技能レベルの向上が図られている。
【成果・今後の方針】
①組合員の技能レベルは確実に向上しており、顧客との信頼関係がより強固なものとなりつつある。
②組合の基本方針として、造園業界の根幹をなす造園技能のレベルアップを目指しており、造園技能のPRや顧客に提案できる造園業者の育成を図っている。
 
 

ページの先頭に戻る