(災害に対して安全で安心な道路ネットワークの整備)

 阪神・淡路大震災において認識されたように、道路については、災害時に迂回路等の代替機能を確保することが重要であり、これによって自然災害の国民生活や経済活動への影響を最小限に抑制することが期待される(図表3-3-13)。例えば、我が国の厳しい自然条件、地形条件等により、冠水、土砂災害、橋梁破損等自然災害が生じた際に道路が通行止めになることがまだ多く、全国の国道について見ると、総延長51,929kmのうち事前通行規制()がかかる区間は880ヶ所である(図表3-3-14)。通行止めになった場合、それに代替する道路がない地域では、緊急物資の搬入や生活物資の調達、病院へのアクセスに大きな支障を及ぼしている。道路は、生活の基盤であるとともに、救急等生命に関わる活動を支える根幹施設でもあり、豪雨、地震、豪雪等の災害に対して安全に、安心して利用できるよう、整備を進めなければならない。従来、道路の防災対策は、防災点検等の結果や交通量、迂回路の有無といった局所的な視点に基づいて行われてきたが、今後は、これらの対策に加え、医療活動等への影響といった道路の提供するサービスの観点や降雨確率等に基づいて道路のネットワークとしての信頼性を明確にし、さらに効果的な道路防災対策を推進する必要がある。

 我が国は元来脆弱な国土条件の下で国民の安全で安心な暮らしを脅かす自然災害に対して着実な対策を行ってきたところではあるが、近年においても国民の安全で安心な暮らしを脅かす自然災害に際し、改めて被害を最小限に抑えるためのハード・ソフト両面からの災害対策の必要性が認識される。その際は、行政の役割に加えて、地域(コミュニティ)やボランティアによるきめ細やかで地域の暮らしに密着した対応が重要であり、今後とも行政・住民が一体となって安全で安心できる国土づくり・まちづくりのための施策を推進する必要がある。



(注)事前通行規制:道路通行の安全性を確保するため、異常気象時において、あらかじめ設定している連続雨量を超える場合には道路の通行止めを実施する。

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