建設産業・不動産業

犯罪収益移転防止法の改正について

 2.法改正の5つのポイント

 

今回の法改正でのポイントは、以下5点です。

 


[1]取引時の確認事項の追加 (改正法41項)

 

特定事業者(宅地建物取引業者)は、特定取引※1を行うに際し、本人確認として、その顧客の本人特定事項※2を確認することとされていますが、今回の法改正により、特定取引を行うに際しての確認事項について、この本人特定事項に加えて、新たに次に掲げる事項を確認すべきことが義務付けられました。

 

取引を行う目的

職業又は事業の内容 (*個人顧客の場合は「職業」、法人顧客の場合は「事業の内容」)

実質的支配者※3の有無と本人特定事項 (*法人顧客の場合のみ)

■資産及び収入の状況 (*ハイリスク取引の場合のみ)

 

※1)特定取引…宅地・建物の売買契約の締結又はその代理若しくは媒介

※2)個人顧客の場合は氏名・住居・生年月日。法人顧客の場合は名称(商号)・本店所在地

※3)株式会社等で25%以上の議決権を有する者等が該当するものとして定義されています

 


[2]ハイリスク取引の類型の追加 (改正法42項)

 

<なりすましの疑いがある取引>

<取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客との取引>

<特定国等※1に居住・所在している顧客との取引>

 

この3類型が、マネー・ローンダリングに利用されるおそれが特に高いと認められる取引(=「ハイリスク取引」)と位置付けられました。

ハイリスク取引である場合は、取引時確認として行う確認事項のうち、『本人特定事項』と『実質的支配者』について、より厳格な方法※2で確認することとされたほか、このハイリスク取引が200万円を超える取引であるときには、『資産及び収入の状況』についても確認することとされました。

 

1)改正令122項において、イランと北朝鮮が指定されています。

2)『本人特定事項』の確認は、2種類の書面を使っての確認(本人確認書類+補完書類など)が必要となり、また、『実質的支配者』の確認は、通常の特定取引時には顧客等からの申告での確認とされていたところ、ハイリスク取引の場合は、申告ではなく、書面で確認しなければならないとされています。

 


[3]取引時確認等を的確に行うための措置の追加 (改正法10条)

 

取引時確認等の措置を的確に行うため、特定事業者は、その使用人に対して教育訓練の実施等に努めなければならないとされました。

 

実際に顧客と接することとなる従業員等に対して、マネー・ローンダリングのリスクの有無を認識するために必要となる具体的な注意点や対応要領などを指導したり、これらの内容を社内通達等によって周知する等の方法が考えられます。

 


[4]特定事業者の追加 (改正法22項)

 

振り込め詐欺等の犯行実態等を踏まえ、あらたに「電話転送サービス事業者」が特定事業者に追加されました。

この事業者の追加により、犯罪収益移転防止法上の義務対象である特定事業者は、宅地建物取引業者を含め44となります。

 


[5]罰則の強化 (改正法24条以下)

 

本人特定事項の虚偽申告及び預貯金通帳の不正譲渡について、懲役刑の新設及び罰金額の引き上げを行う等の措置がなされました。

 

※本人特定事項の虚偽申告、預貯金通帳の不正譲渡に対する罰則内容

(法改正前)50万円以下の罰金

(法改正後)1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金

 

 


【担当】国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課 不動産業指導室 保証指導係

TEL 03-5253-8111(内線25-130

ページの先頭に戻る