(地下空間の浸水 〜都市化に伴う新しいタイプの災害〜)

 平成11年6月29日、梅雨前線豪雨により、福岡市においてビル地下階や地下鉄、地下街などの地下施設が浸水し、都市機能が停止するとともに死者が出るという災害が発生した(図表3-2-5)。7月21日には集中豪雨により東京都においても住宅の地下室が浸水し死者が出るという傷ましい事態が発生した。
 地下空間は、特に大都市の中心市街地等における貴重な都市空間として、都市機能を高めるためにその有効活用が進められているところであり、近年、我が国においては、地下鉄、地下街、ビルの地下施設等様々な地下空間利用が発達してきている(図表3-2-6)。このような地下空間において洪水により短時間で浸水が発生した場合には、通常の地上での水害とは異なり、地下に設置されることが多い電気設備の浸水による停電等都市機能への被害などを引き起こし、また、地下にいる人が外の状況が分からず逃げ遅れたり、水圧でドアが開かず閉じ込められたりすることによる人命に係る被害等が生じるおそれがある。こうした地下浸水災害による都市機能への被害や人命の損失を防ぐには、治水施設や下水道施設の増強によるハード面での対策に加えて、地下浸水を十分考慮した災害情報伝達体制や避難誘導体制等ソフト面での対策も整備する必要がある。

C1320501.gif

C1320502.gif