(11)建設産業の国際化に対応した施策
建設省は、建設産業有識者とともに「建設業及び建設コンサルタントの海外活動に係る基本問題委員会」を設け、平成7年8月に中長期的な海外活動の方針及び国際貢献のあり方について報告書をとりまとめた。さらにその後、海外調査や現場の駐在員の意見を踏まえ、この報告のフォローアップを行ってきている。これらをもとに、以下のような施策を継続的に展開、強化している。
イ 長期的視点に立った海外拠点確立のための施策
建設産業は、現地で継続的に活動し現地に浸透しない限り受注活動で優位に立つことはできないことから、海外事業の収益を短期的・表面的にとらえて一度確保した海外拠点から撤退することは得策ではない。そこで、各企業においてマンパワーや資機材の海外調達等により単価を引き下げて価格競争力を強化し、かつ、現地の下請企業の育成等が図られるよう支援する。
ロ 新たな体制整備と業務分野の新規開拓
開発途上国等で民活インフラ整備事業が注目されていることをはじめとして、海外市場においては、企画調査、資金調達、事業デザイン等の上流部門から、工事完成後の施設の運営等の下流部門まで多様なサービスが要求される。このため企業としても、BOT、コンストラクション・マネージメント、プロジェクト・マネージメント等の新たな業務にも積極的に取り組む必要があり、建設省としても、マネージメント手法の習得、人材の育成等やBOT事業に関して委員会を設置するなど具体的な支援に着手している(「第2 国土建設施策の動向」の
「XII 国際建設交流」の2-(1)-イを参照)。
ハ 国際的な連携と協調の推進
建設産業は、外国の企業や個人との連携・協調にも取り組む必要がある。特に、建設産業の海外活動は、我が国ODAを「顔の見える援助」とする意味で必要不可欠であり、開発途上国の現地技術者・労働者との共同作業や企業内研修を通じた技術及び経営ノウハウの移転は、現地の建設業の水準を向上させるものとして評価されるものである。
建設省もこのような建設産業に期待される国際貢献の役割を支援するため、企業体としての建設産業の育成を図る「建設産業ノウハウ移転促進事業」による現地セミナーの実施、開発途上国の現地社会に貢献するシンボリックな事業を支援する「建設業国際貢献推進事業」などを積極的に推進しているものである(「第2 国土建設施策の動向」の
「XII 国際建設交流」の2-(1)-ロを参照)。