3 建設産業におけるIT革命の方向性
建設産業に課せられている生産性の向上という課題に応えるというためには、前述のような、人を大切にする施策を中心にした現場の労働生産性の向上に加え、ITの活用による生産性向上を図ることが必要である。
これまでも建設産業においては、社内LANの導入等による業務の電子化、情報共有化が進められ、各社のインターネット上でのホームページ公開による広報、インベスターズ・リレーション(
注1)の充実、企業対消費者(B to C(
注2))・企業対企業(B to B(
注2))での電子商取引などが図られてきた。しかし、産業別に見ると(図表2-3-11)、我が国におけるインターネットやエクストラネットを介した中間財市場(企業間の原材料等の取引)の市場規模は平成11年は約14兆4,298億円と推計されるなかで、建設業は289億円であり、生産性向上の要としてITをどのように活用していくかは、今後の課題として残されている。以下、企業対企業(B to B)を中心とした建設産業のIT活用の可能性について検討する。
(注1)企業の株主に対する情報公開を含めた広報活動。
(注2)インターネット等のオープンなネットワークを使用した電子商取引(EC(Electronic Commerce))は、消費者向け(B to C:Business to Consumer)と企業間(B to B:Business to Business)に大別される。前者はホームページを介しての物品、サービスの売買等、後者は原材料の調達等が中心である。