建設産業・不動産業

犯罪収益移転防止法の改正について

3.宅地建物取引業者の義務

 

今回の法改正により、特定事業者には以下[1]~[5]の義務が課されます。

 


[1]取引時確認の実施 (改正法4条)

※改正前の「本人確認の実施」に当たりますが、今回の法改正により、『本人特定事項』以外の内容が確認事項に追加されましたので、その呼称も「本人確認」から「取引時確認」へと改められました。

 

・顧客が個人であるか法人であるかによって、取引時確認で確認すべき事項が異なります。

è     顧客が個人の場合は、『本人特定事項』(氏名・住居・生年月日)、『取引を行う目的』、『職業』が確認事項とされています。

è     顧客が法人の場合は、『本人特定事項』(名称・本店所在地)、『取引を行う目的』、『事業の内容』、『実質的支配者の有無等』が確認事項とされています。

・顧客に代理人等がいる場合には、その代理人等の『本人特定事項』(氏名・住居・生年月日)も確認事項とされています。(個人顧客の代理人や、法人顧客の場合の取引担当者などが該当します。)

・『本人特定事項』の確認は、規則6条で指定される本人確認書類を使い、規則5条で規定される方法によって行わなければなりません。

・『取引を行う目的』は、顧客からの申告を受けて確認することとされています(規則8条)。この際の確認すべき取引目的の参考類型については、H24.12.21付けの不動産業課長通知でお示ししていますので、参考にしてください。

・顧客が個人の場合の『職業』は、顧客からの申告を受けて確認することとされていますが、顧客が法人の場合の『事業の内容』は、定款や登記事項証明書等の書面によって確認することとされています(規則9条)。この際の確認すべき職業又は事業内容の参考類型についても、H24.12.21付け不動産業課長通知でお示ししていますので、参考にしてください。

・『実質的支配者の有無等』についても、顧客からの申告を受けて確認することとされています(規則10条)。まず、実質的支配者がいるかを確認し、該当者がいる場合には、その実質的支配者の『本人特定事項』について確認します。いずれも、顧客からの申告による確認とされています。

 

(参考)

H24.12.21付け不動産業課長通知 [改正犯収法の施行に当たっての留意事項等]

改正概要資料 [A4横版 全11ページ/H25.1作成版]

 


[2]確認記録の作成・保存 (改正法6条)

※今回の法改正により、「本人確認記録」から「確認記録」に呼称が改められたほか、確認事項の追加を受け、記録すべき事項も増えています。

 

・『本人特定事項』の確認に際して、本人確認書類若しくは補完書類又はその写しの送付を受け、その書類を確認記録に添付する場合は、その書類に記載されている事項に限り、確認記録に記録することを省略することができます(規則172項)。

 


[3]取引記録の作成・保存 (改正法7条)

※今回の法改正による変更点等はありません。

 


[4]疑わしい取引の届出 (改正法8条)

※今回の法改正による変更点等はありません。

 


[5]取引時確認等を的確に行うための措置(改正法10条)

 

・特定事業者に義務付けられる上記[1]~[4]の措置を的確に行うため、特定事業者は、その使用人に対して教育訓練を実施するなどの必要な体制整備に努めなければならないとされました。

実際に顧客と接することとなる従業員等に対して、マネー・ローンダリングのリスクの有無を認識するために必要となる具体的な注意点や対応要領などを指導したり、これらの内容を社内通達等によって周知する等の方法が考えられます。

 


これらの措置の的確な実施により、不正な資金が移転された場合の追跡の可能性を確保し、訴追や剥奪を免れようとする行為を困難にさせ、マネー・ローンダリングを防止します。

 

 


【担当】国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課 不動産業指導室 保証指導係

TEL 03-5253-8111(内線25-130

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