国土交通省防災情報
河川局防災課災害対策室
平成17年4月1日
海外の自然災害
◆海外の自然災害の状況

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2003年
●02年12月〜03年1月 インド北部・バングラデシュの寒波
 2002年12月下旬から03年1月下旬にかけて、インド北部やバングラデシュ、ネパールなどで寒波による被害が続き、合計1,900人以上が死亡したと伝えられた。ニューデリーなどインド北部では最低気温が平年より4〜5℃低い3〜5℃前後となる40年ぶりの寒い冬が約1カ月続いた。死者の大半はいずれも路上生活者など貧困層で、十分な暖房設備や防寒衣がない上、慢性的な栄養不良が死者続出の要因になったという。

●1月 ブラジルの洪水
 南半球のブラジルでは雨季にあたる2002年12月から03年1月にかけて、大雨による土砂崩れや洪水が相次いで発生し、合計120人以上が死亡したと伝えられた。中でも、ブラジル南東部のミナスジェライス州とその周辺の地域では、16日から17日にかけて激しい雨が降り続き、土砂崩れが発生して山の斜面に建てられた住宅が次々に押し潰された。最も被害が大きかった州の中心都市、ベロオリゾンテ市の土砂崩れでは少なくとも33人が死亡、89人が負傷し、約8千人が緊急避難した。

●2月 中国・新疆ウイグル自治区の地震
 2003年2月24日午前10時過ぎ、中国西部・新疆ウイグル自治区バチュ県でM6.8の地震が発生した。現地の家屋は固めた土と木材でつくった簡素な造りが多く、倒壊家屋の下敷きになるなど266人が死亡した。授業中だった中学校では、校舎が倒壊して大勢の生徒が犠牲になったと伝えられた。生活用水や電力の設備が壊れ、バチュ県内約5万人に影響が生じた。同自治区はインドプレートが北上してユーラシアプレートにぶつかる影響で地震が多く、96年以降にM6以上の地震が10回起きている。今回の地震は震源が浅かったため、被害が拡大したと言われている。

●5月 トルコ・ビンギョル地震
 2003年5月1日午前3時27分頃、トルコの東アナトリア地域のビンギョル県でM6.4の地震が発生、同州に通じる道路は通行不能となり、広い地域で停電となった。学校の寄宿舎が崩壊して多くの生徒が生き埋めになるなど、この地震による死者は177人に達した。震源地一帯はトルコを東西に横断するアナトリア断層のほぼ真上に位置し、過去にも多くの地震が起きている。1999年8月にはM7.4の地震があり、1万5千人以上が死亡した。

●5月 スリランカの洪水
 2003年5月17日から18日にかけて、スリランカ南部が約50年ぶりの記録的な大雨に見舞われ、広範囲にわたり洪水や地すべりが発生した。約300人が死亡したほか、家屋の全半壊、農作物への被害、インフラ網の遮断等の甚大な人的および物的被害が発生した。スリランカ政府は軍のヘリコプターを使用して食糧を届けるなどの救援活動を行ったが、物資が不足しているとして世界各国に対して緊急支援を要請した。

●5月 アルジェリアの地震
 2003年5月21日午後7時45分、アルジェリアの首都アルジェ東方60qのテニア付近を震源とするM6.8の強い地震が発生した。さらに2時間で約200回にも上る余震もあった。アルジェ東方のルイバやブーメルデスでは、ビルや病院が倒壊して住民が下敷きになるなど、最も深刻な被害となった。一部の地域では災害に乗じた略奪を防ぐため、治安部隊が特別警戒態勢を敷いたという。首都アルジェとその周辺で2千人以上が死亡、負傷者は約1万人で、家を失った人は約20万人にのぼるとみられている。この地震の付近では、1980年にもM7.7の地震が発生し、約5千人の死者を出している。

●6〜7月 中国南部の洪水
 2003年6月下旬以降、安徽、江蘇、河南の3省を中心とした中国南部が集中豪雨に見舞われた。安徽省の淮河は1991年以来最大規模の洪水となり、住民を避難させた上で堤防を破壊するなどの対策にあたった。安徽省では100ヶ所以上で土砂崩れが発生した。主に山間部の土砂災害により338人が死亡し、被災者は1億3千万人にのぼった。

●7月 パキスタンの洪水
 2003年7月、インドやパキスタンなど南アジア一帯では季節風に伴う大雨が続き、山岳地帯のネパールからインドの沿岸部に至るまでの各地で洪水や土砂崩れが相次いだ。中でもパキスタン南部シンド州及びバロチスタン州において、大規模な洪水が発生し、230人が死亡、126万人が被災するなど甚大な被害が発生した。

●9月 韓国の台風14号
 2003年9月12日から13日にかけ、強い台風14号が韓国南部を縦断し、南部・中部地域では時速216qに至る暴風と大雨に伴う地すべり、洪水により、死者117人、行方不明者13人等、甚大な人的被害が発生した。また、主要産業や電線に被害が生じたほか、5つの原子力発電所が停止に追い込まれて147万世帯に影響が出る等の甚大な被害が発生した。

●11月 インドネシア・スマトラ島の洪水
 2003年11月2日夜、インドネシア・スマトラ島北部のブキット・ラワンで大規模な鉄砲水が発生した。豪雨により発生した大量の流木を含んだ鉄砲水は、川沿いにある小規模な宿泊施設や家屋等を押し流し、外国人観光客を含む165人が死亡、大勢の住民が行方不明となった。ブキット・ラワンは国立公園に隣接し、豊かな自然とオランウータンの保護施設があることで知られる観光地。川の上流で行なわれた違法な森林伐採が今回の鉄砲水の一因になったとの指摘も出ている。

●12月 イランの地震
 2003年12月26日現地時間午前5時28分、イラン南東部ケルマン州のバム市においてマグニチュード6.3の地震が発生した。人口約10万人のバム市内を中心とする10qの範囲が被害を受け、各種報道・イラン政府発表等によると、死者約3万人、負傷者約1万6千人という甚大な被害となった。旧市街では80〜100%、新市街では60%の建物が倒壊し、ササン朝時代からの城下町で著名な観光地である「アルゲ・バム」がほぼ全壊した。28日までにイランと外交関係のない米国を含め、欧州諸国や日中韓など20カ国が支援を表明し、トルコ、ロシア、欧州などの救助関係者が現地で捜索活動を展開した。
 イランは過去にも地震が頻発し、大きな被害を出してきた。住宅はアドベといわれるレンガを積み上げただけで耐震性がほとんどない家屋が多く、以前から地震対策の遅れが指摘されていた。


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