14 コミュニケーションの推進とアカウンタビリティの向上等
 
14−1 コミュニケーションの推進
 
 社会資本整備や地域づくりは、本来、国民と行政との協働、共創作業である。人の生活と自然との関係、社会資本と地域文化との関係まで視野に入れた深みのあるコミュニケーションの推進を通じて、国民と行政との信頼関係の下で、良質な社会資本が蓄積されていく必要がある。そのため、現在の行政を総点検するとともに、個々の批判に応えることを超えて、行政の発想やあるべき姿にまで立ち返ったより抜本的な対応が求められている。
 
(1)コミュニケーション推進委員会の設置
 行政の透明性の向上と国民との対話を重視し、社会資本整備を国民との協働、共創作業として展開していくコミュニケーション型国土行政を体系的かつ積極的に推進することを目的として、事務次官を委員長とするコミュニケーション推進委員会を平成10年9月に設置した。
 
(2)「コミュニケーション型国土行政の創造に向けて」の公表
 「コミュニケーション型国土行政の創造に向けて」は、社会資本整備や地域づくりにおける行政のあるべき姿をまとめたものである。その内容については、国民の方への意見募集を行い、頂いた意見を内容に反映させる等の経緯を経て、平成11年1月上記のコミュニケーション推進委員会で決定、公表し、地方建設局等に通知するとともに各種活動を開始している。
 
(3)今後の取り組み
 コミュニケーション推進委員会において定める基本方針にそって、本省内部部局及び地方部局等において、組織単位に活動方針を定め、できることから積極的に実施していく。また、何よりも職員一人一人の意識の持ち方が重要であるため、省内情報誌を発刊する等、動機付け、意識改革を図り、自分自身の問題として取り組んでいけるよう支援していく。
 
 
 
14−2 公共事業のアカウンタビリティの向上
 
1.現状と課題
 
 建設省においては、公共事業のアカウンタビリティ向上を図るため、入札・契約制度の改革、公共工事のコスト縮減、事業の評価システムの導入等に積極的に取り組んできたところである。
 しかし、現下の公共事業に対する国民の信頼感は十分なものではなく、今後建設省及び関係公団等が一体となった取組を図り、国民の理解を得ながら公共事業を執行していくことが必要と考えられる。
 建設省では、国民の理解を得ながら社会資本整備を進めていくには、
 [1]公共事業の各実施段階を、国民に対してさらに説明性の高いものへと改善を図ること
 [2]幅広い情報を積極的に国民に提供し共有していくこと
 が必要であり、これが建設省に課せられた「説明責任(アカウンタビリティ)」であると考えている。
 
2.平成10年度、平成11年度の主要施策
 
 これを受け、平成10年9月に「公共事業のアカウンタビリティ向上委員会(委員長 技監)」を設置し、平成11年2月に「公共事業の説明責任(アカウンタビリティ)向上行動指針」を策定した。
  行動指針の中で定められた主要な施策としては、インターネットの活用等による情報提供方法の改善、問い合わせ窓口の明確化、国民参加の手続きの推進検討、完了後の事業の事後評価導入等のすべてのプロセスにおける評価の明確化、公共工事コスト縮減の推進等がある。特に、平成10年度においては、公共事業の新規採択評価及び再評価を導入し、事業の評価を実施し、平成11年5月12日現在で建設省所管の5,520事業で再評価等が実施された結果、10事業が中止され、26事業が休止となった。
 今後、平成11年度より建設省全体が一貫性をもって行動指針で定められた諸施策に着手し、平成12年度末までに実施し、結果を公表していくこととしている。
 
 
14−3 PFIの推進
 
1.PFI推進の必要性
 
 PFI(Private Finance Initiative)とは、従来公共部門によって建設、運営されていた分野に民間企業の資金、運営ノウハウを活用しようとするものであり、我が国においても、社会資本の効率的な整備に当たっては民間の資金力、技術力及び経営能力の活用を図っていくことも必要であるとの認識の下、PFIに対する期待が高まっているところである。
 
2.PFIへの取組
 
 平成10年5月に、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案(PFI法案)」が、第142回通常国会において当時の連立与党により提出され、継続審議となっており、政府としては、我が国へのPFI導入に向けた諸課題に関し、関係各省庁間の連携、総合調整を図っているところである。
 建設省においては、平成10年5月に、「日本版PFIのガイドライン」を取りまとめ、省内におけるPFIの推進体制の充実を図るとともに、PFIについての民間からの相談、提案等への対応を行っているところである。
 また、昨年度より建設省所管の各事業分野に関し、事業スキーム等についての調査・検討を行っており、今後、官民連携による公共施設と民間施設との一体的整備事業をはじめとして、都市整備や住宅供給等の幅広い分野において積極的にPFI事業を推進していくこととしている。

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