国土交通省防災情報
河川局防災課災害対策室
平成17年4月1日
海外の自然災害
◆海外の自然災害の状況

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2002年
●1月 コンゴ民主共和国の火山噴火
 2002年1月17日現地時間午前9時30分、コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部のニーラゴンゴ山(3,469メートル)が26年ぶりに大規模な噴火を起こし、大量の溶岩が人口40〜45万人を擁する麓のゴマ市市街地や空港に流出した。溶岩流は全長約20qに達し、ゴマ市の面積の13%が溶岩の直撃を受け、約35万人がルワンダ側国境のギセニなどに避難した。噴火に伴う死者の数は45人と推定される一方、溶岩がガソリンスタンドに引火し爆発したために約60人が死亡するなどの二次災害も広がった。

●1〜2月 インドネシアの洪水
 2002年1月下旬から2月上旬にかけて、インドネシアでは複数の地域で豪雨が続き、洪水被害が深刻化した。首都ジャカルタでは浸水地域の一部で4メートル近くの水深が記録されるなど、約4万人余りがモスクや教会などでの避難生活を余儀なくされた。死者はジャカルタでの57人を含めて全土で142人となり、過去30年間で最大の被害になったと報じられた。大規模な洪水は、西ジャワ州の森林地域を発生源としていることから、西ジャワ州は今後ジャカルタ特別州政府と協力して森林環境の改善に努めていく方針を示した。

●3月 アフガニスタンの地震
 2002年3月3日現地時間4時38分、アフガニスタン北部ヒンドゥークシ山脈付近でM7.2の地震が発生した。この地震により、北部サマンガン州の山岳地帯の2村で地すべりや陥没により150人が土砂に埋まる被害が発生した。
 この地震から約3週間後の3月25日14時56分、同国北部(3日の地震から北東に130q)でM6.0の地震が発生し、死者1,000人以上、建物被害1,500棟以上という甚大な被害となった。震源地に近い北東部の都市ナハリンで最も被害が大きく、町の90%が壊滅状態となるなど、周辺地域と合わせて約2万人が住居を失った。同国ではさらに4月12日にも北部でM5.7の地震が発生し、死者50人、負傷者200人以上という被害が発生している。

●5月 インドの熱波
 2002年5月上旬から中旬にかけて、インド南部のアンドラプラデシュ州などで最高気温が48℃にも達する熱波が猛威をふるった。アンドラプラデシュ州のベンガル湾に面する地域では、この時期モンスーンによる雨が降ることが多いが、北西部の砂漠地帯から流れ込んだ熱波の影響で例年にない猛暑となり、過去4年で最悪の事態になったと報じられた。インド政府によると、5月9日から15日までの1週間だけで、日射病や脱水症状などで少なくとも1,030人以上が亡くなったとされ、犠牲者の大半はお年寄りや貧困層の住民という。

●6月 イラン地震
 2002年6月22日現地時間午前7時28分、イランのテヘラン北西約200qに位置するカズビン州でマグニチュード6.3の地震が発生し、死者230人、負傷者1,300人、家屋の全・半壊2千棟という被害が発生し、2万5,000人が家屋を失った。被災地一帯では煉瓦造りの家屋が多く、犠牲者の多くはこうした家屋の倒壊によるものであった。被災地は前年に深刻な干ばつに見舞われており、被災者はさらなる被害に苦しむこととなった。

●6月 ロシア南部の洪水
 2002年6月下旬、数日の大雨による河川の氾らんが原因で、ロシア南部のスタブロポリ州やクラスノダール州を中心に大規模な洪水が発生し、91人が死亡した。少なくとも3万5,000棟の家屋が流され、8万5,000人以上が避難した。被災者は約33万人に達し、ソ連崩壊後で最悪の被害といわれている。近くのチェチェン共和国でイスラム武装勢力掃討作戦を続けているロシア軍が、ヘリで食糧や医薬品を運ぶなど救援作業に協力した。
 ロシアでは前年の5月にも極東を流れるレナ川が雪解け水で氾らんし、レンスク市が完全に水没する被害が発生している。

●6〜8月 中国の洪水
 2002年6〜8月にかけて中国では各地で大雨による水害が頻発した。
 6月初旬、陝西省や四川省など中部を中心に集中豪雨による洪水や土砂崩れが発生し、800人以上が死亡、8,000万人が被災したと報じられた。
 7〜8月には広東省、湖南省などの中国南部を中心に洪水被害が広がり、550人が死亡、2,200万人が被災したと報じられた。長江の水位調節の役割を担う洞庭湖では堤防決壊防止のため、軍兵士や民間人100万人が動員され、堤防の補強など水防活動に取り組んだ。
 中国民政部によると、9月までの全国の洪水による死者は1,532人、被災者はのべ1億9,000万人、直接経済損失は約680億元(約1兆円)となっており、1998年の大洪水以来の規模と報じられた。

●7〜8月 アジア南部(インド北東部・ネパール・バングラデシュ)の洪水
 南アジアでは雨期に入った7月から8月にかけてモンスーンの大雨により、各地で洪水や地すべりなどが繰り返し発生した。
 インドでは、東部以外の全土で深刻な干ばつ被害が伝えられた一方、北東部では豪雨が相次ぎ、ビハール州、マッディヤプラデシュ州などを中心に洪水が発生して650人が死亡、延べ7,200万人が被災した。全土が豪雨に襲われたネパールでは、主に東部で豪雨による土砂崩れが相次ぎ、300人以上の死者・行方不明者が出た。一方、バングラデシュは豪雨のほか、8月10、11両日にベンガル湾沿岸地域が高潮に襲われ多くの堤防が決壊するなど、少なくとも157人が死亡、700万人近くが避難した。
 この洪水や地すべりなどによるインド・ネパール・バングラデシュの3カ国の死者は、合わせて9月までに約1,000人に達したと報じられた。

●8月 ヨーロッパ(中・東部) の洪水
 2002年8月、ヨーロッパの広い範囲が大雨に見舞われ、ロシア、チェコ、ドイツ、オーストリアなどを中心としたヨーロッパ中・東部の各地で洪水が発生した。
 ロシア南部の黒海沿岸では8日、月平均降水量にも上る豪雨に見舞われ、クラスノダール州で土石流が発生するなど62人が死亡、1万2,000棟が浸水した。
 ロシア以外では、特にエルベ川とドナウ川流域の各国において記録的な洪水となった。チェコでは、ブルタバ(モルダウ)川沿いの地域を中心に大規模な洪水が発生し、17人が死亡、約20万人が避難した。ドイツではブルタバ川が流れ込むエルベ川流域をはじめ、ヨーロッパ第2の長流・ドナウ川流域でも地すべりや洪水が発生し、20人が死亡、約13万人が避難した。ドナウ川が流れるオーストリアでは8人が死亡、約6万人が避難、1千を超える建造物に全・半壊被害が生じた。
 このヨーロッパ中・東部の洪水による犠牲者は合わせて100人以上に達し、ヨーロッパでは100年に1度といわれる大洪水となった。

●8〜9月 韓国の台風15号
 2002年8月31日から9月2日にかけて、韓国は台風15号の朝鮮半島通過による記録的な豪雨に見舞われ、同国西部の江原道、慶尚北道を中心に大きな被害が発生した。東海岸沿いの江陵では1日の降雨量が871ミリに達し、地すべりで多数の住民が生き埋めになるなど、全国で246人が死亡、家屋2万7,000棟が浸水し、被害総額は約5,000億円となった。北朝鮮でも数十人が死亡したと伝えられた。

●12月 アジア南部(インド北部・ネパール・バングラデシュ)の寒波
 2002年12月中旬以降、インド北部やバングラデシュ、ネパールなど南アジア各地が寒波に襲われ、03年1月中旬までにバングラデシュで640人、インドで554人など、その他あわせて約1,300人が死亡するという被害が報じられた。どの地域も気温は氷点下には至らないものの、暖房器具などを持たない貧困層を直撃したため、各国政府は路上生活者などへの衣類や毛布の配給を行った。犠牲者の大半は高齢者や病人、子供という。


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