3 不動産業の動向と施策
1.不動産業の国民経済に占める位置
我が国の不動産は、評価額が 2,250兆円であり国民総資産の30%を占める重要な資産である(経済企画庁「国民経済計算年報」)。このように重要な意味を持つ不動産を供給・管理するのが不動産業であり、その業態は開発・分譲、流通、賃貸及び管理の大きく4つに分類され、その業務も極めて多岐にわたっている。このうち、開発・分譲及び流通の分野については宅地建物取引業法に基づく規制下にあり、免許を受けた宅地建物取引業者数は、平成11年3月末現在 138,752(大臣免許業者 2,185、知事免許業者 136,567)である。
2.不動産業を取り巻く状況の変化
住宅市場においては、新規分譲マンション(首都圏)の売行きは低調に推移していたが、最近の住宅対策等により、契約率の上昇、在庫の減少が見られるなど売行きは回復してきている。オフィス市場においては、空室率の上昇傾向が見受けられ、賃料も弱含んでいるとともに、新・近・大の物件に需要が集中し、市場が二極化している。
不動産業界全体の経常利益は平成9年度まで7年度連続マイナスが続いているが、最近は住宅の売行きの回復等に伴い業況感にも改善の動きが見られる。
3.平成10年度、11年度の主要施策
平成9年の宅地建物取引業法の一部を改正する法律の施行により媒介契約制度及び指定流通機構制度を整備し、新たな指定流通機構制度を通して一層の消費者保護に努めている。
また、最近の社会経済情勢の推移等から、不動産特定共同事業の積極的な活用を図るため、投資家の地位の第三者への譲渡解禁や金銭出資の最低出資単位引き下げ等の規制緩和を実施したところである。平成11年度においても、一定の条件の下に対象不動産の入替えを可能とする事業方式を創設するなど、一層の規制緩和を推進することとしている。
「第3 建設活動の動向、建設産業と不動産業」終了

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