(土砂災害)

 平成11年6月の梅雨前線豪雨に伴う集中豪雨により、広島県を中心として激甚な土砂災害が発生した(図表3-2-3)。予測の難しい突然の集中豪雨に加え、山裾まで宅地開発が進み、土砂災害危険箇所が拡がっているという土地利用状況が重なって同時多発的に土砂災害が発生し、広島県では24名の方が犠牲となった。
 土砂災害は毎年各地で発生しており、近年の異常気象の影響等も相まって、平成11年は全国全ての都道府県において土砂災害が発生しており、その件数は1,500件を超えている(図表3-2-4)。このような災害の発生のおそれのある土砂災害危険箇所は約17万7,000ヶ所あり、全国の約9割の市町村に存在する。
 近年の土砂災害の特徴として迅速な避難が困難な高齢者、障害者等いわゆる災害弱者の方が犠牲となる割合が増加しており、今後、少子高齢社会を念頭に置いた施設整備やソフト対策がますます重要と考えられる。
 また、新たな宅地開発等に伴い、危険箇所は年々増加し、その全ての危険箇所を対策工事によって安全にしていくには膨大な時間と費用が必要となる。このため、人命を守るためには土砂災害防止工事によるハード対策と併せて、土砂災害の危険性のある区域を明らかにし、その中で警戒避難体制の整備や危険な箇所への新規住宅等の立地規制等のソフト対策を充実させていくことが重要となっている。

C1320401.gif

C1320402.gif