(8)緑とオープンスペースの確保

イ 総合的な都市緑化の推進
 「緑」は快適で安全な国民生活を実現する上で必要不可欠なものである。
 このため、21世紀初頭へ向けて、国民が豊かさを実感できる緑豊かな生活環境を形成するために、引き続き「緑の政策大綱(緑サンサン・グリーンプラン)」(平成6年7月策定)並びに同大綱のアクションプログラムである「グリーンプラン2000」(平成8年12月策定)に基づき、所管事業における緑化施策の展開を図っていくとともに、市町村における「緑地の保全及び緑化の推進に関する基本計画」(緑の基本計画)の策定を推進し、都市における総合的かつ計画的な緑地の保全、整備を推進する。
 また、「地球温暖化対策推進大綱」等を踏まえ、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の吸収・固定とヒートアイランド現象の緩和に伴う省エネルギー効果によるCO2の排出抑制等の地球温暖化対策の観点から、屋上緑化の推進、住民参加による都市の緑の保全・創出等を推進する。
 さらに、公園・緑化技術の開発を推進するため、「第2次公園・緑化技術五箇年計画(平成11〜15年度)」に基づく研究開発を実施していくこととしている。また、民間が行うものに対し、日本政策投資銀行からの融資制度等の支援措置を講ずる。
ロ 都市における緑地の保全及び緑化の推進
 都市における良好な自然的環境を保全するため、「都市緑地保全法」「首都圏近郊緑地保全法」等に基づき、緑地保全地区、近郊緑地特別保全地区を指定し、緑地の保全に支障を生ずるおそれのある一定の行為の制限を行うとともに、土地の買入れ等を行っている。
 平成11年度においては、地方公共団体が行う緑地保全地区内等の土地の買入れ及び緑地の保全と利用を図るために必要な施設の整備に対して補助を行った。平成12年度についても、引き続き土地の買入れ及び緑地の保全と利用を図るために必要な施設の整備を行うこととしている(平成11年度は古都及び緑地保全事業費82億4,300万円、国費41億8,900万円の内数。平成12年度は各々90億2,500万円、45億8,500万円の内数)。
 また、公園、道路、河川等の所管事業に係る公共施設については、先述の「グリーンプラン2000」に基づき、計画的な緑化を進めるとともに、その他の公共公益施設についても、まちの顔となる地区について緑化事業を一括的に実施する「緑化重点地区総合整備事業」等を活用し、緑の増加に努めた。民有地における身近な緑の保全、整備については、土地の所有者と地方公共団体等が契約を結び、都市内に残された貴重な緑地を保全するとともに、これらを周辺住民に公開する「市民緑地」の設置や、住民自らの合意に基づき、現在ある緑の保全や新たな緑の創出について取り決めを行う「緑地協定」の締結を促進したほか、都市住民の緑化意識の高揚や植栽知識の普及等を図る観点から、支援拠点となる「緑の相談所」(都市緑化植物園)の整備を推進した。また、春季における都市緑化推進運動(4〜6月)、都市緑化月間(10月)を中心に、全国各地で各種普及啓発行事を実施した。特に期間中の中心行事として、4月28日に国営昭和記念公園において、全国の緑の愛護活動を行っている団体等、緑の関係者が集う第10回全国「みどりの愛護」のつどいを開催するとともに、4月15日に全国都市緑化フェアの会場となった宮崎県宮崎市の阿波岐原森林公園において、平成11年度全国都市緑化祭を開催した。このほか、都市緑化基金の活動を強化するために、住民、企業、行政等が連携した民有地の緑化活動のあり方について調査研究を行った。
 平成12年度においては、緑化重点地区総合整備事業、屋上緑化の推進に対する支援等、各種の都市緑化施策を実施することにより、公共空間及び民有地の緑化を総合的に推進する。普及啓発行事については、本年4月29日に国営讃岐まんのう公園において第11回「みどりの愛護」のつどいを開催するとともに、栃木県の壬生総合公園及び宇都宮市総合運動公園において、第17回全国都市緑化フェアが9月9日から11月5日まで開催されることとなっている。
ハ 第6次都市公園等整備七箇年計画(平成10年1月31日の閣議決定により2ヶ年延長)
 都市公園等は、都市の緑の中核として、活力ある長寿・福祉社会の形成、都市のうるおい創出、都市の防災構造の強化に資するとともに、自然とのふれあい、コミュニティの形成、広域レクリエーション活動等国民の多様なニーズに対応する国民生活に密着した都市の根幹的施設である。そのため、昭和47年より6次にわたり都市公園等整備五箇年計画を策定し、計画的かつ積極的な整備の推進を図ってきたところである。平成11年度は第6次七箇年計画の4年度として、事業費9,675億円をもって住区基幹公園、都市基幹公園、大規模公園、特殊公園、緩衝緑地等及び国営公園等の整備を推進した。
 平成12年度は同計画の5年度として、計画の着実な進捗を図るべく、事業費7,477億円をもって都市公園等の積極的な整備を行う。
ニ 都市公園等の整備の推進
 平成11年度においては、地域防災計画等に位置付けられた広域防災拠点、広域避難地、一次避難地等の都市の防災性向上に資する都市公園の整備を推進した。また、地球温暖化対策の観点からの都市緑化、住民の参加・協力を得て植栽等を実施する花と緑のまちづくり事業や、公園施設のリニューアルにより商店街等の中心市街地の活性化を図る緑とにぎわいのまちなか公園の整備、緑化重点地区整備事業の拡充による都市公園の整備及び公共公益施設の緑化、さらには新世紀に向けた公園・緑地の機能の質的向上のための公園施設の整備を進めた。
 平成12年度においては、都市公園事業(補助)において、第2次地方分権推進計画に基づき、地方公共団体の自主性をより尊重した弾力的な事業執行が可能となるように、都市公園等統合補助事業を創設する。また、安全で安心なまちづくりを推進するため、避難地・防災活動拠点となる防災公園の整備を推進し、既設の防災公園の機能の総点検の実施や、特に地方都市において遅れている災害応急対策施設の整備による防災公園の機能アップ等を総合的に行う「防災公園総合整備事業」を創設する。
ホ 広域的レクリエーション需要への対応
 高速交通網の整備に伴う日帰り行動圏の拡大や週休2日制の普及等、自由時間の増大等による広域的なレクリエーション需要の増大に対応するとともに地域の振興等を図るため、国営公園、レクリエーション都市等の大規模な公園の整備を行っている。このうち国営公園については、平成11年度は国営アルプスあづみの公園等16公園の整備を事業費262億4,800万円をもって行うとともに、国営武蔵丘陵森林公園等13公園の維持管理を事業費95億2,200万円をもって行った。
 平成12年度については、新たに飛鳥地方における歴史的風土の保存及び活用を図るため、国営飛鳥歴史公園にキトラ古墳周辺地区(仮称)の設定を行う等、国営アルプスあづみの公園等16公園の整備を事業費283億5,100万円をもって行うとともに、国営武蔵丘陵森林公園等13公園の維持管理を事業費101億1,700万円をもって行う。
 また、従来より奥只見レクリエーション都市(新潟県)等において実施しているレクリエーション都市整備事業、地域の特性を活かした特定のテーマのもと公共と民間が協力して実施する地域活性化拠点公園(テーマパーク)整備事業及び若年層の地方定住の促進を図るとともに、地域振興の核となるスポーツ・健康施設、オートキャンプ場等の活動拠点の整備を推進している。
ヘ 都市基盤整備公団の行う公園整備
 都市基盤整備公団の行う国営公園内における有料施設(特定公園施設)の整備については、平成11年度(平成11年9月までは住宅・都市整備公団として実施)は事業費5億8,700万円をもって海の中道海浜公園等7公園において整備を行った。平成12年度については、事業費8億4,200万円をもって国営沖縄記念公園等6公園において整備を推進することとしている。
 また、平成11年度に、特に防災上危険性の高い大都市地域において、都市基盤整備公団が地方公共団体の要請を受け、防災公園の整備と市街地の整備改善を一体的に行う防災公園街区整備事業を創設したところである。
 また、地方公共団体からの受託に基づく都市公園の建設等については、平成11年度(平成11年9月までは住宅・都市整備公団として実施)は46公園の建設を行った。
ト 環境事業団が行う緑地の整備
 環境事業団は、地方公共団体等に代わって緩衝緑地、大気汚染対策緑地、地球温暖化対策緑地(土壌環境保全型)及び産業廃棄物処理施設・一体緑地を建設し譲渡する事業を行っており、平成11年度は大阪(矢倉)地区大気汚染対策緑地等11ヶ所の整備を行った。平成12年度については芦屋地区大気汚染対策緑地等9ヶ所の整備を行うこととしている。
チ 歴史的風土の保存
 京都市、奈良市、鎌倉市等においては、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」に基づく歴史的風土特別保存地区を、明日香村においては「明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法」に基づく第一種及び第二種歴史的風土保存地区を指定し、歴史的風土の保存に支障を生ずるおそれのある一定の行為の制限を行うとともに、土地の買入れ等を行っている。
 平成11年度は、歴史的風土特別保存地区(明日香村を含む)内の土地の買入れ等に対し補助を行った。平成12年度については、引き続き土地の買入れ及び歴史的風土保存のために必要な施設の整備に対する補助を行うこととしている(平成11年度は古都及び緑地保全事業費82億4,300万円、国費41億8,900万円の内数、平成12年度は各々90億2,500万円、45億8,500万円の内数)。
リ 屋外広告物行政の推進
 近年、我が国経済社会の成熟化、国際化の流れの中で、都市の良好な景観に対する国民の関心はかつてない高まりを見せており、屋外広告物についても、その質の向上と周辺景観との調和が、以前にも増して強く要請されている。屋外広告物については、屋外広告物法及びそれに基づく地方公共団体の条例により規制が行われているが、こうした状況を背景に、各地方公共団体では、警察などの関係機関と連携して違反広告物の一斉除却を行うなど対策の充実を図っており、平成10年度に地方公共団体が除却した違法なはり紙、はり札及び立看板は、約670万件にも及ぶ。また、条例に基づく「景観保全型広告整備地区制度」等の誘導的手法による良好な景観の保全を図っているほか、「屋外広告物コンクール」を実施するなど、各地方公共団体により、様々な積極的な取組みが進められている。
ヌ 増大する余暇需要への対応
1) 宿泊滞在型レクリエーション空間の整備
 都市公園におけるオートキャンプ場の整備を、地方ブロック単位に策定しているオートキャンプ場ネットワーク計画に基づき計画的に推進するとともに、国営公園をはじめとした、宿泊滞在型レクリエーション施設を有する大規模公園等の整備を推進する。
2) 市民農園の整備の促進
 都市住民等の農作業による健康づくりや高齢者の生きがいづくり、家族とともに土とふれあうこと等への関心を背景に、農地を利用し、レクリエーションとして野菜や花の栽培を行う市民農園に対する需要が高いため、市民農園整備促進法によりその整備を図る。さらに、生産緑地の有効活用及び市民農園の整備促進のため、市民農園整備事業や特定市民農園制度の活用を推進する。