(よい人材に対するよい評価)
建設業では元請の技術者、下請の現場施工に携わる技能者ともに、工事の品質確保を第一にしているため、必要な資格などを手当てや人事面で評価している。建設業に関連する資格制度には、建設業法に基づいて安全で施工力のある現場を確保するために必置の資格(例:土木工事の現場で元請による総合管理監督のため、建設業法上専任で置かなければならない管理技術者の資格として必要な国家資格である土木施工管理技士資格)と、企業の経営力の判断として生かされるもの、技能の到達「度」を見るもの等様々である。職種による差はあるものの、全体としては、資格を取得した者に対し、賃金に反映するか、昇給昇進の際に考慮するかによって何らかの評価を行っている企業が多く、今後もよい技能を持ち、高い評価を受けるべき技能者の一つの指標として資格に対する評価を行っていくべきである(図表2-3-8)。
よい人材を抱えていることは企業にとっても経営力の要となる要素である。公共工事に参加する建設業者(元請)の施工能力を評価する経営事項審査制度においても、保有する技術者数が評価対象となっているなど、企業の技術力を高める動機となっている。下請の専門工事業についても、その企業力を施工力、経営力、財務力の3つの視点から評価しようとする指標(ステップアップ指標)において、雇用する基幹技能者を評価対象に加えるなど優秀な人材を抱える企業をより高く評価するような充実方策を検討している。これらの施策を通じて、個としての人材の能力を企業価値として極大化しようとする動機が働くようにさせることが大切である。
