(24)宅地防災
イ 宅地災害の防止対策の推進
宅地開発等の開発事業に伴う災害については、宅地造成等規制法及び都市計画法の許可制度により規制を行っている。特に宅地造成等規制法においては、宅地造成に伴う災害の発生のおそれが著しい市街地等を宅地造成工事規制区域に指定し、同区域内における一定の宅地造成工事を都道府県知事等の許可に係らしめ、宅地造成工事に伴う災害の防止を図っている。
宅地造成工事規制区域は、平成11年4月1日現在で、27都道府県、11指定都市において983,198haが指定されており、平成10年度における宅地造成工事の許可は、5,398件、7,058haとなっている。
また、これまでに、宅地造成等の開発事業に伴い必要となる防災措置の基本的な考え方や具体的手法等を体系的に整理した「宅地防災マニュアル」や「宅地開発事業に伴い設置される地下調整池設置技術指針」を策定してきたところである。さらに、宅地擁壁の老朽化の進行度及び危険度の判定指標とともに、宅地がその性能を長期間維持できる性能評価のあり方などの検討を行うこととしている。
ロ 被災宅地危険度判定制度の創設及び体制整備
阪神・淡路大震災のように、宅地被害が大規模かつ広範囲に発生すると、被災した公共団体のみでは宅地の調査が困難であるため、被災宅地の危険度を判定し、二次災害の防止等を図るための災害後の初動体制の強化に向け、都道府県等からなる「被災宅地危険度判定連絡協議会」を平成9年5月に発足し、危険度判定にかかわる人材である「被災宅地危険度判定士」の登録・育成等を実施している。
「被災宅地危険度判定士」は、平成12年3月末において、4,025人が登録されており、今後は、連絡協議会において「被災宅地危険度判定マニュアル」等を策定するなど、危険度判定実施体制の整備を具体的に推進していくこととしている。
ハ 宅地防災工事資金融資の拡充・普及
宅地造成等規制法、建築基準法及び急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律に基づき勧告又は命令を受けた宅地所有者等が、宅地防災工事を行う場合には、住宅金融公庫から当該工事に必要な資金の貸付けが受けられることとなっている。
平成10年度の本融資実績は、7件、3,130万円であるが、勧告又は命令件数に比べ低い水準にとどまっているため、従来から融資制度の普及及び融資条件の改善に努めているが、今後引き続き宅地災害の防止のために本制度の普及等を推進することとする。