「『交通空白』解消へ!地域交通DXに向けたスタートアップピッチ - テック×モビリティビジネス in Tokyo」レポート
交通費ゼロ旅行から稼げる周遊体験まで。7社のスタートアップが活性化させる地域交通DX

2025年8月21日、ピッチイベント「『交通空白』解消へ!地域交通DXに向けたスタートアップピッチ - テック×モビリティビジネス in Tokyo【国土交通省COMmmmONS×TRIP】」が東京・有楽町のTokyo Innovation Base(TIB)で開催された。
2025年度に国土交通省の主導で始動した地域交通DX推進プロジェクト「COMmmmONS(コモンズ)」。地域のモビリティ資源を、誰もがアクセス可能な共通基盤として捉え、「サービス」「データ」「マネジメント」「ビジネスプロセス」の4本柱で体系的なDXを推進。ベストプラクティスの創出と標準化、全国への展開を目指している。
本イベントでは、鉄道事業者が中心となり社会的インパクトのあるイノベーションを推進する「TRIP(Tokyo Railway Innovation Partnership)」がCOMmmmONS(コモンズ)と連携し、「交通空白」解消に挑むスタートアップが事業や技術を披露した。
「行政×交通事業者×スタートアップ」の連携で地域交通の未来を切り開く
開会にあたり、国土交通省 大臣官房公共交通政策審議官の池光崇氏が挨拶に立った。池光氏は、「全国1,740自治体を対象とした調査では2,000を超える『交通空白』地区が確認され、東京23区内でも交通の不便が広がっている地域がある」と指摘。担い手不足による路線縮小は都市部でも深刻化しており、地域を問わず解決を迫られる課題であると述べた。
そのうえで、こうした事態に「行政だけで対処するには限界があり、スタートアップをはじめとする民間の技術と連携することが不可欠」と強調。国や自治体がそれを強く後押しし、DXによる地域交通の新たな姿を描いていきたいと語った。

「COMmmmONS」が描く地域交通DXの新しい枠組み
国土交通省 総合政策局 モビリティサービス推進課 総括課長補佐の内山裕弥氏は「COMmmmONS(コモンズ)」について説明した。
地域交通においては、自家用車への依存が強く、公共交通の分担率は全国平均で数%にとどまっている。さらに近年、人口減少による利用者の減少や運転手の人手不足もあり、バスや鉄道などの路線廃止が進行。地方の交通事業者の9割は赤字で運営せざるを得ない状況にあり、これまでと同等の交通サービスを維持することが難しくなってきている。自家用車についても、若年層の自動車保有率の低下や高齢者の免許返納が増えており、公共交通の不足を補うことは難しい。このような事態が全国で広がってきており、交通手段が十分ではない「交通空白」地区が増えてきているという。
こうした課題の解決に向け、国土交通省が2025年4月から開始したのが地域交通DX推進プロジェクト「COMmmmONS(コモンズ)」だ。サービス、データ、マネジメント、ビジネスプロセスの4つの柱を軸に、地域交通の体系的なDXを推進しようとしている。事業者や自治体の枠を越えたシステム連携や業務連携などを見据えて、協調領域を定義して標準仕様を策定し、ベストプラクティスを開発して全国展開できる仕組みづくりを目指している。
2025年度には20のプロジェクトが並行して進められており、本イベントはその中でも「コミュニティ形成プロジェクト」に位置づけられる。内山氏は「スタートアップや大学、地域の多様な担い手が参画できるエコシステムをつくりたい」と述べ、地域交通DXの新たな担い手の参入に期待を寄せた。

続いて、東京都 スタートアップ戦略推進本部の佐塚和史氏が、東京都のスタートアップ戦略と「TIB CATAPULT」について紹介した。東京都は、年次スタートアップカンファレンス「SusHi Tech Tokyo」と「TIB」を軸に、イノベーションのサイクルを生み出す流れを作るべく取り組んでいる。
そのひとつとして進められる「TIB CATAPULT」事業では、成長が見込まれる分野に焦点をあて、イノベーションを起こすために組成された複数企業からなる「クラスター」と、東京都が協定を締結し、スタートアップを支援している。選定されたクラスターのひとつとして、「鉄道業界横断型」で面的イノベーションの創出を図る「TRIP(トリップ)」があることを紹介。本イベントとも親和性の高いロジスティクスやモビリティ領域のクラスターもあり、これからも連携していきたいと、佐塚氏は述べた。

TIS株式会社 ビジネスイノベーション事業部の杉田優磨氏は、「TRIP(Tokyo Railway Innovation Partnership)」の概要を紹介した。「TRIP」はTISが代表企業となり、小田急電鉄株式会社、京王電鉄株式会社、京浜急行株式会社、JR東日本スタートアップ株式会社、株式会社西武ホールディングス、東急株式会社の6社とともに2024年10月に発足。その後、西日本鉄道株式会社、東京地下鉄株式会社(東京メトロ)、東武鉄道株式会社、相鉄ホールディングス株式会社、名古屋鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)が参画し、全国へとエリアを拡大している。
取り組みにおいては、鉄道事業者が中心となり、沿線の自治体や鉄道業界以外の企業とも連携しながら、スタートアップの支援を実施。駅や車両、沿線の多様な商業施設といった鉄道事業者ならではのアセットを生かして、スタートアップのサービス開発やプロモーションなどを支援している。今回のピッチにも、「TRIP」から小田急の和田氏と東急の田中氏が講評者として参加。杉田氏は、「『交通空白』の解消に向けて鉄道事業者と取り組みたい方や、『TRIP』の取り組みに関心のある企業の方、鉄道事業者の方など、さまざまな人たちと連携し、取り組みを広げていきたい」と語った。

「交通空白」に挑む7社が描く、地域交通の新しいかたち
ピッチセッションには、スタートアップ7社が登壇。各社5分間のプレゼンテーションと3分間の質疑応答が行われた。講評は、呉工業高等専門学校 教授の神田佑亮氏、小田急電鉄株式会社 デジタル事業創造部 ポリネーターの和田正輝氏、東急株式会社 フューチャー・デザイン・ラボ 総括課長の田中浩之氏、国土交通省の内山裕弥氏の4名が務めた。


“子どもの送迎課題”に向き合う「hab」

hab株式会社は「こどもの社会インフラを創る会社」を掲げ、“子どもの送迎課題”の解決に取り組んでいる。共働き家庭では時間の制約が大きく、特に女性の約8割が時間に余裕がない「時間貧困」に直面しているとされる。仕事と家事に加えて習い事のための送迎負担は、働き方の選択や子どもの習い事の継続にも影響を与えているという。
一方、スイミングスクールやプログラミング教室といった習い事を提供する施設側はドライバー不足に悩まされている。同社はこうした両者の課題を解決するため、法人向けに送迎サービスを提供。導入までに必要な工程をワンストップで支援し、第2種旅行業免許を活用してサービスを展開している。

事業は送迎にとどまらず、学童保育や送迎要員の派遣サービスへと広がりを見せている。自社で送迎付きの学童保育を運営するほか、JR西日本と連携した「JRねんりんKids」、神奈川県での子ども専用相乗りライドシェアの実証なども進めている。今後さらに、自治体の子ども青少年局や福祉局と連携して、子どもの交通空白地帯を「見える化」するプロジェクトを進めていきたいとした。
講評では、国土交通省の内山氏が「複数の事業者が共同で送迎をアウトソースできるか」と質問。豊田氏は「可能であり、実際にタイムシェア方式で利用している顧客もいる」と答えた。また、神田氏が事業の採算性について質問したところ、豊田氏は「習い事を提供する事業者側の集客意欲が高まっており、送迎に関する支出にも積極的になってきている。今後も需要は伸びると考えている」とし、事業として成立していることを強調した。
運転代行に新しい仕組みを「エアクル/エアクルワン」

株式会社Alpaca.Labは、運転代行の配車プラットフォーム「エアクル」とドライバー提供プラットフォーム「エアクルワン」を全国で展開している。配車プラットフォーム「エアクル」では、従来のアナログな運行管理業務をデジタル化して効率化し、ユーザーの待ち時間を平均60分から7分へと短縮。アプリの累計ダウンロード数は20万件を超え、全国380事業者・850台以上が稼働している。
「エアクルワン」では、第一種運転免許のドライバーが1人で稼働できる仕組みを構築。従来、運転代行業には第二種運転免許が必要だったが、ドライバー不足が事業拡大の課題になっていた。そこで同社はグレーゾーン解消制度を活用し、第一種運転免許しか持たないドライバーでも送迎を担える仕組みを整備。ドライバーは電動キックボードや小型eバイクで顧客のもとに駆けつけ、顧客の車を運転して送迎するという新しい形を実現している。

さらに「エアクルワン」の飲食店向け試験導入を進め、飲食店スタッフが顧客の車を運転して送迎する仕組みを提供している。飲食店にとっての客単価向上に加え、近隣飲食店との連携で地域の売り上げ向上と飲酒運転防止にも寄与しているという。運転代行以外にも、病院の送迎や整備工場の車両移動、レンタカーの回収・返却など多様な問い合わせがあるようだ。棚原氏は「運転代行の枠を超え、人や物を運ぶ社会インフラへと成長させたい」と語った。
講評では、田中氏が「飲食店と提携し人材を有効活用する仕組みは素晴らしい。待ち時間短縮の仕組みを詳しく教えてほしい」と質問。棚原氏は「琉球大学との共同研究を通じたアルゴリズムの最適化に加え、各運転代行の事業者自身の努力も大きい」と説明した。和田氏は「運転代行の仕事は夜間が中心だが、昼間に他のサービスを取り入れることで収益を補うとともに、地方の課題解決にもつながる」と期待を寄せた。
ビッグデータ解析で交通リスクを可視化

株式会社D’isumは、独自に開発したビッグデータ解析手法を駆使し、世の中に存在するリスクを誰でも簡単に把握できるように分析し、可視化することを通して、人々がそれらに対応できるようにすることをミッションに掲げている。コア技術は、膨大なデータを2次元に落とし込み、異常を可視化する独自の次元削減アルゴリズムだ。振動や音など、デジタル化できるあらゆる情報を解析対象とすることができる。
モビリティ領域では2つのソリューションを開発している。1つ目は、大型車両のタイヤ空気圧をスマートフォンでチェックする仕組み。従来はドライバーがタイヤを叩いて音を聞き判断していたが、スマホで打音を録音・解析することで精度の高い診断を可能にする。2つ目は、交通事故リスクを高める睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニングアプリ「SAS’EYE」。寝ている間の呼吸音を録音するだけで、従来の煩雑で高額な検査に代わり、簡便にリスクを把握できる。

発表の最後には、自身の経験から駐車場探しの不便さにも言及。「駐車場がどこにあるかという場所と同時に空き状況がわかるデータがあれば有効活用できる」と語った。
質疑では、内山氏が「駐車場データは交通分野でも大きな課題。御社で取り組んでみては」と投げかけると、成松氏は「データさえあればプラットフォームを構築できる。駐車場のダイナミックプライシングにもつなげられるだろう」と応えた。また、内山氏は「顔色や表情データを解析すれば、心筋梗塞などの予兆検知にも応用できるのでは」とコメントし、技術の可能性に期待を示した。
クルマの所有権をアップデートする「OURCAR」

都市部に住んでいるとあまり感じられないが、地域の交通手段は車が中心。日本全体では交通に使われる移動手段の7割ほどを車が占めているという。しかし、街には駐車場に止められたままの車両も多い。株式会社TRILL.は、こうした使われていない車両を生かすべく、個人が所有する車をシェアするプラットフォーム 「OURCAR」を展開している。
仕組みは、持ち主が使っていない時間だけでも車を貸し出せるというもの。利用者はLINEなどから予約し、設置されたキーボックスから鍵を取り出して利用する方式だ。
特徴としては、「共同使用契約」という枠組みを活用している点にある。レンタカー事業のような事業許可を必要とせず、「わ」ナンバー(レンタカー用)以外の車両も対象にできるため、幅広い車をシェアリングに活用できる利点がある。将来的にはライドシェアへの展開も視野に入れているという。

講評では、神田氏が「どのようなことからサービスを思いついたのか」と聞くと、藤森氏は「もともと自分で車を持っていたところに祖父から車をもらい、どうしようかと思った際、『1台を誰かに貸し出そう』と思ったのがはじまり。そこから興味を持って、レンタカーやカーシェアのサービスについて調べるうちに、いまの仕組みに行き着いた」と述べた。神田氏は「制度を熟知していれば参入の難しさばかりが目立つ領域だが、詳しく知らなかったからこそたどり着けた発想だと思う」とコメントし、挑戦を評価した。
片道レンタカーを最適化する「カタレン」

Pathfinder株式会社は、「車両配置の最適化を通じ、移動のハードルを下げる」を掲げ、片道レンタカーサービス「カタレン」を展開している。従来の片道レンタカーは返却コストが高く、通常1泊2日で1万円程度のレンタルに対して乗り捨ては約4万円と割高で、利用は全体の1割にとどまっていた。「カタレン」は、返却が必要な車両を「戻りたい方向に移動する利用者」とマッチングし、アウトレット感覚で安価に提供する仕組みだ。これにより稼働率が向上し、車両台数を最大3割削減する効果もあるという。
ユーザーはすでに5万人を超え、特に20代の支持が厚い。早朝の成田空港への移動や単身者の引っ越し、バンドツアーやJリーグサポーターの遠征など、多様な利用が広がっている。トヨタレンタカー、ニコニコレンタカーとも提携し、業界シェアの過半数を視野に入れる。

今後はレンタカーにとどまらず、最適配置の技術を自転車、タクシー、航空機など他のモビリティにも拡張していく計画だ。すでにJR西日本と組み、「交通空白」の解消を目指す実証実験も進んでいるという。
講評では、田中氏が「都市間の長距離移動が例に挙げられていたが、都市部の短距離での展開は可能か」と質問。小野崎氏は「最終的には山手線駅間の移動のような短距離カーシェアにも展開しようと考えている。自社車両を使ってアルゴリズムの開発に向けた実証を行っている」と答えた。内山氏は「車両や人を増やさず供給力を高められる点が優れている」と評価したうえで、「なぜ御社でしかできないのか」と質問。小野崎氏は「過去に大手レンタカー事業者が試みていたが、特許や社内事情で続かなかった。また、1社単独では顧客接点が少なく、回送車両と顧客のニーズをうまくマッチングできていなかった。我々は顧客接点とマッチング拡大の戦略で勝ち筋を見いだした」と説明した。
交通費を実質無料にする観光アプリ「FreeTraffic」

Fourwin株式会社は、旅行者が負担する交通費を“実質無料”にするというアプリ「FreeTraffic」を開発している。観光振興といえばコンテンツの磨き上げやPR/情報発信、交通インフラ整備が定番だが、同社が着目したのは「交通費」という障壁だ。どれほど魅力的な観光資源があっても、移動コストが高ければ旅行者の足は遠のいてしまう。この盲点に挑むのが「FreeTraffic」だ。
仕組みはシンプル。旅行者が現地で宿泊や飲食など一定の条件を満たすと、移動距離に応じた交通費がアプリ内でキャッシュバックされる。交通費は一人当たりの旅行支出全体の約2割に過ぎず、残りの約8割が旅行先に落ちているという。旅行先の自治体や宿泊施設、飲食店などが交通費を負担しても、それ以上の投資効果が期待できるわけだ。

北海道島牧村での実証実験では、自治体負担10万円分のキャッシュバックに対して約4倍の投資効果が確認され、1名が移住を決めるという副次的効果もあった。根室市での実証も続いており、小規模自治体にとって低コストで導入できる集客施策として注目されている。
講評では、和田氏が「知名度の低い地域でも10万円程度の投資で人を呼び込めるのはコスパが高い。有名な観光地より交通空白地帯にこそ相性が良い」と評価。神田氏も「投資効果が高く、小さな地域の意思決定スピードに合う。観光振興と交通振興がなかなかつながらない中で、観光と交通をつなぐ有効な手段になる」と指摘した。
音声ガイド搭載モビリティで「移動+体験」を提供

合同会社Limotは、モビリティを単なる移動手段ではなく「目的地での体験」と組み合わせることで、地域の価値を高めるサービスを展開している。創業メンバーは、トヨタで都市開発・観光開発事業における回遊性向上のコンサルティングに従事していた経歴があり、ソフトウェアによるまちづくりに強みを持つ。
同社のプラットフォームは、自転車やキックボード、ミニカーなど道路交通法上の車両区分3領域7種類のモビリティを無人で貸し出し可能にし、GPSと連動した多言語音声ガイドを提供する仕組みだ。利用者がスポットに近づくと自動でガイドが流れるだけでなく、謎解きやクーポンを組み合わせて回遊性を高めることもできる。これにより「移動+体験」をセットで提供し、1台あたり月10万円を売り上げるケースも出ているという。

人流データの取得やマーケティング活用も可能で、横浜・みなとみらいでの実証をはじめ、全国に展開が広がっている。さらに、COMmmmONS(コモンズ)で挑戦したいこととして「ガイドプラットフォームのノーコード化」を挙げ、地域住民や自治体が自分たちでおすすめスポットを登録できる仕組みづくりを構築していこうとしているという。
講評では、田中氏がモビリティに音声ガイドを載せる効果を問うと、香西氏は「実際に1台あたりの単価が3倍ほどに上がる付加価値が出ている。また、都市部では観光地よりも単価が上がりにくいが、地域の人や自治体が『行ってほしい』と思う場所を示すことで、理想の人流をつくれるだろう」と回答。和田氏は「有名な観光地でなくても、知られざる地域の資源や魅力を発掘し、ガイドできれば収益化できそう。地域の魅力をいかに掘り起こしていくのかがカギになる。外部の目線を生かして、そうした部分まで支援できたら広がっていきそうだ」と指摘した。
7社によるピッチの終了後、講評者4名から総評が述べられた。
呉工業高等専門学校の神田佑亮氏は「どの発表も非常にワクワクする内容だった」と振り返り、制度や規制の制約を一度外して発想し、そこから社会課題を解決する仕組みに落とし込むアプローチが共通して見られたと感想を語った。「交通分野には、規制の残骸のような未開拓領域も多く残っている。交通業界内外の人が対話していくことで、そこに新たなビジネスが生まれる可能性を強く感じた」と述べた。

小田急電鉄の和田正輝氏は「交通領域は規制も多く、新しい挑戦が難しい分野だが、『規制のサンドボックス制度』など突破口となる制度もある。多様なプレーヤーと我々交通事業者が一緒になって課題を解決していきたい」と述べた。また、「新しい乗り物をどう受け入れていくか社会全体で合意を形成していけると、新しい交通の仕組みも作りやすくなるのではないか」と述べ、今後の議論の深まりに期待を示した。

東急の田中浩之氏は「各社の発表は社会課題に真正面から取り組むもので、未来の理想像から逆算する発想の大切さを改めて感じた」と総括。自社のように特定のエリアを持つ事業者も、その地域にとどまらずに枠を広げ、「日本全体の視点で課題解決に臨む必要があるとあらためて感じた」と語った。

最後に、国土交通省の内山裕弥氏が登壇者と来場者に謝意を述べ、「各社のピッチを聞いて、思わぬ発見や新たなプロジェクトにつながりそうな芽が多くあった。この場に参加の方々も、それぞれの事業の観点からコレボレーションできそうな示唆やインスピレーションを得られたのではないだろうか。こうした機会が企業同士の連携やシナジーを生み出すきっかけになれば幸いだ」とコメント。交流やネットワーキングを通じた新たな協業に期待を寄せ、セッションを締めくくった。

Updated: 2025.09.30
文: 松下典子(Noriko Matsushita) 編集: 北島幹雄(Kitashima Mikio)/ASCII STARTUP 撮影: 曽根田 元(Gen Soneda)