第3章 安全な国土づくり・まちづくり

 我が国は、その位置、地形、地質、気象などの自然的条件から、地震、火山噴火、台風、豪雨、豪雪等による災害や渇水が発生しやすい国土となっており、平成11年度にも大きな水害・土砂災害・火山噴火等が相次いだ。また、我が国の人口・資産は極めて高密度に集中しており、ひとたび大災害に見舞われると、極めて甚大な被害が発生する可能性が潜在している。
 阪神・淡路大震災では脆弱な国土の姿が明らかとなり、今後ますます災害に強い国土づくりを進めていくことの必要性を改めて認識させられた。人々が災害への恐れなく、安全に安心して住めることは、まちの活力、賑わいを支える前提であり、今後とも人々の安全な暮らしを守る対策を推進していかなければならない。
 安全は常に国民生活の基本であり、本章においては、近年の大きな自然災害とそれによる対策を中心に記述した。ここに記述した以外にも国民生活を守るための地道な安全への取組みは全国各地で数多く行われている。自然の中での人間活動が大きくなるにしたがって、自然の脅威は大きくなることから、元来脆弱な国土条件の下での安全で安心な暮らしを支える国土づくり・まちづくりのためには、行政も住民・コミュニティもそれぞれが不断の努力を払わなければならない。なお、近年、トンネル内のコンクリートの劣化等による剥落事故や老朽化したマンションストックの増大など、自然災害以外の事由により国民生活の安全が脅かされる危険性もある。この点については、「第1 総説」の「第1章 我が国の住宅・社会資本整備の回顧と現況」を参照されたい。