第2章 今後の人口の動向と関連する動き
人口の将来推計については、国内の定住人口の総量のみならず、世界人口、地域ごとの人口、世帯数、交流人口等についても分析する必要がある。
第1節 世界と我が国の人口の将来推計
我が国の人口は平成19年(2007)をピークとして翌年から減少局面に入り、平成62年(2050)には現在の約8割の約1億人にまで減少するとされている。これに対し、世界人口は平成7年(1995)現在で57億人余であるが、平成62年(2050)には現在水準の7割増の100億人に近づくなど圧倒的な人口爆発が予想され、世界的に見れば我が国の人口減少の規模は微々たるものに過ぎない。
次に生産年齢人口の将来推計をみてみると、我が国では平成62年(2050)までに3000万人の減少となるのに対して、我が国周辺のアジア地域では中国で約2億人、インドで約5億人など億単位での膨大な増大が予想されている。これらの国々では、我が国が経験したように「人口ボーナス」の時期を迎えている。これら近隣諸国が人口ボーナスをうまく利用して順調に経済発展を持続できれば、それは財の貿易等を通じて我が国にとっても利益となる。
このように、我が国の人口減少は、当面全く逆の傾向を示すであろう世界人口の中での現象であるとともに、数十年後に同様の傾向を示すであろう世界人口の先陣を切っていることに注目する必要がある。